ライフ

スポーツで起こる脳震盪 命の危険回避に専門家の診察不可欠

 脳は硬い頭蓋骨に守られているが、脳そのものはビニール袋のようなものに包まれ水に浮いている状態で柔らかい。脳細胞は脳の表面に集まり、中心部には生命維持に関わる脳幹があり、その間をケーブルのように神経が繋いでいる。

 脳はあるスピードでゆすられると、頭蓋骨と脳の揺れ方にひずみが生じ、脳の深い部分のケーブルが損傷される。スノーボードで後ろ向きに倒れる、ボクシングでパンチを受ける、柔道の大外刈りで投げられる、ラグビーでタックルされるといったことで、脳が激しくゆすられ、ダメージを受けるのが脳震盪(のうしんとう)だ。

 東京慈恵会医科大学病院脳神経外科の谷諭教授に話を聞いた。

「脳震盪の症状は失神だと思っている方が多いのですが、それだけではありません。脳震盪の前後のことを忘れる健忘や時間や方向感覚、認識力などが失われる失見当識(しつけんとうしき)といった認知機能障害、平衡感覚の失調、頭痛やめまい、物が二重に見えるといった症状も起こります。症状は短時間で消失することが多いのですが、脳震盪を起こしたらスポーツを中断し、専門家の診察を受けることが不可欠です」

 脳震盪後、著しい症状は消失しても頭痛が続いている場合は注意が必要だ。脳と硬膜を繋いでいる血管から出血している可能性があり、また出血していても量が少ないためCTスキャンでも発見されないことがあるからだ。頭痛のままスポーツを再開し、再び脳震盪を起こすと命に関わる。以前に出血した血管の瘡蓋(かさぶた)がとれて出血し、急性硬膜下血腫を起こし、さらに脳が腫れて死に至る。

 頭痛がある2回目の脳震盪による死亡率は30~50%と高い。

■取材・構成/岩城レイ子

※週刊ポスト2014年9月5日号

関連キーワード

トピックス

足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
【無理にやらなくていい&やってはいけない家事・洗濯衣類編】ボタンつけ・すそあげはプロの方がコスパ良、洗濯物はすべてをたたむ必要なし
【無理にやらなくていい&やってはいけない家事・洗濯衣類編】ボタンつけ・すそあげはプロの方がコスパ良、洗濯物はすべてをたたむ必要なし
マネーポストWEB
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
女性セブン
日本、メジャーで活躍した松井秀喜氏(時事通信フォト)
【水原一平騒動も対照的】松井秀喜と全く違う「大谷翔平の生き方」結婚相手・真美子さんの公開や「通訳」をめぐる大きな違い
NEWSポストセブン
海外向けビジネスでは契約書とにらめっこの日々だという
フジ元アナ・秋元優里氏、竹林騒動から6年を経て再婚 現在はビジネス推進局で海外担当、お相手は総合商社の幹部クラス
女性セブン
大谷翔平の伝記絵本から水谷一平氏が消えた(写真/Aflo)
《大谷翔平の伝記絵本》水原一平容疑者の姿が消失、出版社は「協議のうえ修正」 大谷はトラブル再発防止のため“側近再編”を検討中
女性セブン
二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ
《独立後相次ぐオファー》二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ 「終盤に出てくる重要な役」か
女性セブン
被害者の宝島龍太郎さん。上野で飲食店などを経営していた
《那須・2遺体》被害者は中国人オーナーが爆増した上野の繁華街で有名人「監禁や暴力は日常」「悪口がトラブルのもと」トラブル相次ぐ上野エリアの今
NEWSポストセブン
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
運送会社社長の大川さんを殺害した内田洋輔被告
【埼玉・会社社長メッタ刺し事件】「骨折していたのに何度も…」被害者の親友が語った29歳容疑者の事件後の“不可解な動き”
NEWSポストセブン