たとえば、おもな駅にキャンペーンガールを配置するのはどうでしょう。できるだけ際どいミニスカートで、背中に「駆け上がり、駆け下りはやめてね」と書いたTシャツを着て、エレベーターの空いた側にひたすら乗り続けてもらいます。老若男女問わず多くの人の心に強烈な印象を残すし、とくにオジサンやお兄さんは駆け上って追い越す気には絶対になれないので、おとなしく立ち止まる癖がつくに違いありません。
それはそれとして、もっとも大切なのは、私たちひとりひとりの意識であり行動です。
少しずつでも状況を変えていくために、舌打ちされるのを覚悟の上で、積極的に空いた側に立ち尽くしましょう。「どけよ!」と怒られたら、関東だったら(立つ位置が逆である)関西から来たフリをして「えらいすんまへん。堪忍してくれやっしゃ」と謝り、関西の場合は関東から来たふりをして「おっと、失礼しちゃったじゃん。勘弁してくんな」と謝まれば、きっと大丈夫です(それぞれ伝わりやすいように地域性を強調した表現にしました)。
あるいは、飲み会の席などで、折に触れて「空いた側の手すりを持っている男性って、大人の余裕を感じられて素敵よね」「空いた側の手すりを持っている女性って、凛としていて5割増しでキレイに見えるよね」といった発言を重ねましょう。
近くの異性が意図を察して「そうよねー」と同意してくれたら、意気投合して「手に手を取り合って世の中を変えていこう」という機運が高まるはず。手すりの話だけに、そうなること請け合いです。
ただし、飲み会が盛り上がって帰りが遅くなり過ぎないように、くれぐれも注意しましょう。終電ギリギリだからと焦ってエスカレーターで走ってしまったら、すべてが台無しだし、自己嫌悪にさいなまれそうです。いくらエスカレーターのことを考えてのこととはいえ、何事もエスカレートしてはいけないということですね。