そこからブンと20数年が経ち、また童貞率は上がった。これが日本男性のセックス離れなのかどうかは、今年実施され来年発表される「出生動向基本調査」の結果でも見ないとなんとも言えない。ただ、すでに童貞ブーム、否、童貞いじりブームはおきている。バブル前夜の頃よりも、童貞当人のプレッシャーは弱いだろうが、童貞のマイナス部分を細かく指摘する視線は増えている。世間はなかなか童貞を放っておいてくれない。
時代が進むにつれ、やれ人権だ、やれ個人情報保護だ、やれプライバシーの侵害だとうるさくなっているが、一方で「このタイプの童貞の問題はですね」と口を挟んでくる社会の小姑化も進行中だ。せせこましい時代だ。
最後にいい話を。調べもの中に、カリスマ童貞・山口明(54歳)なる人物の存在を知った。全身クロムハーツの強面風デザイナーなのに童貞。すでに名言をいっぱい残しているのだが、私が感心したものを一つ転記しておく。
〈居合の達人っていうのは、闘う前からすでに相手を斬っているものよ。俺も女を見たとき、すでに(脳内で)抱き終わっている。それが童貞ロックの真髄じゃないかな〉
突き抜けている、と思う。人類は多種多様なほうがいい。