大メディアは自民党大勝による国会のねじれ解消を「決められる政治」と歓迎しているが、野党勢力が衰退し、政権の暴走を止めるストッパー役がいなくなれば、一体、どんな政治が始まるのだろうか。
半年後のニッポンの姿はすでに見えてきている。まず、「庶民から奪い、企業に還元する」政治が始まる。
安倍政権は参院選が終わると、早速、この8月から生活保護費を引き下げ、住民税の課税対象を低所得者に拡大する。来年4月には消費税率が8%に引き上げられ、70歳から74歳までの医療費窓口負担も1割から2割に倍増する。そうやって庶民から吸い上げたカネを、公約で明記した「法人税減税」で大企業に還元するのだ。
「原発安全神話」もなし崩しに復活させようとしている。選挙戦さなかの7月8日、電力各社が相次いで停止中の原発10基の再稼働を政府に申請した。審査には半年ほどかかると見られており、来年早々から北海道から九州まで全国で原発が立ち上がる可能性が強い。
「国土強靱化」の名の下に公共事業も雨あられだ。自民党の地域別の参院選公約には、山陰超高速鉄道や四国新幹線、紀伊半島一周高速道路、下北半島縦貫道路など、過疎地域の「夢のビッグプロジェクト」が目白押しだ。疲弊した地方経済に公共事業で雇用を生み出そうという、旧来の自民党政治への回帰である。
※週刊ポスト2013年8月2日号