30年以上の経験を持つ為替のスペシャリストで、バーニャマーケットフォーカスト代表の水上紀行氏は、マーケットには攻め時と守り時があると指摘する。トレード時にはそれを見極めることが重要になる。以下、水上氏が解説する。
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米レイバーデーは、「労働者の日」のことで、毎年9月の第一月曜日と定められた祝日です。今年の場合は、9月7日(月)です。この祝日が明けると、米国では、学校が日本の4月にあたる新学期を迎えます。
そして、トレーディングの世界でも、12月に向けた下期のトレーディングシーズンがスタートとなります。本来欧米勢の下期は、6月末の中間決算が終わった後の7月から12月になります。しかし、7月、8月は夏のホリデーシーズンのため、実質的には9月からが下期となるということです。ただし、最近では、やや前倒しになって、8月後半から動きが出始めることが多くなっています。
年によっては、レイバーデー明け直後から動く場合と、1~2週間、間を置いてから動き始める場合があります。いったん方向が決まると、11月から12月初旬に向けて、ワンウェイ(一方通行)に動く傾向があります。
では、どの通貨ペアがその年のワンウェイに走る注目通貨になるかを、どのように物色するかということになります。実はそれほど難しい問題ではなく、8月後半から9月初旬にかけて話題の中心となっている通貨ペアが、その年の下期の注目通貨になることが多いと見ていいと思います。
9月から下期のトレーディングシーズンが始まり、10月、11月を経て、そして、11月末には米系ファンドの本決算、12月中には欧米の金融機関の本決算を迎えます。通常11月の第4木曜日、今年で言えば11月26日(木)の米感謝祭が冬のホリデーシーズンの幕開けとなります。
特に12月15日前後は、一気にポジションをクローズすることがあり、相場は大きく動くことが多いため、十分注意をしておく必要があります。このように、トレーディングにもシーズンがあり、トレーディングの始まりの時期、終わりの時期がありますので、それを知っておかれると、マーケットが今の時期を攻め時(前向きの時)と見ているのか、あるいは手仕舞いの時(後ろ向きの時、守りの時)と見ているのかがわかります。