国内

PL教団が存亡の淵 野球部にかまっていられないのが本音か

 高校野球、“西の雄”たるPL学園が窮地に陥っている。監督不在の次は、部員募集の停止だ。揺れる名門校の背景には、学校を運営するPL教団の“お家事情”が深く関わっていた。

 週刊ポスト誌上で、PL学園の内実を発表し続けるノンフィクションライターの柳川悠二氏が綴る。

 * * *
 近畿大会で近江高校に敗れ、PL学園にとって2009年夏以来となる甲子園出場(2015年センバツ)が絶望的となった日──私は会場の京都からパーフェクト・リバティー(PL)教団の大本庁がある大阪府富田林市に向かった。

 日没が迫る時間帯に到着すると、敗戦から間もないというのに部員数名が自主練習を行い、OBのコーチがグラウンド整備を行っていた。

 私は教団を追放された人物の告発記事を書いたことで、教団から目を付けられている。それゆえ敷地内で派手な動きはできず、黙って眺めているだけだったのだが、ナインの方から「こんにちは」と無垢な笑顔を投げかけてくる。

 昨年2月に高野連から6か月もの対外試合禁止処分が下り、野球経験のない校長の正井一真が監督代行を務める異常事態は今も続く。事の発端はこれまで先輩たちが幾度も繰り返して来た部内の暴力だ。

 しかし懸命に甲子園を目指す現役のナインに罪はない。それでも彼らの気持ちを蔑ろにするように、学園は2014年度から特待生の受け入れを停止し、10月には2015年から部員の募集をしない旨を公にした。

 廃部への流れは加速するが、野球部にはかまっていられないというのが学園の母体である教団の本音だろう。そもそも教団自体が存亡の淵に立たされているのである。

 1983年の最盛期には公称約265万人いたPLの会員(信者)は、2012年には約93万人にまで落ち込んでいる(いずれも宗教年鑑)。教団の元幹部によると、全会員に配布される機関誌「芸生新聞」の発行部数は、約7万部程度というから、会員の実数は推して知るべし、である。

 大阪の真夏の風物詩も風前の灯火だ。毎年8月1日に行われる教祖祭花火芸術は、かつて20万発もの花火を打ち上げる日本屈指の花火大会だった。前述の元幹部はいう。

「以前は2時間近く花火が打ち上げられましたが、経費削減なのか、年々、大玉が少なくなり、今年は40分から50分ぐらいで終了したんです」

※SAPIO2015年1月号

関連キーワード

関連記事

トピックス

一門はどうなるのか(左から香川、團子、猿翁、猿之助、段四郎。2011年撮影/共同通信社)
「市川猿之助」の名跡はどうなる? 市川團子が引き継ぐのが既定路線、襲名までは市川團十郎が後見人か
週刊ポスト
天海祐希(写真左/時事通信フォト)と市川猿之助(写真右)
《番宣キャンセル》天海祐希、滲み出る怒り “猿之助騒動”で映画『緊急取調室』ギリギリの公開判断迫られ「せっかくの絆が…!」瀬戸際の18日間
NEWSポストセブン
市議会で議長をつとめていた父・正道氏と青木容疑者
【長野立てこもり】“議長の父の後援会長”だった第一通報者の告白「政憲は、俺の目の前でブスッて…『殺したいから殺しただけだ』って」「父親は事件を聞いて崩れ落ちた」
NEWSポストセブン
悪評が広がり続けている日本維新の会の梅村みずほ参議院議員(時事通信フォト)
「ハンスト発言」騒動の維新・梅村みずほ議員 3年前に有権者に送っていた謝罪メールの「おかしな日本語」
週刊ポスト
市川猿之助は罪に問われる可能性は?
市川猿之助は罪に問われるのか “心中で生き残ったケース”は情状酌量により起訴されない場合も
週刊ポスト
エンゼルス・ネビン監督は大谷翔平とどんな会話をするのか?(提供:LosAngelesAngels)
【独占レポート】エンゼルス・ネビン監督が明かす大谷翔平の凄み「彼がこなすルーティーンより厳しくできる選手はいない」
週刊ポスト
ラッパー・呂布カルマ
グラドル好きの最強ラッパー呂布カルマ、風吹ケイをプロデュース グラビア撮影直後に語り合った「ぎゅうぎゅうの迫力」
NEWSポストセブン
紀子さま(時事通信フォト)
上皇ご夫妻とあわやニアミス! 紀子さま「隠密行動」の京都路でなぜか「見られなかったもの」
NEWSポストセブン
どうなる山川穂高
【強制性交容疑】山川穂高、書類送検で対応に追われるテレビ局 オフの「WBC特番」源田壮亮が代役か
週刊ポスト
帰宅ラッシュの駅に悲鳴が(六代目山口組の司忍組長/時事通信フォト)
【喫茶店で発砲、血の海に】町田・六代目山口組系組員射殺事件、事件直後の凄惨映像が出回る
NEWSポストセブン
花田虎上の元妻・花田美恵子さん(本人のインスタグラムより)
【激変の今】若乃花の元妻「元花田美恵子さん」激ヤセ、身長も縮み「顔が違う」インスタに驚きの声
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 野球まつり!大谷取材&江夏vs江川対談ほか
「週刊ポスト」本日発売! 野球まつり!大谷取材&江夏vs江川対談ほか
NEWSポストセブン