「最初は競技人口が多い順に15種類発売したのですが、当初からできれば全部の部活をフォローしたい、という気持ちはありました。部活にはみんな強いこだわりを持っている。シリーズの中に自分の競技が無かったら、きっと悲しい思いをするはずですから」

「部活を愛するすべての人に贈る」がこの商品のコンセプトだ。特に、「愛する」がポイントだろう。「書きやすい」「使いやすい」といった「機能」を超えて、帰属する場へのこだわりやアイデンティティを揺さぶり、「思い入れ消費」を誘発する。企画会議ですばやく賛同が集まったのも、消費者の口コミが広がったのも、「部活」と「スポーツ」への二重の愛が商品全体をしっかりと貫いているからではないか。

 東京オリンピックを契機に、スポーツ用品メーカーはシューズやウエアなど新商品開発や販促に力を注ぐ。だが、スポーツとは全く別分野と思われている企業にも、ビジネスチャンスは到来している。各企業にはそれぞれの「強み」があるはずだ。その「強み」と「スポーツ」というテーマを、いかに合体させることができるのか。

 文具とスポーツ。異ジャンル同士が絶妙に合体した「みんなの部活ノート」というヒット商品は、あらゆる産業がスポーツビジネスに参入する可能性を持っていることを、雄弁に物語っている。

※SAPIO2015年6月号

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