イギリスでカレー粉が生まれ、やがて純国産のカレー粉ができ、フレーク状のルウを経て、1950年代には日本独自のカレールウが誕生した。
「固形ルウの登場で、日本全国へ爆発的にカレーが広まりました。甘口で子供向けの『バーモントカレー』、スパイシーな大人向けの『ゴールデンカレー』、高級路線の『ディナーカレー』、カレーに“コク”という新概念を打ちたてた『熟カレー』が、エポックメイキングな4銘柄。インド人も日本のルウカレーを美味しいといいますよ(笑い)。そこから派生したレトルトカレーも日本が誇る発明品です」(同前)
固形ルウの普及に伴い、一般的になったのが“隠し味”。これもまた独自の文化だという。
「タマネギを飴色になるまで炒めたり、ルウを何日か寝かせてみたり、隠し味をあれこれ入れたりといった工夫は、インド人もイギリス人もしていない。ところが日本では隠し味のチョコひとつとっても、どの銘柄が好みかで、議論がすごく盛り上がる。そこが日本のカレーが発展した原動力で、まだまだ進化すると期待しています」(同)
●監修:東京カリ~番長 1999年結成の出張料理ユニット。『ニッポンカレー大全』(小学館刊)などの著書がある調理主任の水野仁輔氏ほか、男性11人で構成。全国各地のイベントに出張して、テーマに合わせたカレーと音楽を提供している。商品開発やメディア出演も多数。
撮影■河野公俊
※週刊ポスト2015年10月9日号