過酷だった夏が終わり、ようやく涼しくなってきたと思ったら、夏バテが長期化している人が続々。
「徐々に暑さがゆるみ始める秋口は、夏の疲れがどっと出る時期。この時期は夏バテならぬ、“秋バテ”になる人が多いんです」
こう話すのは、管理栄養士で医学博士の本多京子さんだ。
「冷たい飲み物をたくさん摂りすぎて胃液が薄まると、胃腸機能が低下して消化不良や食欲不振につながります。また、冷房による自律神経の乱れ、暑さのストレスで食欲が落ちて栄養不足になるケースも。夏が暑かったせいで夏バテが長期化し、夏場の疲れがどっと秋の初めに出てしまうんですね」(本多さん)
この“秋バテ”を助長させる原因には、“隠れ栄養失調”が潜んでいるという。
「現代は、いつでも好きなときに好きなものを好きなだけ食べられる環境のため、一見、栄養は足りているようですが、実は体に必要な栄養素が充分に摂れていない“隠れ栄養失調”の人が増えています。
特に最近は、野菜と果物を充分に摂れていない人が目立ちます。暑い日や、疲れているときは、あっさりした冷たい麺類など炭水化物だけで食事を済ませるので栄養が偏りがち。また、朝食の栄養バランスに関する調査によると、3人に1人がパンやご飯とコーヒーなど飲み物だけという結果が出ています。これでは、体に必要なビタミン、ミネラル、食物繊維などの栄養素が充分に補えません」(本多さん)
健康のために1日に摂るべき野菜350g、果物200gが目標とされているが、20~40代はとくに摂取量が少なく、野菜、果物ともに100g以上不足しており、隠れ栄養失調を招く原因のひとつといえそうだ。
「隠れ栄養失調の人たちには、果物をおすすめしています。果物は、体に必要な栄養素を、調理せずそのまま少量で効率的に摂れるのがメリット。中でも、キウイフルーツは、暑さによるストレスで消費量が増えるビタミンCと、腸内環境を整える食物繊維が豊富。秋バテ解消に適した果物です」(本多さん)
果物の100g中に含まれるビタミンCや食物繊維、葉酸など17種類の栄養素の割合を比較した“栄養素充足率スコア”の上位にある果物は、少量で効率よく栄養を補える“高栄養密度フルーツ”といわれ、中でもスコアが高いのがキウイフルーツだ。
これによると、りんごが1.8、メロンが3.6、レモンが7.0なのに対し、キウイは11.4とダントツ。
「キウイフルーツ1個(可食部約100g)には、ビタミンCが温州みかんの2.2個分、食物繊維もバナナの2本分入っています。さらに、カリウム、葉酸、ビタミンEなどの栄養素も含まれており、1個で不足しがちな栄養素を効率よく補えます。一般的に1日に必要な果物の量は握りこぶし2個分。キウイフルーツは2個食べるとちょうどいいですよ」(本多さん)
※女性セブン2013年10月10日号