ホワイトカラーがやっている定型的な間接業務の多くは、事業計画書や稟議(りんぎ)書、月次のPL(損益計算書)などのペーパーになる。それらが何のためにあるのか、受益者は誰なのか、本当に必要なのかを、いわゆるOVA(オーバーヘッド・バリュー・アナリシス/間接業務の価値分析)によって調べてみると、昔は目的があったらしいが、今は作っているだけで誰も読んでいないというものが、どこの会社にも6割以上あるものだ。
つまり、定型的な間接業務の多くは必要がないのであり、その一方では本来必要なのにやっていないことも少なくない。
したがって定型的な間接業務については、本当に必要なのかどうか、3~5年ごとにSOP(Standard Operating Procedures/標準作業手順書)などによって系統的に洗い直し、一つずつ吟味しなければならない。そうすると、どこの会社でも定型的な間接業務の少なくとも4割はカットすることができ、カットしても誰も気がつかない。その結果余ってきた人員は、削減するか、営業や企画などに回せばよいのである。
このように間接業務は企業の競争力にとって非常に重要な要素であり、だからこそ日本企業は定型的な間接業務を定義し、一度ゼロベースで見直して削れるものはとことん削るとともにコンピューター化やアウトソーシング化や多能工化を推し進め、新興国や途上国に持っていける仕事はどんどん持っていくべきなのだ。その作業をやらない限り、日本企業の国際競争力は高くならないのである。
※週刊ポスト2014年7月18日号