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竹島について大前研一氏「実効支配認めた上で漁業権もらえ」

 戦後70年を踏まえ、安倍晋三首相が今夏に発表する談話の検討が始まり、各国が動向を注視している。現在、日本と韓国とは「従軍慰安婦」や「竹島」などでもめているが、このうち竹島について、安倍首相は何を語れば良いのか? 大前研一氏が解説する。

 * * *
 竹島に関しては、現実問題として韓国に実効支配されている。1952年に李承晩ライン(※注)が設定された際、あるいは1965年に同ラインが廃止された際に、武力を使ってでも取り返さなかった日本の負けだ。

【(※)1952年、韓国の李承晩大統領は「海洋主権宣言」を行う。大陸棚の天然資源の保護、利用のために、朝鮮半島周辺に「李承晩ライン」を国際法に反して設定。そのライン内に竹島も取り込んだ】

 領土だと言い張ることは自由だが、いくら領有に関する歴史的事実を主張したところで実効支配されている現状は変わらない。現代世界史を鑑みて、話し合いや調停で国境線が引き直されることはない。ウクライナ問題を見てわかるように、領土を改変するには、その是非はともかく「武力」が必要だ。現実的に、日本が取れる選択肢ではない。

 そもそも、竹島が領土であるかどうかで違うのは、周辺の漁業資源だけだろう。もし島根県の漁師が竹島で操業したいというのなら、実効支配を認めた上で漁業権をもらったほうが得策ではないか。

 とはいえ、この問題は戦後70年の総括にはふさわしくないテーマなので、安倍談話で触れる必要はない。

※SAPIO2015年5月号

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