ラバウルのジャングル奥地の秘湯に浸かる山崎まゆみ氏
「世界の人と混浴するぞ!」と世界30か国を訪れ、極地の温泉を巡る温泉エッセイスト・山崎まゆみ氏の、危なすぎて「誰も行けない温泉」の旅。
「世界は本当に広い。標高4200m、南米チリのタティオ間欠泉の露天風呂では、見上げると紺碧の空が広がっていました。3分の入浴で酸欠となり、人と話すことすらできませんでしたが……。
世界最北の露天風呂、アイスランドのミーバトンでは氷点下20度の中で湯に浸かりました。眉毛と鼻毛と産毛が凍ったけど、現地の人たちと陽気に酌み交わしたビールの味は格別でしたし、熱風が吹きすさぶ南の国で温泉に浸かっていると、のぼせて鼻血が出たその血も生暖かかった(笑い)」(山崎氏)
極地への旅を重ねる中、旧日本軍の拠点となったパプアニューギニアのラバウルを訪ねた時など、「花吹温泉」「宇奈月温泉」という日本名の温泉が今もその名を留めていることを発見。
宇奈月温泉では、「『白い肌の女を見るのは初めて』という地元の人たちに見守られての入浴でした」(山崎氏)というが、かつて日本兵が戦場での張りつめた緊張を癒した湯に、時を超えて現地の少女たちが浸かる。心揺さぶられる感動だったという。
撮影■三島正
※週刊ポスト2014年3月14日号