料金体系が不透明であり、業者任せにしていたら思わぬ高額な請求をされることも多い葬儀。納得のいく葬儀を安く済ませるにはどうすべきか。ジャーナリストの鵜飼克郎氏が解説する。
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複数の業者から見積もりを取る際にはコツがある。
「インターネットで業者を探す場合、極端に安い料金設定をアピールしている業者はオプションで追加料金として吊り上げていくケースが少なくありません」(消費者センター担当者)
一方、ネットでは料金を明らかにせず「お問い合わせください」と書いてある業者も高いケースが多いという。
信頼できるのは、口コミだ。近所の人や知人・親族から聞くのはもちろん、町内会長や町村議会議員などは良心的な葬儀業者を知っていることが多い。
候補となる業者をいくつか見つけたら、参列者数や葬儀形式を決めて同じ条件で具体的な見積もりを出してもらい、比較する。 NPO法人「葬儀費用研究会」の冨永達也事務長がいう。
「他の業者との料金の差をはっきりさせるために最も安い直葬(通夜や告別式などを行わない、火葬のみの葬儀)の値段を聞くことが効果的。これに家族葬の場合の式場や祭壇など最低限のものを付け加えていく。
その時に棺や祭壇のグレードアップを前提にして料金を吊り上げてくるようなら、“故人の遺志です”と断ること。家族葬なら故人のスナップ写真があれば、数万円の別料金が必要になる遺影も不要です。
また、初めから花がセットになっている必要はなく、参列者の供花で棺を囲んで祭壇にすることで費用を抑えることができます」
見積もりを取る際には「他の業者にも見積もりを依頼している」と伝えることが重要だ。そこで“うちで早く決めないと、いい式場が押さえられない”などと言ってくる業者は候補から外していい。
「イオン」や「コープ」のように葬儀の“品質基準”を定めた格安セットプランを提案する「ブランド展開型業者」も出てきた。それらと比較することも参考になるだろう。
※SAPIO2015年10月号