前向きな近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
昨年8月末にフジテレビを退社した元アナウンサーの渡邊渚さん(28)。2020年の入社後、多くの人気番組を担当したが、2023年7月に体調不良を理由に休業を発表。退社後に、SNSでPTSD(心的外傷後ストレス障害)であったことを公表した。約1年の闘病期間を経て、再び前に踏み出し、NEWSポストセブンのエッセイ連載『ひたむきに咲く』も好評だ。6月に初写真集となる『水平線』(集英社刊)を発売し大ヒット。そんな渡邊さんが、自身の「健康状態」の変化について赤裸々に綴ります。
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PTSDの症状でなかなか上手くコントロールできなかったのが、あるはずのものがなくなる、できたことができなくなることで生まれる“虚無感”だった。仕事ができない、そもそも普通に歩くことも字を書くこともうまくいかず、当たり前にできてきたことができなくなった。夢や目標、自分の好きなこと、全部失った気がした。
この先の将来について、明るいシナリオなんて一切考えられず、何もない自分には価値がないように思えて、生きている意味すらわからなくなった。健康とは程遠い日々の始まりだった。
「生きることが正しい」
「どんなに辛いことがあってもいつか幸せになれる」
「苦しんだ分、楽しいことがやってくる」
そんな言葉たちを今でも私は信じていない。そんなモヤモヤした2年間の闘病生活の中で、生きるために意識的にやってきたことといえば、“遠すぎない未来に、誰かと何かしらの破れない契約をする”というルールを自分に課すことだった。