世界の7%超、110もの活火山を抱える日本列島。政府は5年前、このうち危険度の高い47火山を選定、地震計や空振計、傾斜計、GPSなどで24時間監視してきた。多くの犠牲者を出した御嶽山(おんたけさん)もそのひとつだったが、噴火の2週間以上前から火山性地震が観測されていたにもかかわらず、警戒警報すら出せなかった。
会見で気象庁の諮問機関である火山噴火予知連絡会の藤井敏嗣会長は「我々の予知レベルはまだそんなもの」と白旗を揚げる始末。
「今回のような水蒸気噴火は確かに予知するのがきわめて難しいという事情はありましたが、それ以前の問題として、観測点の数や設備、配置も十分とはいえません」(武尾実・東京大学火山噴火予知研究センター教授)
実際、御嶽山に設置された12か所の地震計も、山頂など2か所の計器が老朽化で故障し、観測不能の状態だった。
なすべき対策がなされていないという現状はほかにもある。例えば、冒頭の47火山についても、その7割が具体的な避難計画はなし。また、噴火の際に避難できる山小屋が設置されている火山は少なく、噴石や降灰から身を守るシェルターにいたっては浅間山や阿蘇山など数えるばかりだ。
気象庁は、2007年に火山活動の状況に応じて「警戒が必要な範囲」と防災機関や住民の「とるべき防災対応」を5段階に分けて発表する指標「噴火警戒レベル」を導入。富士山、阿蘇山、桜島など、30火山の具体的な警戒レベルを随時更新しているが、その中には秋の行楽地として知られる山も多い。
「大涌谷近くの森で枯れ木が増えていることから火山性ガスの増加が懸念される箱根山や、微震が極端に増えた期間がある草津白根山では警戒が特に必要です」(島村英紀・武蔵野学院大学特任教授)
御嶽山の警戒レベルも当初は1。やはりこの数字すら信用できないのか。
※週刊ポスト2014年10月17日号