投資情報会社・フィスコ(担当・村瀬智一氏)が、株式市場の10月20日~10月24日の動きを振り返りつつ、10月27日~10月31日の相場見通しを解説する。
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先週の日経平均は上昇。欧州の量的緩和期待を手掛かりにした米国市場の大幅上昇の流れを受けて、週初には今年最大の上げ幅となった。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、国内株式での運用比率の目安を12%から20%台半ばに大幅に引き上げる方向で調整に入ったとの報道も材料視された。
その翌日には300円を超える下落といった形でボラティリティの大きい相場展開とはなったが、欧州中央銀行(ECB)が社債の買い入れを検討しているとの報道のほか、週後半にはユーロ圏や米国の経済指標が軒並み改善したことを受けて、世界景気の減速懸念が後退し、日経平均は一時15300円を回復するなど、前週の下落部分を吸収してきている。
26日には欧州中央銀行(ECB)の銀行ストレステスト(健全性審査)の結果が公表される。一部報道によると、少なくとも6カ国から11行~18行が失格になる見通しと報じられている。これまでの市場の不安定な状況からは、結果公表によるサプライズはマイナスよりもプラス面の方が大きいと考えられ、緩和期待等につながる可能性もありそう。
米国では28-29日に連邦公開市場委員会(FOMC)が開催され、量的緩和政策(QE3)終了が見込まれている。緩和策が終了しても、早期利上げ観測は相当後退しているとみられ、QE3終了を前にしたミューチュアルファンドなどの売りが通過することで、アク抜けが期待されよう。NYでのエボラ熱感染報道など警戒要因はあるが、金融政策を背景に揺れた各国市場の落ち着きが意識されることになる。
国内では31日に日本銀行が政策委員会・金融政策決定会合を開く。経済・物価情勢の展望(展望リポート)を公表し、黒田東彦総裁が記者会見する。現状維持とみられているが、欧州景気に対する不透明感のほか、米国のエボラ出血熱による経済への影響、さらに安倍政権閣僚の辞任による政権運営への警戒感などを背景に、量的・質的金融緩和へ言及するとの思惑が高まっている。その他、原油安による影響は円安効果を上回り、インフレ率が1%を割り込む確率が大幅に高まったとの見方もされる中、追加緩和をめぐる市場の憶測が再燃する可能性がある。
また、今週は主要企業の決算発表が本格化する。足元の景気不透明感や円安一服により、企業の慎重姿勢が強まる中、通期計画を据え置く企業が増える可能性がある。慎重見通しから今後上方修正の可能性は残るとは言え、材料視しづらい状況にもなりやすい。結果を受けた市場の反応を見極める必要もあり、方向感が掴みづらくなりそうである。