中国が突然設定した「防空識別圏」。「防空識別圏」とは、各国の領土から12海里(約22キロメートル)の「領空」への侵犯を防ぐために、領空より外側に定めている空域だ。事前申告なく防空識別圏に侵入した他国の航空機を識別すると、自国の戦闘機が緊急発進(スクランブル)し、警告することができる。
11月23日の設定後、その空域を国際線の飛行経路とする全日空(ANA)と日本航空(JAL)は、中国政府にフライトプランを提出。状況を考えれば素直に従うほかなかった。
しかし、それに待ったをかけたのが日本政府だ。26日には国交省から業界団体である定期航空協会に「中国にフライトプランを提出しないように」という要請が出た。その結果、両航空会社は27日の0時から提出をやめたのである。両社の関係者は声を揃えてこういう。
「国交省によれば、安全を確保できたということでした。中国政府から“今回の措置は特定国を対象としたものではなく、民間航空機を含め飛行の自由を妨げるものではない”という連絡を受けたというのです。お客様からは“中国の意向を無視して大丈夫なのか?”との問い合わせもいただきますが、私たちとしては日本政府の要請に従うだけです」
※週刊ポスト2013年12月20・27日号