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2013.07.29 07:00  SAPIO

足利事件・冤罪被害者の菅家氏 22年前のバッシング報道再録

 ある大手メディアのベテラン記者は、“足利事件”の冤罪被害者である菅家利和氏と会った際、「申し訳ありませんでした」と謝罪した。 駆け出し記者の頃、宇都宮支局で県警を担当し、事件の取材に関わったからだという。

「当時は冤罪だなんて考えなかった。でも、もしその可能性を追及していれば、菅家さんがあれほど長く苦しまなかったかもしれない。謝って済む問題じゃないけど、一言謝らずにはいられなかった」

 こんな記者もいるが、あくまで例外的存在だ。私もメディア界で長く禄を食んできたが、自らが取材に関わった事件の冤罪被害者に詫びたという話は初めて聞いた。

 それに、謝って済む問題ではないのも事実だろう。権力監視こそメディアの役割であり、検察や警察はその極北というべき組織なのに、大半のメディアが検察や警察の尻馬に乗り、半ば嬉々として被疑者をバッシングするのがお決まりの情景になっている現状は薄ら寒い。

 今から22年前の菅家氏の逮捕報道にも、その病理が凝縮されていた。

<「隠れ家」でロリコン趣味にひたる地味な男。(中略)“幼女の敵”は大胆にもすぐそばに潜んでいた。(中略)菅家容疑者は、絞り出すような声でPちゃん(記事中では実名)殺しを自供した。(中略)「容疑者に間違いない」と取調官は感じた>(1991年12月2日・読売朝刊より抜粋)

<ポルノビデオなど200本以上のビデオテープを持ち、(中略)今春まで勤めていた幼稚園の園児の間では「変なおじさん」のニックネーム><「いたずらするのが目的」と動機をいい、「騒がれては困るので殺した」などと自供したという>(同3日・朝日朝刊)

 溜息が出るような記事ばかりだが、この病理は今も昔も変わらない。

■文/青木理(ジャーナリスト)

※SAPIO2013年8月号

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