国内

共産党議員 首相が自分を論破したかのようなNHK編集に憤る

「NHKのニュース映像を見た瞬間、『あれ? おかしい』と思いました。実際の質疑では、こういうやり取りをしたわけではないですから。都合のいい部分を切り取って使う意図的な編集の典型ではないですか!」

 共産党政策委員長を務める小池晃・参院議員は、3月4日に自身が行なった安倍首相への国会質問を扱ったNHK『ニュースウォッチ9』の映像を後ほど確認し、愕然とした。問題の場面がこれだ。

小池議員「わが国に対する直接の武力攻撃がなくても、わが国が武力行使できるようになると。そうすると、結局、アフガニスタンのような戦闘地域には絶対行かないといえるんですか。NATO諸国と同じように、集団的自衛権が行使できるようになる可能性があるじゃないですか」

安倍首相「そもそも我が国の自衛権につきましても、必要最小限という制約がかかっている。それは他の国と同じように、集団的自衛権が行使できるということとはこれは違うわけで、明確に違うといってもいいんだろうと」

 いかにも歯切れよく応じているように見える。その後も、維新の会や社民党など野党陣営の質問にズバッと答える安倍首相の答弁が目立つ内容だった。NHKでは、それに先立つ『ニュース7』でも、似たようなやり取りを流している。

 なるほど、これを見れば、安倍首相が完全に論破しているように見える。しかし、実際の国会論戦と見比べてみると、印象は全く違うものになる。

 実はこの首相答弁は、巧妙に編集されたものだった。一連の発言に見える安倍首相の答弁の途中に編集ポイントがあり、その間の発言が端折られているのだ。それは以下のくだりだ。

「(制約は)自衛権全体にかかっているわけですから個別的自衛権にもかかっているわけであります。当然、自衛権全般にかかっていて、個別的自衛権についてもかかっている(以下略)」

 何度も「かかっている」を繰り返し、いかにも結論を先送りしているように見える。しかし、この部分は見事にカットされ、ニュース映像では、安倍首相がテンポよく言い切ったように見える。

 ここでは、集団的自衛権の是非についてはあえて問わない。あくまで問題は、実際の国会論戦とNHKで流れたニュースでは、見た人の受ける印象が全く異なるということだ。放送時間に制限があることはわかるが、それにしても安倍首相に都合のいい場面だけが切り貼りされている。小池議員が憤る。

「こんな編集をすれば、私の質問と意見を安倍総理が論破したと見られても仕方ないでしょう。ノーカット生放送の国会中継もあるから、それを見れば実際はどうだったか分かる。

 が、国民の方たちもそんなに時間があるわけではないから、ダイジェストをまとめたニュースで確認するしかないのが現実です。そのニュースがこれでは、公平性に欠けると言わざるを得ません。政権の広報にしかなっていない。ニュースの意味をなしていないと思います」

※週刊ポスト2014年3月28日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
女性セブン
『教場』では木村拓哉から演技指導を受けた堀田真由
【日曜劇場に出演中】堀田真由、『教場』では木村拓哉から細かい演技指導を受ける 珍しい光景にスタッフは驚き
週刊ポスト
どんな演技も積極的にこなす吉高由里子
吉高由里子、魅惑的なシーンが多い『光る君へ』も気合十分 クランクアップ後に結婚か、その後“長いお休み”へ
女性セブン
各局が奪い合う演技派女優筆頭の松本まりか
『ミス・ターゲット』で地上波初主演の松本まりか メイクやスタイリングに一切の妥協なし、髪が燃えても台詞を続けるプロ根性
週刊ポスト
バドミントンの大会に出場されていた悠仁さま(写真/宮内庁提供)
《部活動に奮闘》悠仁さま、高校のバドミントン大会にご出場 黒ジャージー、黒スニーカーのスポーティーなお姿
女性セブン
三浦瑠麗(本人のインスタグラムより)
《清志被告と離婚》三浦瑠麗氏、夫が抱いていた「複雑な感情」なぜこのタイミングでの“夫婦卒業”なのか 
NEWSポストセブン
わいせつな行為をしたとして罪に問われた牛見豊被告
《恐怖の第二診察室》心の病を抱える女性の局部に繰り返し異物を挿入、弄び続けたわいせつ精神科医のトンデモ言い分 【横浜地裁で初公判】
NEWSポストセブン
日本、メジャーで活躍した松井秀喜氏(時事通信フォト)
【水原一平騒動も対照的】松井秀喜と全く違う「大谷翔平の生き方」結婚相手・真美子さんの公開や「通訳」をめぐる大きな違い
NEWSポストセブン
足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン