金融機関選びの第二のポイントは、手数料だ。DCには加入時に2777円、さらに毎月の掛け金から103円の事務費が差し引かれるほか、さらに金融機関が独自に徴収する運営管理手数料などがある。これは年間で3000円から7000円程度が主流だが、SBI証券やスルガ銀行では資産が50万円以上になると無料になる。ラインナップが合えば、有利だろう。
今回の改正では対象者の拡大のほか、会社員の場合、確定給付企業年金や中小企業退職金共済といった異なる企業年金制度の間での持ち運びが可能になり、転職しても老後の備えを続けやすくなる。また、掛金も従来のような月単位ではなく年単位になるため、ボーナスを利用した年払いも可能になるなど使い勝手が向上する。法案が成立すれば、新制度は2017年1月から適用となる見込みだ。
子どもの教育費や住宅ローンも背負う現役世代にとって、老後資金の準備は容易なことではない。だからこそ、こうした税制面で優遇のある制度を上手に利用して積み立てを続け、豊かなセカンドライフを実現してほしい。
■文/森田悦子(ファイナンシャルプランナー、ライター)
※マネーポスト2015年夏号