日本企業の実態は、ブルーカラーの生産性は高いが、ホワイトカラーについては問題があると大前研一氏は見ている。その問題点を解決し、日本企業の国際競争力を高める方法について、大前氏が解説する。
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これまで日本企業は、非定型業務も定型業務も一緒くたにし、事務系の職種はすべてホワイトカラーとして同列に処遇してきた。しかし、今や定型業務をやっている“ブルーカラー的ホワイトカラー”の仕事の多くは、コンピューターの進化とIT環境の整備により、パソコンや業務ソフト、アウトソーシングで置換・代行できるようになっている。実際、欧米のグローバル企業は、大半の定型業務をそうしている。
ところが、日本企業は定型業務を標準化できていないので、コンピューター化やアウトソーシング化がほとんど進まず、今も昔ながらのやり方をしている。
このため日本企業の場合、ブルーカラーの生産性はロボット化や労働コストが安い途上国への移転によって世界より2~3割高いのに、ブルーカラー的ホワイトカラーの定型業務の生産性は世界の半分以下という悲惨な状況で、それが国際競争力を落としている。
日本にも定型業務をアウトソーシングしている会社はあるが、それはたいがい子会社や関連会社を作り、親会社で定型業務をやっていた人たちを移して同じ仕事をさせているだけだ。複数の会社が相乗りで定型業務の別会社を作ったケースもあるが、こちらは各社から出向してきた人たちがそれぞれ自分の会社のやり方を持ち込むからバラバラの仕事しかできず、相乗効果は生まれない。