しかし、コスト負担ばかりを住民に押しつけ、いい加減な管理体制でマンションの将来図を描けない不動産会社も責任は重大だろう。榊氏はいう。
「大手デベロッパーも空き家問題には危機感を抱いていると思います。でも、彼らは彼らでマンション用地の仕入れ部隊や販売部隊を持ち、遊ばせておくわけにはいきません。とにかく自転車操業でマンションを建てて、苦戦してでも売るという作業を繰り返しているのです。
日本のマンションの歴史は、200年以上も区分所有の文化が根付くフランスとは違い、はじめてマンションブームが起きた1960年代から50余年しか経っていません。だから、50年後、100年後にどうしたらいいのかのノウハウも持っていないし、法律もうまく整備されていないのです」
あちこちに空き家が増えすぎて“幽霊マンション”が林立する未来。考えただけでもゾッとする。