芸能

『情熱大陸』に登場 プラントハンター西畠清順氏の熱い思い

プラントハンターの西畠清順氏

 1年間の移動距離は地球10周分。目まぐるしい日々を送りながら、常に爽やかな 笑顔を絶やさず、まるで少年のように稀少な植物を追い求める姿は、『NHKスペシャル』や『情熱大陸』などテレビで映し出されるたびに「勇気をもらった」「感動した」というファンを増やしてきた。

「おれは誰よりも植物が好きだ」と今どきまっすぐに話す西畠清順さんは、「プラントハンター」と呼ばれる。『プラントハンター西畠清順 人の心に植物を植える』(NHK取材班編、小学館)が発売となり、さらに注目を集めている。

 風貌は長い髪、無造作な髭と浪人のようなイメージだ。「ひとの心に植物を植える」をテーマとした「そら植物園」の代表で、全国の建築物やイベントの緑化のコンサルタントを担っている。さらに、プラントハンターとはクライアントのニーズに応じて、世界中から植物を探して持ち帰っている。ノンフィクション作家の稲泉連さんが、西畠さんに迫った。

 * * *
 西畠さんが植物の世界に魅了されたのは、21才のとき。大学を卒業後、父親の勧めで海外を旅していた際、ボルネオ島にあるキナバル山の登山中に「ネペンテス・ラジャ」という名の巨大食虫植物を見た。日本名・オオウツボカズラ。濃い紫色をしたグロテスクで異様な巨大植物が、ジャングルの中で大口を開けて自分を待ち受けるように生えていた。

「こんなスゴイもんが土から生まれてくるんや、って言葉にならない衝撃を受けました。以来、魔法にかかったみたい植物が好きになったんです」

 それまで彼は実家の植物の生産卸問屋「花宇」の跡を継ぐつもりはあったが、植物そのものに対してはほとんど何も知らなかった。

「桜と梅の違いもわからず、女の子に『セイジュンは花屋さんでしょ? パキラってかわいいよね』と言われても、そのパキラが何かもわからなかったくらいやった」

 だが、ネペンテス・ラジャとの出合いによって、それが変わった。帰国後に「花宇」へ正式に入社すると、猛然と修業を積んだという。「今でもおれの原点は、あのとき自分が感じた驚きの感情なんです」と彼は語る。

「おれが21才で初めてネペンテス・ラジャに会ったように、人が植物の世界に目 覚めるためにはきっかけが必要なんです。こういう都会ではなおさらね。あらゆる桜を一斉に咲かしたり、イベントをやったり、植物園を造ったり。その中で植物ってスゲーっていうあのシンプルな感情を伝えたい」

 清順さんは昨年、南米アルゼンチンに生息する「パラボラッチョ」の巨木を、日本へ初めて輸入した。パラボラッチョは瓶のような形をした謎めいた木で、実際に目にすると生命の不可思議さに唖然とさせられるようなユニークさを持つ。この木を日本に持ち帰るまでの冒険は、『NHKスペシャル』で放映され、視聴者に衝撃を与えた。

「パラボラッチョのことを全く知らなかった大勢の人があのドキュメンタリーを見て、“なんてすごい木があるんだ”と思ったとすれば、そのときにはもう頭にあの木が植え付けられているんです。だから、どこかのイベントで実際におれが運んできたパラボラッチョを見て、うわーとなる。植物をみんなの頭の中に植え込んでやりたい。いつもそう思いながら旅をしています」

撮影■小倉雄一郎

※女性セブン2015年10月8日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

体調を見極めながらの公務へのお出ましだという(4月、東京・清瀬市。写真/JMPA)
体調不調が長引く紀子さま、宮内庁病院は「1500万円分の薬」を購入 “皇室のかかりつけ医”に炎症性腸疾患のスペシャリストが着任
女性セブン
(公式HPより)
《確信犯?偶然?》山下智久主演『ブルーモーメント』は『コード・ブルー』と多くの共通点 どこか似ていてどこが似てないのか
NEWSポストセブン
タイトルを狙うライバルたちが続々登場(共同通信社)
藤井聡太八冠に闘志を燃やす同世代棋士たちの包囲網 「大泣きさせた因縁の同級生」「宣戦布告した最年少プロ棋士」…“逆襲”に沸く将棋界
女性セブン
学習院初等科時代から山本さん(右)と共にチェロを演奏され来た(写真は2017年4月、東京・豊島区。写真/JMPA)
愛子さま、早逝の親友チェリストの「追悼コンサート」をご鑑賞 ステージには木村拓哉の長女Cocomiの姿
女性セブン
被害者の平澤俊乃さん、和久井学容疑者
《新宿タワマン刺殺》「シャンパン連発」上野のキャバクラで働いた被害女性、殺害の1か月前にSNSで意味深発言「今まで男もお金も私を幸せにしなかった」
NEWSポストセブン
睡眠研究の第一人者、柳沢正史教授
ノーベル賞候補となった研究者に訊いた“睡眠の謎”「自称ショートスリーパーの99%以上はただの寝不足です」
週刊ポスト
NHK次期エースの林田アナ。離婚していたことがわかった
《NHK林田アナの離婚真相》「1泊2980円のネカフェに寝泊まり」元旦那のあだ名は「社長」理想とはかけ離れた夫婦生活「同僚の言葉に涙」
NEWSポストセブン
公式X(旧Twitter)アカウントを開設した氷川きよし(インスタグラムより)
《再始動》事務所独立の氷川きよしが公式Xアカウントを開設 芸名は継続の裏で手放した「過去」
NEWSポストセブン
大谷翔平の妻・真美子さんを待つ“奥さま会”の習わし 食事会では“最も年俸が高い選手の妻”が全額支払い、夫の活躍による厳しいマウンティングも
大谷翔平の妻・真美子さんを待つ“奥さま会”の習わし 食事会では“最も年俸が高い選手の妻”が全額支払い、夫の活躍による厳しいマウンティングも
女性セブン
広末涼子と鳥羽シェフ
【幸せオーラ満開の姿】広末涼子、交際は順調 鳥羽周作シェフの誕生日に子供たちと庶民派中華でパーティー
女性セブン
林田理沙アナ。離婚していたことがわかった(NHK公式HPより)
「ホテルやネカフェを転々」NHK・林田理沙アナ、一般男性と離婚していた「局内でも心配の声あがる」
NEWSポストセブン
猛追するブチギレ男性店員を止める女性スタッフ
《逆カスハラ》「おい、表出ろ!」マクドナルド柏店のブチギレ男性店員はマネージャー「ヤバいのがいると言われていた」騒動の一部始終
NEWSポストセブン