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安保法制違憲訴訟 もし実現すれば来夏の参院選に影響必至か

国会前の反対集会

 安保法案反対運動は意味が無かったのか。法案が成立すれば「もう終わり」なのか。フリー・ライターの神田憲行氏が考える。

 * * *
 安保法制が国会で成立し、国会前で行われていた反対集会・デモについて総括のようなことが、ネットの至る所で取り沙汰されている。

 そのなかで首都大学東京准教授の木村草太氏の新刊「集団的自衛権はなぜ違憲なのか」(晶文社)に、私が共感できる部分を見つけたのでご紹介したい。木村氏は最近注目を集めている憲法学者で、今年7月に衆議院特別委員会中央公聴会で、ご自身の「違憲論」を公述もしている。

 この本の「あとがき」で、木村氏は冒頭からこう述べている。

《報道を見ていると、現在の政府に対して「戦争法案はやめろ」といったスタンスの反対運動が盛り上がっているようだ。これには、1人の国民として共感する一方で、憲法学者としては若干の違和感を覚える》

 違和感の理由は、集団的自衛権が国際平和に貢献する問題意識から生まれたものだからと、木村氏はする。

《しかし一方で、政府が主張する集団的自衛権行使容認にはそのような崇高な理念は感じられない。日本の利益ばかりを優先して、他の国々のことなど念頭にないように思える》

《だから「戦争法案だ」と直感的に非難するのは、正しいのだろう。こうした直感的な言説は、多くの共感を生み、現に、市民による反対運動は広がりを見せている》

 私が共感したのは、ここから先だ。

《ただ、ここで気になるのは、直感による言説は、共感は呼んでも説得はできないということだ》

《「これは戦争法案などではない」と考える人を説得するには、自分たちの感じていることに対し理論によって形を与えることがどうしても必要だ》

《また、直感に基づく行動力は、強い情熱によって多くの人を惹きつける一方で、時の経過と共に冷めやすい》

《憲法学の理論は、多くの国民が感じている政府への直感的な不信感に、理論としての形を与える。ぜひこれを共有して、これからの日本がよりよい方向に進むよう、政府を監視するために役立ててほしい》

 木村氏の「直感」という部分を「エモーショナル」と表現して批判するのが、堀江貴文氏だ。堀江氏は9月17日付けのブログ「私がSEALDsをdisる理由」で、

《なんで私がこれだけ彼らの行動をしつこくdisるのか。それはこういう小さい動きから国全体が間違った方向に導かれる事が多いからだ》

 とし、

《そして、デモに参加してる人たちの多くは法案を理解せず、本気で戦争になると思って参加してる雰囲気に流される人達だ。こういう人は、得てして例えば戦争になったら戦争を煽る方向に行ったりする。戦争中は朝日新聞だって戦争を礼賛していたよね。論理的に間違っている事を盲信して、雰囲気に流されて体が動いてしまう人は私は危険だと思う。だからしつこく否定する》

 さらに翌18日のブログでは自分に罵声を浴びせてきたツイートを紹介した上で、

《安保反対派の多くにこのような人達が多いということ。つまり事実誤認に基づくセンセーショナルな言説に飛びつき間違った行動をしてしまうのである。わたしは散々そういうことをやられてきたので切実にそう思う》

《わたしは少しでもロジックがエモーショナルな言説に負けないように努力したいと思う。》

 と結んでいる。

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