芸能

テレビ局関係者が恐れるBPO その成り立ちと検証手順を紹介

 テレビ番組への苦情や放送倫理上の問題などが発生したとき、BPO(放送倫理・番組向上機構)という名前を耳にしたことがあるだろう。

 BPOの成り立ちは、評論家の大宅壮一が1957年、テレビに対して「一億総白痴化」論を唱えたことにさかのぼる。これを機に国会で低俗番組批判が高まり、1965年には前身となる「放送番組向上委員会」が発足した。

 これに、放送による人権侵害に対処する「放送と人権等権利に関する委員会機構」、青少年向け放送に関する「放送と青少年に関する委員会」の二団体が統合され、2003年7月に現在のBPOが誕生した。

 BPOの存在感が一躍増したのは、2007年の『発掘! あるある大辞典2』(関西テレビ系)の捏造問題だ。

 納豆ダイエットに関する放送で虚偽のデータを放送したことが発覚すると、そのほかにも過去に捏造や改竄、不適切な表現があったことが明るみになった。番組は打ち切りとなり、民放連は4月に関西テレビを除名処分とした。

 これを機に第一次安倍政権の菅義偉総務相(現官房長官)はテレビ局への介入権限を強化する放送法改正に動いたが、民放連はそれを阻止するためにBPOの権限強化を表明し、「放送倫理検証委員会」を立ち上げたうえでそれまでなかった調査権を付与した。

 これ以降、強制力はなくても、BPOの意向には従うべきだという不文律が業界内に生まれた。つまりBPOを強くしたのは、テレビ局自身だったのである。では、実際にBPOではどのような検証が行われているのか。

 BPOには、捏造などの問題が起きた番組について調査を行う放送倫理検証委員会、放送による人権侵害を受けた側からの申し立てを受けて審議する放送人権委員会、青少年の視聴や出演に関して審議する青少年委員会の3つの委員会があり、それぞれが検証のうえで調査結果を発表する。

 BPO放送倫理検証委員会の元委員が言う。

「例会は月1回で、夕方4時頃から遅いときは9時頃まで続いた。案件は委員が問題視するものとBPOに苦情が寄せられたものの2種類あり、審議するか否かをまず議論する。

 審議が必要となると、担当の委員を中心に放送局や取材対象者のヒアリングを行ったり、関係各所に質問書を送るなどして忙しくなる。『バンキシャ!』の裏金疑惑誤報問題のときには、専門の弁護士を雇ったうえで1年間近くかけて調査し、重大な放送倫理違反があったと認定し、『勧告』を出した」

 日本テレビはこの勧告に従い、検証番組を作るなどの再発防止策をとった。

※SAPIO2015年5月号

関連記事

トピックス

岸信夫元防衛相の長男・信千世氏(写真/共同通信社)
《世襲候補の“裏金相続”問題》岸信夫元防衛相の長男・信千世氏、二階俊博元幹事長の後継者 次期総選挙にも大きな影響
週刊ポスト
海外向けビジネスでは契約書とにらめっこの日々だという
フジ元アナ・秋元優里氏、竹林騒動から6年を経て再婚 現在はビジネス推進局で海外担当、お相手は総合商社の幹部クラス
女性セブン
二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ
《独立後相次ぐオファー》二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ 「終盤に出てくる重要な役」か
女性セブン
女優業のほか、YouTuberとしての活動にも精を出す川口春奈
女優業快調の川口春奈はYouTubeも大人気 「一人ラーメン」に続いて「サウナ動画」もヒット
週刊ポスト
真剣交際していることがわかった斉藤ちはると姫野和樹(各写真は本人のインスタグラムより)
《匂わせインスタ連続投稿》テレ朝・斎藤ちはるアナ、“姫野和樹となら世間に知られてもいい”の真剣愛「彼のレクサス運転」「お揃いヴィトンのブレスレット」
NEWSポストセブン
デビュー50年の太田裕美、乳がん治療終了から5年目の試練 呂律が回らず歌うことが困難に、コンサート出演は見合わせて休養に専念
デビュー50年の太田裕美、乳がん治療終了から5年目の試練 呂律が回らず歌うことが困難に、コンサート出演は見合わせて休養に専念
女性セブン
今回のドラマは篠原涼子にとっても正念場だという(時事通信フォト)
【代表作が10年近く出ていない】篠原涼子、新ドラマ『イップス』の現場は和気藹々でも心中は…評価次第では今後のオファーに影響も
週刊ポスト
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
破局した大倉忠義と広瀬アリス
《スクープ》広瀬アリスと大倉忠義が破局!2年交際も「仕事が順調すぎて」すれ違い、アリスはすでに引っ越し
女性セブン
大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
韓国2泊3日プチ整形&エステ旅をレポート
【韓国2泊3日プチ整形&エステ旅】54才主婦が体験「たるみ、しわ、ほうれい線」肌トラブルは解消されたのか
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン