ビジネス

絶好調トヨタ 下請け企業の疲弊ぶりは目を被うばかりの状態

 去る2月4日トヨタ自動車は、今期決算(2015年3月期)の連結営業利益が、前期比18%増の2兆7千億円に達し、過去最高益を更新する見込みであることを発表した。このトヨタの好業績は、円安を背景に輸出採算性が大きく改善したことが大きく寄与したためと見ていいだろう。

 しかし大手メディアはまったく触れようとしないが、こうしたトヨタの絶好調ぶりとは裏腹に、同社の下請け企業や同社に部品を納めるメーカーの疲弊ぶりは、まさに目を被うばかりの状態になっている。トヨタの三次下請け(ティア・スリー)に位置する部品メーカー(本社・愛知県)の社長が言う。

「これまで単価10円で納めてきた部品を、5円に下げられないかと言ってきたのです。理由を聞くと、『中国のメーカーに見積もりを出させたら、単価5円だったから』と言うのです」

 トヨタは、グローバル競争を勝ち抜くために、資材や部品などに関して世界標準価格での調達を徹底している。つまり外国の部品メーカーが5円の単価を付けたら、日本メーカーにもその価格を求めるというもの。

「しかしこの部品の原材料費は7円するのです。そのことを説明した上で、『つまり品質を下げろということですね』と言うと、『それは絶対にダメ』とのこと。この要求を断わってしまったならば、もうトヨタから仕事は回ってこないでしょう。泣く泣く赤字を前提に、値下げ要求を飲みました」(前述の部品メーカー社長)

 まさに「一人勝ち」の状況がハッキリしてきたと言えるだろう。

文/須田慎一郎(ジャーナリスト)

※SAPIO2015年4月号

関連キーワード

トピックス

裁判は全面対決に発展(ZUMApress_AFLO)
水原一平被告が裁判で繰り返した「裏付けのない主張」と「暴露」…“厳罰を望む”大谷翔平の言動からにじみ出る静かなる怒り
女性セブン
大木容疑者(共同通信)。頭部が遺棄された廃マンション
《東大阪・バラバラ遺体事件》「部屋前のインターホンが深夜に鳴った。それも何度も」女性住民が語った“恐怖のピンポン”「住民を無差別に狙っていたのか…」
NEWSポストセブン
車に乗り込む織田裕二(2025年1月)
《フジテレビ騒動の影響》織田裕二主演映画『踊る捜査線 N.E.W.』、主要キャストに出演を打診できないままピンチの状態 深津絵里の出演はあるのか
女性セブン
閑散とした場所に喫煙所(城北公園)
【万博まで約2か月・現地ルポ】路上喫煙禁止条例施行の大阪市「喫煙可能な場所を300か所確保」方針で大騒動 「本当にここに必要か?」「鍵が開かない」…問題が続々噴出
週刊ポスト
『東京2025世界陸上』のスペシャルアンバサダーを務める織田裕二
「くすぶって終わりたくない…」 織田裕二がバラエティ出演を辞さなくなった切実な背景《『世界陸上』に緊急復帰の理由》
NEWSポストセブン
10月1日、ススキノ事件の第4回公判が行われた
「従業員の人が驚くといけないから…」田村瑠奈被告が母・浩子被告に告げた「殺害現場のホテルをキレイにした理由」【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
イギリス出身のボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
「1000人以上の男性と関係を持った」金髪美人インフルエンサー(25)が“乱倫パーティー動画”削除の大ピンチ《世界に波及する“奔放な女”の影響力》
NEWSポストセブン
浩子被告の主張は
「すごい、画期的だ…」娘・田村瑠奈被告と被害男性の“初夜”の日、母・浩子被告が夫に送っていた「驚嘆LINE」【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
怒り心頭のマツコ
《所属事務所社長の失踪で“消えた大金”》マツコ・デラックス“年収7億円”“20億円”説に「本当の金額はかけ離れている」と猛反論 
女性セブン
新証拠が明らかに(左は共同通信)
「深夜3時に猛ダッシュ」大木滉斗容疑者(28)の“不可解な奇行”を捉えた新証拠とエリート大学生時代の“意外なエピソード”《東大阪バラバラ遺棄》
NEWSポストセブン
ビアンカ・センソリ(カニエのインスタグラムより)
《過激ファッション》カニエ・ウェストの17歳年下妻、丸出しドレスで『グラミー賞』授賞式に予告なく登場「公然わいせつ」「レッドカーペットから追放すべき」と炎上
NEWSポストセブン
“既婚者のための新しい第3の場所”ここにあります
《家庭・職場だけではない“既婚者のための新しい第3の場所”を》会員数50万人突破!カドル(Cuddle)-既婚者マッチングアプリが提案する新たな出会いの形
NEWSポストセブン