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海外FX会社のバイナリーオプション 返金トラブルが急増中

海外FX会社のバイナリーオプションに警鐘を鳴らす鶴泰治氏

 FX(外国為替証拠金取引)と並び、店頭デリバティブ取引として商品化されているバイナリーオプション。最も基本的な「ラダー型」は、一定時間後の為替レートがあらかじめ設定されたレートよりも「上か下か」を予想するシンプルなトレードで、FXのビギナーから上級者まで、幅広く利用されている。

 そのバイナリーオプション取引で、このところトラブルが急増しているという。口座での入出金に関わるもので、ほとんどが「口座からお金を出金することができない」というものだ。

 こうしたトラブルには共通している点があり、いずれも海外のFX会社が絡んでいる。ユーザーが出金できないことを伝えると、最初は対応するフリをするのだが、最終的にはなんの対応も取らずに連絡さえ取れなくなってしまう……そんな悪質なケースも相次いでいるのだ。

「このトラブルで大きな問題は、相手のFX会社が、金融庁への登録を行なっていない無登録の海外の業者であるという点です」と語るのは、バイナリーオプション業界の牽引役でもある、FXトレード・フィナンシャル代表取締役社長・鶴泰治氏だ。

「金融庁の規制が及ばないだけでなく、罰則を適用しようにも、海外の会社なので法的に処罰することができないのです。そのため、被害を被った個人投資家が救済されることはまずありません。事実上、泣き寝入りとなってしまう」と警鐘を鳴らす。

 なぜ、そうした無登録のFX業者を利用してしまうのか。理由は大きく2つあるという。 ひとつめは、2013年8月からスタートした、バイナリーオプションの新ルールの影響だ。それまでの1回あたりの取引時間が5分、10分といった超短期トレードが廃止され、最短でも2時間かかるようになっている。

「この新ルールは、国内および海外の会社で金融庁に認可されたすべてのFX会社が守らなければなりません。しかし、無登録の海外業者には守る義務はなく、自由にルールを設定しているのが現状です」(鶴氏。以下同)

 新ルールの策定に、金融先物取引業協会の担当部会の部会長として深く関わった鶴氏は、「新ルールは、投資家保護の観点からバイナリーオプションの投機性を抑制し、その一方で、商品内容を改善することを目的としたもの」と語る。

 かつてFXのレバレッジが段階的に引き下げられた時も、高いレバレッジを提供する海外FX会社に口座開設をするユーザーが見られた。それと同じ構図といえるだろう。

 ふたつめは、ニセのキャンペーンやブログなどの存在。“入金した金額と同額をキャッシュバック”といった通常では考えられないキャンペーンなのだが、それを利用して利益を上げているといったウソのブログを、アフィリエイターなどがネット上に多数でっちあげている。欺く手口が巧妙化しているのだ。

 そうした詐欺に引っかからないためにはどうすべきか。「正式に金融庁に登録されている、国内FX会社で取引することに尽きます」と鶴氏はアドバイスする。

 バイナリーオプションは、正しく活用すれば、資産運用の幅を広げてくれる金融商品だ。安心してトレードするためにも、業者選びは慎重に行ないたい。

※マネーポスト2015年春号

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