国際情報

中国辺境都市 一時はロールス溢れたが山手線内側面積無人に

生きた物件装うため外灯つけた無人マンション

 バブルと指摘されて久しい中国不動産市場だが、その崩壊を象徴するのが、街のゴーストタウン化である。中国語で「鬼城(グイチェン)」と呼ぶこの現象は、中国各地で見られる。ノンフィクションライター・安田峰俊氏がその一つ内モンゴル自治区オルドス市の状況をレポートする。

 * * *
 中国一の鬼城と噂されるのがオルドス市だ。同市は、新市街であるカンバーシ新区のほぼ全域が鬼城化。20kmほど離れた旧市街にも鬼城が目立ち、合計すれば山手線の内側面積に相当する広大な空間が丸ごと無人都市になっている。

「石炭の産地であるオルドスは、2000年代前半から露天掘り技術の発達で産出量が激増。爆発的な経済成長が始まりました」

 現地出身の留学生、ジャルガル氏(仮名)は語る。やがて投資が集中し、都市開発が進んだ。その後の展開は他の街よりも極端だった。

「経済成長の幅があまりに大きいため、開発をあせる市政府側は高額で土地を買収。結果、売却金で潤った一般住民までも投資に参入したんです。普通の家庭でも3~4個の不動産を持つのが当たり前になっていきました」(同)

 結果、2010年には同市の一人当たりGDPが全国1位に。街にはフェラーリやロールスロイスが溢れ、美容室や買い物のためだけにビジネスクラスで北京まで飛ぶ金持ちマダムまでも多数出現した。

 だが、2012年に石炭の国際価格が暴落し、資源バブルも崩壊する。現在の石炭価格は往年の半額程度で、炭鉱の6割が休業中だ。市内在住の30代の女性教員は話す。

「2012年時点で1平方mあたり1万元近くしたカンバーシ地区中心部の不動産価格も、いまや半額以下に。売り抜けに失敗した市民は大勢います」

 夜間に街を歩くと、かつては100万人の入居が見込まれた無人のマンション群が寂しく佇む。「生きた」物件であることを示すため、外壁の照明だけが煌々と輝く姿がかえって不気味だ。

※SAPIO2015年10月号

関連キーワード

関連記事

トピックス

中尾彬さん(時事通信フォト)
《“ねじねじ”で愛された中尾彬さん(81)が急逝》大病を機に始めていた“終活”、コワモテ俳優からコメンテーターとして人気を博した晩年
NEWSポストセブン
杉咲花と若葉竜也に熱愛が発覚
【初ロマンススクープ】杉咲花が若葉竜也と交際!自宅でお泊り 『アンメット』での共演を機に距離縮まる
女性セブン
亡くなったシャニさん
《7か月を経て…》ハマスに半裸で連行された22歳女性が無言の帰宅、公表された最期の姿「遺体の状態は良好」「肌もタトゥーもきれいに見える」
NEWSポストセブン
別居を認めたMEGUMI
《離婚後の大活躍》MEGUMI、「ちゃんとした女優になる」を実現!「禁断愛に溺れる不倫妻」から「恐妻」まで多彩な“妻”を演じるカメレオンぶり
NEWSポストセブン
フジコ・ヘミングさん(撮影:中嶌英雄)
《フジコ・ヘミングさん追悼》「黒柳徹子さんがくれたお土産」「三輪明宏さんが家に来る時は慌てて…」密着した写真家が明かす“意外な交友関係”
NEWSポストセブン
ギャンブル好きだったことでも有名
【徳光和夫が明かす『妻の認知症』】「買い物に行ってくる」と出かけたまま戻らない失踪トラブル…助け合いながら向き合う「日々の困難」
女性セブン
破局報道が出た2人(SNSより)
《井上咲楽“破局スピード報告”の意外な理由》事務所の大先輩二人に「隠し通せなかった嘘」オズワルド畠中との交際2年半でピリオド
NEWSポストセブン
ポジティブキャラだが涙もろい一面も
【独立から4年】手越祐也が語る涙の理由「一度離れた人も絶対にわかってくれる」「芸能界を変えていくことはずっと抱いてきた目標です」
女性セブン
木本慎之介
【全文公開】西城秀樹さんの長男・木本慎之介、歌手デビューへの決意 サッカー選手の夢を諦めて音楽の道へ「パパの歌い方をめちゃくちゃ研究しています」
女性セブン
大谷のサプライズに驚く少年(ドジャース公式Xより)
《元同僚の賭博疑惑も影響なし?》大谷翔平、真美子夫人との“始球式秘話”で好感度爆上がり “夫婦共演”待望論高まる
NEWSポストセブン
中村佳敬容疑者が寵愛していた元社員の秋元宙美(左)、佐武敬子(中央)。同じく社員の鍵井チエ(右)
100億円集金の裏で超エリート保険マンを「神」と崇めた女性幹部2人は「タワマンあてがわれた愛人」警視庁が無登録営業で逮捕 有名企業会長も落ちた「胸を露出し体をすり寄せ……」“夜の営業”手法
NEWSポストセブン
河村勇輝(共同通信)と中森美琴(自身のInstagram)
《フリフリピンクコーデで観戦》バスケ・河村勇輝の「アイドル彼女」に迫る“海外生活”Xデー
NEWSポストセブン