ライフ

幻の美食「フグ肝」が庶民にも食べられる日はやってくるのか

 冬がもっとも旬なフグ料理。独特の歯ごたえをもつフグ刺し、体の芯から温まるフグチリに濃厚な味わいの白子料理などで知られる。しかし内臓などに猛毒をもつことでも有名で、とくに肝臓と卵巣は食用が禁じられている。卵巣には石川県の郷土料理、フグの子糠漬けという例外があるが肝臓にはその例外もない。ところが、無毒のフグを育てれば肝臓も食べられるのでは、と試みる人たちがいる。

「天然フグの毒性には個体差があるので、毒が弱いフグ肝を工夫して食べる習慣は昔からありました。ですが、あまりに食中毒が多く死者も少なくないため、1983年に厚生省がフグ肝を提供してはならないと食品衛生法の運用基準を厳しくしました」

 と説明するのはフグ毒研究の第一人者である東京医療保険大学医療保健学部教授の野口玉雄さん。

 食品衛生法が厳しく運用されてからも、フグ毒の中毒患者はなくならない。2003年から2012年の10年間で全国のフグによる食中毒の発生件数は299件、患者数は416人でそのうち15人が亡くなっている。販売可能なフグの部位は指定され、各都道府県が定めた調理資格がないと飲食店などは提供できない仕組みがあるが、それでも中毒事故はなくならない。

「フグ毒にあたって入院した人に症状をたずねたことがありますが『また食べたい。今度こそうまくやります』と言われました。一度でもフグ肝を食べたら、忘れられないほど美味しいんですよ」(前出の野口さん)

 それでは毒がないフグを育てれば食べられると養殖の試みが始まったが、毒を持たないフグを養殖しても生き残る確率が低いことに関係者は悩まされてきた。人間にとってフグの毒は危険なもの。しかし、フグにとっては身を守るために必要なものだからだ。天敵が近づくと体を揺すり、放出して敵を遠ざける役目をもつ。試行錯誤の末「無毒フグ」と呼べる養殖が可能と判断できたのは約10年前だったという。

 野口さんはこう主張する。

「もともと天然フグの毒の強さに個体ごとにばらつきがあることは分かっていましたが、フグ毒の原因は長らく不明でした。長年の研究追跡の結果、フグが毒化するのは毒を含むものを食べることにより、食物連鎖で最終的にフグに毒が蓄積するのが原因だとわかった。室内の水槽で、毒がないフグの卵と精子からつくった受精卵からフグ毒を含まない特定のエサで育てると無毒フグになります」

トピックス

【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
女性セブン
『教場』では木村拓哉から演技指導を受けた堀田真由
【日曜劇場に出演中】堀田真由、『教場』では木村拓哉から細かい演技指導を受ける 珍しい光景にスタッフは驚き
週刊ポスト
どんな演技も積極的にこなす吉高由里子
吉高由里子、魅惑的なシーンが多い『光る君へ』も気合十分 クランクアップ後に結婚か、その後“長いお休み”へ
女性セブン
各局が奪い合う演技派女優筆頭の松本まりか
『ミス・ターゲット』で地上波初主演の松本まりか メイクやスタイリングに一切の妥協なし、髪が燃えても台詞を続けるプロ根性
週刊ポスト
バドミントンの大会に出場されていた悠仁さま(写真/宮内庁提供)
《部活動に奮闘》悠仁さま、高校のバドミントン大会にご出場 黒ジャージー、黒スニーカーのスポーティーなお姿
女性セブン
三浦瑠麗(本人のインスタグラムより)
《清志被告と離婚》三浦瑠麗氏、夫が抱いていた「複雑な感情」なぜこのタイミングでの“夫婦卒業”なのか 
NEWSポストセブン
わいせつな行為をしたとして罪に問われた牛見豊被告
《恐怖の第二診察室》心の病を抱える女性の局部に繰り返し異物を挿入、弄び続けたわいせつ精神科医のトンデモ言い分 【横浜地裁で初公判】
NEWSポストセブン
日本、メジャーで活躍した松井秀喜氏(時事通信フォト)
【水原一平騒動も対照的】松井秀喜と全く違う「大谷翔平の生き方」結婚相手・真美子さんの公開や「通訳」をめぐる大きな違い
NEWSポストセブン
足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン