ビジネス

安倍政権ゴリ押しの「ウーマノミクス」で業績悪化の恐れあり

 安倍首相が成長戦略の重要課題と位置付ける女性の活躍、いわゆる「ウーマノミクス」に呼応するように女性幹部を抜擢する企業が相次いでいる。

 伊藤忠商事、東京電力、ソニー、パナソニック、日本航空などで女性の執行役員や社内・社外取締役が誕生。2月24日にも造船重機大手のIHIで女性執行役員(水本伸子氏・現CSR推進部長)、自動車メーカーのホンダでは女性社外取締役(国井秀子氏・現芝浦工業大学教授)の就任見込みが発表されたばかり。

 幹部だけではない。これまで男性中心の職場と見られてきた重厚長大企業も矢継ぎ早に社内の女性管理職を大幅に増やす方針をぶち上げている。その背景は何なのか。人事ジャーナリストの溝上憲文氏が語る。

「賃上げと同じように政府のゴリ押しによって企業が従わざるを得ない状況になっているのです。安倍政権は2020年までに指導的地位に女性が占める割合を30%以上に高めたい方針のほか、すべての上場企業に最低1人の女性役員を登用するよう要請しています。

 そうした政府のプレッシャーが経済団体や経営者団体を通じて各企業の社長にのしかかっています。女性活用の風潮に乗り遅れれば社会的な評価も低くなる風潮を危惧して、同業他社を見渡しながら社内の人事担当者にハッパをかけている企業も多い」

 だが、女性登用の数値目標はあくまでも“期待”の表明であり、会社規模や業種を超えてすべての企業がコミットしなければならないわけではない。ニッセイ基礎研究所の生活研究部主任研究員、松浦民恵さんはいう。

「建設業や運輸業のように、そもそも正社員に占める女性の割合が2割を下回っている業種が、30%まで女性管理職を増やそうと思ったら時間がかかるのは当然です。優秀な女性を採用、育成して管理職に登用するプロセスが必要ですからね。

 それなのに、企業が政策的な『強風』にあおられて、女性の管理職候補に無理な背伸びを強いれば、本人にとっても会社にとっても不幸な結果につながりかねません」

 企業の現場においては、すでに実態に合わない女性登用の弊害も出始めている。

「本来なるべきだった管理職候補の男性がなれずに時短勤務の女性が昇進。彼女が積み残した仕事を男性がいつも処理しているために、リーダーシップや業績に対するパフォーマンスがなかなか発揮できないというケースも出ています。

 このように企業が女性管理職の比率を上げたいばかりに女性の2段跳び、3段跳びの昇進もあり得る時代ですが、やり過ぎると人事評価を壊し職場の雰囲気を悪くすることもありますし、ひいては企業業績に影響を与える恐れだってあるのです」(前出・溝上氏)

関連記事

トピックス

新横綱・大の里(時事通信フォト))
《地元秘話》横綱昇進の“怪物”大の里は唯一無二の愛されキャラ「トイレにひとりで行けないくらい怖がり」「友達も多くてニコニコしてかわいい子だったわ」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
ミスタープロ野球として、日本中から愛された長嶋茂雄さんが6月3日、89才で亡くなった
長島三奈さん、自身の誕生日に父・長嶋茂雄さんが死去 どんな思いで偉大すぎる父を長年サポートし続けてきたのか
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
金髪美女インフルエンサー(26)が “性的暴力を助長する”と批判殺到の「ふれあい動物園」企画直前にアカウント停止《1000人以上の男性と関係を持つ企画で話題に》
NEWSポストセブン
逮捕された波多野佑哉容疑者(共同通信)。現場になったラブホテル
《名古屋・美人局殺人》「事件現場の“女子大エリア”は治安が悪い」金髪ロングヘアの容疑者女性(19)が被害男性(32)に密着し…事件30分前に見せていた“親密そうな様子”
NEWSポストセブン
東京・昭島市周辺地域の下水処理を行っている多摩川上流水再生センター
《ウンコは資源》排泄大国ニッポンが抱える“黄金の資源”を活用できてない問題「江戸時代の取引金額は10億円前後」「北朝鮮では売買・窃盗の対象にも」
NEWSポストセブン
マッチングアプリぼったくり。押収されたトランプやメニュー表など。2025年5月15日、東京都渋谷区(時事通信フォト)
《あまりに悪質》障害者向けマッチングアプリを悪用した組織的ぼったくりの手口、女性がターゲットをお店に誘い出し…高齢者を狙い撃ちする風俗業者も
NEWSポストセブン
ブラジル公式訪問中の佳子さま(時事通信フォト)
《佳子さまの寝顔がSNSで拡散》「本当に美しくて、まるで人形みたい」の声も 識者が解説する佳子さま“現地フィーバー”のワケ
NEWSポストセブン
“じゃないほう”だった男の挑戦はまだまだ続く
「いつか紅白で『白い雲のように』を歌いたい」元猿岩石・森脇和成が語る有吉弘行との「最近の関係性」
NEWSポストセブン
白鵬の活動を支えるスポンサー企業は多いと思われたが…
白鵬「世界相撲グランドスラム」構想でトヨタ以外の巨大スポンサー離反の危機か? “白鵬杯”スポンサー筆頭格SANKYOは「会見報道を見て知った。寝耳に水です」
週刊ポスト
6月13日、航空会社『エア・インディア』の旅客機が墜落し乗客1名を除いた241名が死亡した(時事通信フォト/Xより)
《エア・インディア墜落事故》「ボタンが反応しない」「エアコンが起動しない」…“機内映像”で捉えられていた“異変”【乗客1名除く241名死亡】
NEWSポストセブン
金スマ放送終了に伴いひとり農業生活も引退へ(常陸大宮市のX、TBS公式サイトより)
《金スマ『ひとり農業』ロケ地が耕作放棄地に…》名物ディレクター・ヘルムート氏が畑の所有者に「農地はお返しします」
NEWSポストセブン