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歯周病は歯の病ではなく全身疾患 心筋梗塞引き起こす危険も

「虫歯になったから歯医者に行く」というのが日本では一般的なことから、歯を失ういちばんの原因は虫歯だと思いがち。だが、現実は違うと語るのは、紀尾井町プラザクリニック院長の根深研一さん。

「歯を抜くいちばんの原因は歯周病で、その割合は約42%。それに虫歯が約32%と続きます。厚生労働省によると、40才で歯周病を患っている人は、85%にものぼります」(根深さん)

 まずは、想像以上に怖い歯周病について勉強しよう。

「虫歯が1本もないから、私は歯が丈夫」と過信する人がいるが、実は歯周病で一気に歯を失うケースも少なくない。

「口の中には300~700種類の常在菌が存在するのですが、虫歯菌と歯周病菌はまったく違う種類の菌。虫歯菌は、歯の見えている部分につきますが、歯周病菌は嫌気性菌といって、酸素が届かないところを好みます。歯と歯茎の隙間(歯周ポケット)や舌の上で繁殖します」(根深さん)

 では、歯周病はどうして起こるのか。富澤歯科医院院長で予防歯科をいち早く導入した富澤直基さんに聞いた。

「ばい菌の集合体であるバイオフィルムが歯肉の炎症を引き起こし、歯周ポケットを形成します。炎症が進むと、歯を支える歯槽骨が減って歯を支えられなくなり、ついには歯が抜けてしまうのです」

 また、歯周病の進行は“症状が出ては停滞する”を繰り返しながら進行するため、知らない間に進んでいることが多く、要注意だ。

「歯周病は歯の病気だけではなく、全身疾患と捉えるべき」と警鐘を鳴らすのは、ヨコハマデンタルクリニック院長の金子泰雄さん。

「歯周病菌が動脈硬化を起こしている血管に入り込むと、血管を狭める作用が増すため、心筋梗塞を引き起こします。そのほか妊娠中の場合は、低体重児や早産の要因になるともいわれています」(金子さん)

 実は今、歯周病は糖尿病の第6の合併症といわれている。歯周病がひどくなると、インスリンの血糖値をコントロールする働きを妨げて、糖尿病を悪化させるのだ。

「反対に、歯周病を治療すると、糖尿病が改善されるという報告も。つまり、相互関係があることがわかりました。このほか、歯周病菌は、さまざまな全身疾患のリスクを高めることもわかっています」(根深さん)

※女性セブン2014年11月20日号

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