堀江貴文一覧

【堀江貴文】に関するニュースを集めたページです。

エンタメ系、キッズ、アスリートなど各ジャンルで注目を集めるYouTuberをピックアップ
YouTuberランキング日本版 ジャンル別に人気の売れっ子を紹介
 メディアの王様だったテレビを凌駕するほどに影響力を持ちつつあるYouTube。日本において登録者が100万人を超す売れっ子YouTuberのチャンネルは240以上。近年ではチャンネルのジャンルは細分化されるようになった。そこで、ジャンル別に人気YouTuberのチャンネルランキングを紹介する。(参考:ユーチュラ ※登録者数、総再生回数は8月17日時点)【エンタメ系】 特定の専門ジャンルを持たず、さまざまな娯楽動画を投稿している「ザ・YouTuber」たちのチャンネル。ヒカキン(1位、HikakinTV)、はじめしゃちょー(2位)をはじめ黎明期から活動する有名クリエイターが多い。また多くがその知名度を活かして「サブチャンネル」を複数開設し、そちらでも多くの登録者と再生回数を獲得している。【芸能人】 漫才コンビ・キングコング梶原(カジサック KAJISAC、3位)の成功やコロナ禍の煽りを受けて、芸人やタレントがここ1~2年の間に急激に参入。一気に膨れ上がったジャンルだが、ジャニーズ発のユニット「ジャにのちゃんねる」が開設4か月で1位になった。2位は「ワンクールのレギュラーより1回の伝説」という座右の銘で知られる江頭2:50(エガちゃんねる EGA-CHANNEL)。【キッズ】 子供が熱中するおもちゃの紹介や知育動画など、育児や子供向けの情報を提供するキッズ系チャンネル。他のジャンルに比べて全体の登録者数が多いのが特徴で、1位の「せんももあいしーCh(Sen, Momo, Ai & Shii)の登録者数は1030万人と、エンタメ系1位の「Hikakin TV」970万人を超えている。しかし、キッズ系は動画1再生あたりの広告収入は低いとされている。【ゲーム】 ゲームをプレイしながらその様子をYouTuberが実況する「ゲーム実況」が大半を占める。ニコニコ動画で発展したものが、現在はYouTubeでも人気ジャンルとして定着している。他のジャンルをメインとしながらゲームに参入するYouTuberも多く、1位はエンタメ系でも1位のヒカキンによる「HikakinGames」。【アスリート】 現役・引退後を問わず多くのアスリートがYouTubeに参入している。トレーニングの様子や専門的な解説をはじめ、オフやプライベートの姿などを披露している。総合格闘家の朝倉兄弟による「朝倉未来 Mikuru Asakura」(1位)と「KAI Channel」(朝倉海、2位)をはじめ、格闘家のチャンネルが人気上位となっている。【カップル系】 男女のペアで出演するカップル系動画は、主に若年層の男女から支持を集めている。ターゲットの性別を偏らせない構成で多くの視聴者を獲得している。出演しているペアは現在は夫婦になった東海オンエアのしばゆーとあやなんによる「しばなんチャンネル」(1位)のように実際のカップルのみならず、元ビジュアル系バンドボーカル、ヴァンビと元アイドルのゆんによる「ヴァンゆんチャンネル【VAMYUN】」(2位)のように、チャンネル運営上のパートナーの場合もある。【教養系】 歴史や勉学、雑学、ビジネス、投資、法律などの知識を披露する教養系。相続や税金など実用的な法知識を解説したものも多いが、中田敦彦(「中田敦彦のYouTube大学- NAKATA UNIVERSITY」1位)や堀江貴文(「堀江貴文 ホリエモン」5位)など「物言う」著名人が名を連ねているのも特徴だ。【VTuber(バーチャルYouTuber)】 VTuber(バーチャル YouTuber)とは架空のCGキャラクターを用いた配信者を指す。アニメのキャラクターと声優との関係に近い。投げ銭が高額化し収益性が非常に高いのが特徴。キズナアイ(「A.I.Channel」1位)がブームの火付け役となり、YouTubeの一大ジャンルとなった。【美容・フィットネス系】 コスメ情報やメイク指南、スキンケア、ボディメイクなどを紹介する美容・フィットネス系は、広告案件にも繋がりやすいジャンル。コロナ禍による運動不足解消のための自宅トレーニングを披露している竹脇まりな(「Marina Takewaki」)が1位となっている。【アウトドア】 アウトドア系動画は、遠出ができない昨今でも雄大な自然を堪能できることや、専用のギア(道具)の紹介など、ロマンをくすぐるコンテンツが多い。近年のキャンプブームもあり、芸人のヒロシ(「ヒロシちゃんねる」3位)はソロキャンプ動画で人気が再燃した。1位は佐賀を拠点に活動する「釣りよかでしょう。」。【動物】 身近なペットの愛らしさを伝える動物動画は、手軽にYouTubeを始められるため参入のハードルは低い。犬猫の動画が多い中、鳥類や爬虫類のチャンネルも人気が高い。1位はスコティッシュフォールドのもちまるの日常の動画を投稿する「もちまる日記」、5位はコツメカワウソのコタローとハナの日常生活「KOTSUMET」。動物系動画は言語を必要としないため外国のユーザーも含めて多く視聴されるメリットがある。※週刊ポスト2021年9月10日号
2021.08.28 19:00
週刊ポスト
「新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA)」(時事通信フォト)
誰かを「コロナ脳」呼ばわりして、何かいいことあるはずがない
 コミュニケーションのあり方は多様化している。もちろん言葉の選び方には気をつけるべきだろう。コラムニストのオバタカズユキ氏が指摘する。 * * * 今年の春に新型コロナの緊急事態宣言が発令されて以来、とんとご無沙汰だった馴染みのバーで先日飲んだ。途中から客が私一人になって、店がいかにコロナに振り回されてきたか、たっぷりマスターの愚痴を聞くことになった。ひとしきり話し終えた後、彼がこんな言葉を漏らした。「いやー、いろいろ話せてちょっと気持ちが楽になりましたよ。店でコロナの話はタブーですからねえ」 タブー? その意味するところを尋ねてみると、コロナについてはお客によって考え方や感じ方がさまざまで、かつ、意見が対立しやすいので、話題にするのを極力避けてきたとのこと。実際に、この話題で店内が険悪な空気になったこともあるという。 酒場で政治と宗教とプロ野球について話をすることはタブーだと、昔から言われているが、今日ではそれにコロナが加わったようである。たしかに、感染予防のためにどれだけ行動自粛するかという点でも、人によってかなりの違いがある。私のように、静かにグラスを傾けるバーで楽しむぐらいはOKだろう、という人間もいれば、そういう夜遊びなんて危なっかしくてとんでもないと思う人間もいる。 明らかな三密状態は避けようとか、手洗いやアルコール消毒はマメにしましょうとか、他人に伝染さないためにマスクをしましょうとかいったあたりは、アンダーコロナ社会におけるマナーとして、ほとんどの日本人が共有していると思うが、そこからちょっと離れたことになると意外に人それぞれだ。 いや、上記のうちマスクについては、最近、ちょっと状況が変わってきている気もする。誰から強制されたわけでもないのに、みんな外出時にマスクを着用している日本人の同調性について、欧米人は「なぜ?」と不思議に思うそうだが、このところは夜の繁華街で主に若い人たちがノーマスクでわいわい騒いでいる姿をよく目にする。そのまま電車に乗って大声でのお喋りを続ける連中も少なからずいて、自粛について比較的ゆるめな私でも「ちょっとやばい感じだな……」と戸惑ったりしている。「マスク信者」に「マスク原理主義」 若い人はもし感染しても滅多に重症化しないから、飲んだ勢いで、「知ったことかー、俺たちは自由だー」というノリになってしまうのだろう。気持ちはわからないでもないので、そうした姿を見かけてもスルーしているが、もし私が「君たち、電車内ではマスクをしようよ」と注意したらどうなるか。案外、素直に従ってくれる気もするけれども、中には舌打ちして「(このマスク信者め……)」と睨み返してくる者も混じっていそうだ。いや、そういう目で自分が見られたくないがゆえに、私はノーマスクで騒いでいる若者を注意できないのかもしれない。「マスク信者」に「マスク原理主義」。科学的にどれだけ感染予防効果があるのか、確実なエビデンスがあるわけではないマスクの着用をとにかく絶対視し、そこから先は思考ストップしてしまっている人たちのことを、ネット上ではかなり早い時期からそんなスラングで侮蔑する向きがある。 侮蔑。そう、「マスク信者」や「マスク原理主義」といったスラングを使う人たちは、たいてい上から目線だ。そして、対象者を全否定している感がある。攻撃性が強い。 科学的に無知で、自分が無知であることの自覚もなく、ただひたすらにマスク着用を強要してくる人がいたら、なるほどウザい。侮蔑語で斬って捨てたくもなる。ただ、人にはそれぞれの事情もあり、マスク着用を前提にやっていかなきゃいけない場合もある、といった想像力もないといけない。 少し前に、堀江貴文が広島県の尾道で餃子店に入ろうとしたところ、このマスクの件でトラぶったという話があった。同行者の1人がノーマスクだったことで入店を拒否され、堀江が店主と揉めたそうなのである。そのちっぽけなトラブルについて、圧倒的な配信力のある彼がフェイスブックで公開投稿。餃子店の店主もブログで反論したところ、炎上してしまい、結果、いたずら電話が店にがんがんかかってきて、奥さんが体調不良となり、店は休業に追い込まれてしまった。 この件は、店側も下手に反応しないでやり過ごせば良かったのだが、それ以上に、堀江貴文の最初の投稿に問題があったと思う。部分引用すると、彼はこんなふうに書いた。〈「ウチはマスクしてないと入店できないんです」の一点張りで話が先に進まない。そしたら店主らしき人が出てきて「ホリエモンか?」とかいきなり言われて、同じ話をしたら「面倒くさいんで入店しないでくれ!」とピシャリ。マジやばいコロナ脳。狂ってる〉〈とにかく来店時さえマスクをつけて黙っていろってスタンスなんだろうけど、別にマスク着用を拒否してるわけでもなく、ルールの厳しさを聞こうと思ってるだけなのに超失礼な対応されて怒りに震えてる。なんかピーチの飛行機の中でマスク拒否して飛行機降ろされた人じゃないけど、そろそろこのマスク原理主義なんとかならんもんかね。社会がギスギスしてる〉 ううむ、社会のギスギスは、こういう投稿で尚更増してしまうのではないだろうか。 文中とても気になったのは、彼の言葉使いだ。〈そろそろこのマスク原理主義なんとかならんもんかね〉と、斬って捨てる系の侮蔑語をここぞと使用している。そして、前段の〈マジやばいコロナ脳〉。「コロナ脳」というスラング、これも非常に侮蔑的だし、使ったら最後、そこから先に何かあるかもしれない相手の事情への想像、それこそ思考をストップさせるやばい言葉なんじゃないだろうか。 餃子店の店主がなぜ強くマスクに拘ったのかはわからない。が、その人ならではの考え方、基準があるはずなのである。店には「マスク未着用の方はお断り」という張り紙がされていたそうだが、それがこの店主の方針であり、意思表明である、そういう人もいるよね、とりあえず以上ということでいいんじゃないだろうか。 繰り返すが、人にはそれぞれの事情がある。たとえば、医療や介護従事者は人一倍コロナに敏感だ。なぜなら、もし自分が感染してしまったら、職場全体が検査対象になり、活動をストップしなければならなくなる可能性が高いからだ。 家族に高齢者や基礎疾患のある人がいる場合も、敏感になる。重症化や死亡リスクへのリアリティが、そうでない人に比べて格段に高い。身近な人に問題がなくたって、そもそも心配性の人もいる。それはもしかしたら、動物の個体として慎重に行動しないと生存しにくい身体の持ち主だから無意識にそうしているのかもしれない。対立構造をこじらせる効果しかない そんなこんなの事情がいろいろあるのだから、侮蔑語のレッテル貼りはやめようじゃないかと、言っておきたいのだ。特に「コロナ脳」には強い攻撃性を感じる。かつて「放射脳」というスラングがあったが、あれと同じだ。対立構造をこじらせる効果しかない。ためしに、ツイッターを検索してみると、以下のように使われていた。〈左翼というのは物事を上っ面だけでしか見れない。差別があれば差別はよくないと叫ぶし、感染が広がればロックダウンしろと叫ぶ。何故そうなのかを全く考えられない。ツイッターだと面白い具合に左翼はコロナ脳だし、コロナ脳は左翼。自分のことを頭がいいとは思わないけど、左翼は本当に頭が悪いと思う〉〈コロナ脳は疑問力が0未満で、普通なら疑問に思う事も疑問に思わずスルーしてしまう。この何も考えてないろくでもない常識に凝り固まったバカが、こちらが非常識だみたいに確信をもってバカにしてくる。 この馬鹿たちには猛烈に腹が立つ。思考できないくせ偉そうに主張するんじゃねえよ〉〈コロナ脳ババアマジで死ねよ そんなにソーシャルディスタンス(笑笑)守りてぇーならバス乗んなよ高齢者なんたらでタダ乗りしてる分際で文句言うんじゃねーよアホ〉 読むほどに殺伐としてこないだろうか。こんなふうに誰かを「コロナ脳」呼ばわりして、何かいいことあるはずない。 敏感派の中には、以下のようなツイートをしている人もいる。〈私は隠れコロナ脳です…子供は学校に行かせてるし、ノーマスクな職場にうんざりしながらも仕事続けてるけど、友達からのお誘いはなんだかんだと理由をつけて断って、いまだに買い物も外出も最低限。毎日Twitterでコロナ情報チェックして…〉 この女性が「隠れ」なくても済む社会の寛容さが、もっと欲しいと思う。コロナ禍はこれからどうなるかわからない。年内は当然、来年になっても収束の目途がつかないまま、マスク必着でちょっと息苦しい毎日が続く可能性も大いにある。 自粛の仕方は、人によってよりばらけてくるだろう。自分と違う考え方、やり方の人を前にして、イラッとすることも増えるかもしれない。でも、そこをぐっと我慢というか、さらりと受け流すというか、下手に白黒をつけようとせず、できればどちらにも理解を示せる人間でありたいものだ。そんな一種の胆力が試される時代に、我々は生きている気がする。
2020.10.11 16:00
NEWSポストセブン
“安倍親衛隊”の今後はどうなる?(時事通信フォト)
アベノマスク つけ続ける安倍首相とつけない閣僚たちの怪
 空中ブランコ、富士登山など、体験取材を得意とする女性セブンの“オバ記者”ことライター・野原広子(63才)が、世の中で起きる出来事にゆるくツッコミを入れる。今回のテーマは「『ゴリ押し』のはずが『見送り』って、結局のところ、なんなのよ!?」。 * * *『#検察庁法改正案に抗議します』 やけにモノ堅いことを小泉今日子がツイッターでつぶやいた、と聞いてネットを開いたら、浅野忠信、井浦新、大久保佳代子、城田優…以下続々。さらにはツイッターのフォロワーが523万人超えのきゃりーぱみゅぱみゅがこのハッシュタグを使って意思表明。わずか2日で投稿数が600万件超えって、仮に1人で何回も繰り返し投稿してたとしても尋常な数じゃないって。 そうなるとコメント欄での場外乱闘も激しくなって、きゃりーはとうとうツイートそのものを消去しちゃったけど、言い出しっぺの小泉今日子は、アベノマスクを「その汚らしさを具現化」「ここまでくると、怖い」と一歩も引かず。「芸能人が政治に口を出すの、好きじゃない」と言う人もいるけど、そう? 私はそう思わないわ。だってみんないままでたっぷり税金を払ってきた人たちだよ。それが仕事が減って、急に家に居だして、政治家のやること言うことに注目しだしたら、「はあ~?」と思わない方がおかしいって。 前にも書いたけど、自民党の幹事長だった安倍総理を政治資金パーティーで見かけたとき、体から発するオーラに圧倒されちゃってね。そのときの残像でつい、彼をひいき目で見ていたの。それが、緊急事態宣言が出た4月7日以降、テレビで彼を見ると怒りで血圧が上がるんだわ。 キョンキョンたちが反対している検察庁法改正案だって、ひどい話よ。これまで検察官の定年は63才と決められていたのに、お気に入りの黒川弘務東京高検検事長(63才)を手元に置いときたくて、定年延長を1月に強引に決めちゃった。それをちゃんとした法律にするために、国家公務員の定年を60才から65才に引き上げようという国家公務員法等改正案の中にまるっと入れた。この法律が動き出す2年後には、「内閣が認めれば、その年齢を過ぎても役職にとどまることができる」って、どんだけ黒川氏が必要なの!? 先の見えない不安でいっぱいの毎日を積み重ねているコロナ禍のさなかに法改正しようとするからには、よほどの理由があるんだな、と誰だって思うって。 立憲民主党の枝野幸男代表がそれを「火事場泥棒」と面と向かって罵ったのに、安倍総理にはヌカに釘。“元安倍シンパ”の私からすれば、「ちゃんと説明してよ」と思わず拳を握っちゃったわよ。 でも、立場が違えば見方も違ってね。逮捕されて検察官の取り調べをみっちり受けたホリエモン(堀江貴文さん)や元外務省職員の佐藤優さんは、「検察官は司法試験に合格しただけなのに権力を持ちすぎている。国民に選ばれた政治家が司法に口をはさめるようにした方がいい」と、検察庁法改正案に賛成なのよ。 私の身近にも、「黒川さんのことさえなければ、いい法案だったんだよ」と言う人はけっこういたのよ。国家公務員の定年延長だって、何年もかけて議論してきたんだって。でもそういう人も例外なく、最後は「なんで妙なものを入れたのか」って言うの。 でもって結局、法案見送り(5月18日時点)って何よ。なら最初からやるなって。思えば安倍さんって、しなくてもいいことをして、私たちを絶望のどん底に落とすんだよね。 その最たるものがアベノマスクだと思う。「4月17日から配り始めます」ときっぱり言ったのに、その日から1か月たったいまも、届いたのは一部の地域だけ。5月14日夕方に、「39県で緊急事態宣言を解除します」と記者会見したけど、マスクの“マ”の字も出やしない。466億円の出費を総理の一存で決めたんだよ。それもどうかと思うけど、マスクの輸入代理店に怪しげな会社が紛れ込んでるわ、マスクにも異物が紛れ込んでいるわ。それで検品作業にさらに8億円かけるって、「非常時だから」じゃ済まないって。 しかしこのマスク、いろんなものを見せてくれたよね。たとえば、金と号令だけじゃモノはできない、ということとか。アベノマスクをつけ続ける安倍総理の強情っぷりとか。その親分と同じマスクをつけた閣僚が1人もいなかったこととか。 それでも総理大臣断トツ1位の長期政権。これをおかしいって、いま声を上げないでいつ上げるのよ!※女性セブン2020年6月4日号
2020.05.23 16:00
女性セブン
再生回数を増やし続ける講演家YouTuber(イラスト/ヨシムラヒロム)
講演家YouTuber鴨頭嘉人氏の動画再生回数が増え続ける理由
 YouTubeには「講演家」なる肩書きを名乗る人気者がいる。そり上げた頭に、情熱的な語り口、やたら広告に表示される鴨頭嘉人氏だ。数年前に動画をみたときは感銘も共感もできなかったと語るイラストレーターでコラムニストのヨシムラヒロム氏だが、最近、別の意味で気になっているという。ヨシムラ氏が、鴨頭動画がなぜ再生回数を増やしているのかについて考えた。 * * * やけに記憶に残る広告ランキングで間違いなく上位にくるのが「『YouTube講演家』の鴨頭嘉人」の広告だ(自分調べ)。講演家・鴨頭嘉人のプロモーションビデオである。動画の内容は至ってシンプル。“スキンヘッドに絶やさぬ笑み”という強烈なビジュアルを持つ鴨頭が熱っぽく講演する、それだけ。知らないオッサンが画面を通して、猛烈に何かを語りかけてくる。体育会や自己啓発のノリが苦手な僕は、鴨頭の広告に出会うたびにスキップし続けた。 よって存在は知りつつも講演を積極的に観ることはなかったわけだが、ここ最近になって鴨頭の動向が意図せず目に入る機会が増加している。 チャンネル登録者100万人超え、一流YouTuberとなった鴨頭は頻繁に大物とコラボ。現在、オリエンタルラジオの中田敦彦や堀江貴文との対談動画が公開中。以前は「講演」が鴨頭の売り物だったわけだが、今では鴨頭という存在そのものが商品化している。僕の中でむくむくと鴨頭への興味が湧いてきた。 YouTuberが最初に配信した1本目の動画は、そのYouTuberの個性を色濃く映す。もちろん鴨頭の一本目は講演の動画。7年前に配信された処女作で、鴨頭は自らの原点であるマクドナルドについてのエピソードを語っていた。 鴨頭の社会人生活は、マクドナルドのアルバイトから始まった。初めての職場となったマクドナルド所沢店の上司から「働く意義や喜び、そしてマクドナルドで働くことが社会貢献につながる!」と熱弁されたという。鴨頭はその上司の言葉に感銘を受けた、と話していた。 最近、お笑いトリオ四千頭身の後藤拓実やスノーボーダーの藤森由香など、マクドナルドのアルバイト経験がある人が「問題解決能力」「自発的になれた」「気遣い」「スマイル」など、バイトをしたことで様々なスキルを身につけられた、有意義な時間だったと語るテレビCMが放送されている。CMになっているということは、このメッセージは多くの人から良いもの、感じがいいものだと評価されているのだろう。鴨頭のYouTubeチャンネル登録者にとっても、好きなタイプのCMなのではないだろうか。 当然、僕は講演、CMともに馴染めなかったわけで。ひとつの目的を目指し、皆がポジティブな気持ちで努力する。こういったことがマクドナルドのカウンター内で日夜繰り広げられており、アルバイトスタッフもチームプレーに徹する。こんな想像をするだけでもしんどい。世間から見れば僕がダメな人間である。「いかに疲れずに稼ぐか」に重きを置く思想なき働き手だ。ネガティブなアルバイトよりもポジティブな鴨頭の講演やマクドナルドCMの方が健全と理解しつつも、どうしても転向できない。 しかし意外だったのが、僕のような鴨頭と相容れない人間でも講演の動画が苦なく観られたといった点である。脂っこい外見とは異なり、YouTubeで公開されている動画は淡白でサッパリとしていた。「なぜ観続けられるのか」を考えた末、鴨頭の講演と『人志松本のすべらない話』の共通点に気づいた。この2つは日常の些細な発見を人前で話しても耐えられるクオリティに仕立て上げている。異なるのは話のゴールだけで、『すべらない話』では笑いがオチとなり講演の場合は感心が結末となる。 鴨頭は「いつもニコニコしていた方が良い」といった当たり前のことを話す。そして、日常で起きた出来事から「ニコニコしていた方が良い」理由をわかりやすく伝える。エピソードトークから伝えたい結論に繋げる能力に長けている。当たり前のことを感心しやすい形に整えて話しているのだ。 そして、テンションが高い語り口は啓蒙的だが、攻撃性は弱い。落語の人情話のように「じわぁ」と心に染み込ませていくスタイル。否定はせず、肯定することで聞き手を引きつける。弱者の目線から語られることも多い。寄り添い型の講演スタイルである。端的に言うと、観ている人の気分を良くする。僕でもそんな瞬間があったわけで、鴨頭の思想に似たものを持っている視聴者への効能は抜群だと考えられる。 もうひとつ特徴的なのは「鴨チューバー」と呼ばれる鴨頭の熱烈なファンが動画にたびたび登場することだ。彼らは鴨頭のたわいない小咄にも大爆笑する。講演動画にはかなりのホームアドバンテージを得た鴨頭の様子が収録されている。周りをイエスマンで固め、反応しない自分がおかしいと感じさせる古典的な手法である。バラエティ番組における「笑い屋」と同じだ。どんな些細なことにも爆笑するスタッフを収録に参加させ、演者を乗り気にさせる。放送用の音声ではさらに笑い声を追加し、番組が盛り上がっていると演出する。 鴨頭の動画を観て再確認したが、この手法はテレビ番組だけでなくYouTubeにおいても意外なほどに効力を持つ。動画の中で過敏に反応している人がいると、「おいしい話」を聞き逃したくないといったスケベ心が反応する。ついつい、コチラの耳を傾けさせる力を持つ。 しかし、最後まで掴めなかったのが鴨頭の講演を聴くメリット。「共感はできないが視聴した」といった僕のような立場だと何か明確な効能を欲してしまう。例えばホリエモンの場合、鴨頭との対談で「(自身のオンラインサロンで)オレはめちゃくちゃ儲かる話しかしてないけどね」と語っていた。読者は“儲け方”を知ることが出来る。若くして億万長者となり、世間を騒がせたホリエモンのコンテンツらしいメリットである。 そういった観点から捉えると、鴨頭は他のオピニオンリーダーと比べて物足りない。誰もが知りうる背景がない(マクドナルドの店長としてすごく優秀だったらしいが)。講演家として世間に登場し、表現されるモノは講演である。講演の動画の広告に年間3億5千万円以上を費やし、知名度を獲得していった人である。講演で儲け、講演を広告し、講演家として有名になった。一視聴者からすると講演だけが循環しているように映る。観る側のメリットがイマイチ伝わってこない。とはいえ再生回数などを観ると、今も人気は上昇中のようだけど……。 こんな話を僕が通っている床屋のマスター(鴨頭の講演に何度も行ったことがある)に話すと「鴨頭さんの話は経営者向け、アナタに向けて話してないから! そりゃ響かないでしょ!」とツッコまれてしまった。マスターは鴨頭の講演から「仕事で溜まった怒りをいかに処理していくか」を学んだと話す。また、経営者になると誰からも注意されないか“御山の大将”になりがちなんだよ、助言をしてくれる鴨頭さんのような存在はありがたい、と続く。肯定&助言がマスターを「鴨チューバー」に仕立て上げたのだろう。 誰かに相談したいが、答えてくれる人がいない経営者にとって、鴨頭は駆け込み寺のようなものなのだろう。そう考えると、鴨頭が高名な僧侶に見えてくる。また、聞いた側が傷つかないといった点も特徴的だ。鴨頭の語りには全てを受け入れてくる父性がある。 ところで、鴨頭は中田敦彦との対談で「今までは講演家だったけど、これからは思想家のステージに行く」と新たなる野望を語っていた。ここで言う鴨頭の思想とは公式ページを見る限り「『いいね!』と互いに承認し合う社会の形成」だと思う。やっと講演のメリットがイマイチ分かりにくかった理由に気づく。鴨頭の最終目標は人の感性を変化させることである。ゆえに論理だけでなく感情論も織り交ぜる。1本目の動画で話されたマクドナルドのエピソードトークは一種の踏み絵だ。素直に感銘できた人は鴨頭に共鳴するタイプ、互いに「いいね!」する社会の形成を応援できる人である。しかし、初回からつまずいた僕のようなタイプは難しい。惰性で講演動画を観ることは出来るが、前述したように最後までグッとくることがない。 8年ほど前、視聴者の相談にみうらじゅん(イラストレーターなどで)が答えるテレビ番組があった。そこで印象的だったのが「会社の後輩に慕われなく困っています。時々、ご飯も奢るのですが……」といった相談。これに対し、みうらは「普通にご飯を奢っても人は付いてきません。フグや蟹などを奢ってやっと慕われるのです」と答えていた。慕って欲しい相手に対して、共鳴も共感も求めていない回答である。仮に鴨頭ならどう答えるのだろうか。「自分が変われば相手に伝わる!」とでも言うのだろうか。 自分を上司だと想定した場合、みうらの回答はすぐに試すことが出来るが、鴨頭の回答は難易度が高い。僕のようなタイプは、まず自分を変える努力をすることが面倒だと感じてしまう。その逆で自身を後輩だと仮定した時、フグと蟹はたまらなく魅力的だが上司の熱情はむさ苦しい。実体験なので断言できるが、美味いものを奢ってくれた人のことは忘れないものである。僕もふとした瞬間、過去、編集長が奢ってくれた寿司とステーキの味を思い出す。それと連動して「高いものを奢ってくれた編集長は良い人だなぁ」といった尊敬の念も発動する。 とどのつまり僕は「鴨よりも蟹!」の方が後輩に慕われそうだ、と思っている。(文中敬称略)●ヨシムラヒロム/1986年生まれ、東京出身。武蔵野美術大学基礎デザイン学科卒業。イラストレーター、コラムニスト、中野区観光大使。五反田のコワーキングスペースpaoで月一回開かれるイベント「微学校」の校長としても活動中。著書に『美大生図鑑』(飛鳥新社)
2020.03.18 16:00
NEWSポストセブン
堀江貴文氏がテレビよりYouTubeに注力する理由
堀江貴文氏がテレビよりYouTubeに注力する理由
 国が大号令をかけて進める「働き方改革」だが、働く人の「8割は改革を実感していない」との調査結果(日本能率協会)もある。これに対して堀江貴文氏は「働き方改革」だけではなく、「生き方改革」が必要だと説き続けている。発売たちまち大増刷となった最新刊『雇用大崩壊~マンガある若手技術者の会社を変える挑戦~』では、それによって、「二つの財」が同時に成せるようになると紹介しているが、二つの財とは何か? * * * AIやロボット、情報技術などのテクノロジーの進化によって、「働く」ということの定義が、急速に曖昧になってきた。ひと昔前まで「仕事」とは言えなかった遊びや趣味が、従来的な仕事に成り代わり始めているのだ。 従来的な仕事を辞め、それらによって、稼ぎまくっている事例も枚挙にいとまがない。現代は好きなこと、楽しいことでお金が稼げる時代に、もうなっているのだ。 もちろん、私自身もそうだが、見渡せば、私の周囲にも趣味や娯楽で暮らしている人は、数え切れないほどいる。ゲームが好きすぎて、ゲーム実況者のプロになった。キャラ弁当作りが得意で、キャラ弁のレクチャーが仕事になった。恋愛テクニックを指導するメルマガで、多くの読者から支持され、課金運営もうまくいっている──という具合に、遊びがきっかけで稼いでいる人は、いくらでも挙げられる。 学校の教師も、ビジネスコンサルタントも、元を辿れば、いわば遊びを仕事にしたケースと考えていいかもしれない。子どもに勉強を教えるのが好きだった、ビジネスの知識を勉強することや、人にコンサルするのが好きだった……。それらの好きが高じて、生業になったと言える。 それでも、「好きなだけでは続けていけない仕事もある」と反論する人がいるかもしれない。しかし、少なくとも好きだけでやっている人たちが、そうでない人に比べ、総じてうまくいっているというのは事実である。 とにかく、うまく遊びや、好きなことを仕事にできた人たちは、おしなべて「ひたすら好きなことに時間を割いただけ」なのだ。 彼らは、“自分遊びのエキスパート”だと言い換えてもいい。◆お金よりも大切な「無形の財」が得られる ここ数年、国が提唱する「働き方改革」とは別に、一部の先進的な社会人たちの間で、本当の意味での「真の働き方改革」を成し遂げようという動きが顕著になりつつある。 新たな価値観で、仕事をとらえ直し、それぞれのライフスタイルに応じた仕事に取り組んでいこうという試みだ。 例えば、好きなことを人に見せて、広告収入を得ているYouTuberは、自分たちの収入だけでなく、「楽しみを共有する」という“無形の財”を生んでいる。ライブ配信サービス「SHOWROOM」を使って発信するアイドルやタレント、趣味のものや旅行先の写真をアップして稼いでいるSNSインフルエンサーなども同じだ。 また、従来はお金にならなかったボランティア活動が、クラウドファンディングで支援されるようになり、「仕事じゃないけれど家事や子育て、困っている人を助けるのが好き!」という人への報酬がNPO法人などのサポートで、支払われる仕組みも整ってきた。 彼らが創出し続けているのはお金という「有形の財」だけでなく、先に述べた「楽しみを共有する」新たなコミュニティや、自分がやりたいことをやっているという充実感など、様々な「無形の財」である。 ちなみに私はここ数ヶ月、YouTubeを使った発信に力を入れ、チャンネル登録も短期間で100万人近くに達した。自分の言いたいこと、伝えたいことを好きなタイミングでよりスピーディに発信できるようになり、何よりテレビのように共演者に発言を遮られてストレスを与えられたり、編集によって真意が伝わらなかったりするということが全くない。 テレビとは違い、私の考え方に関心があったり、ある程度、勉強していたりする人が見ているので、意見が伝わりやすく、コミュニティ形成にも役立っている。収入も充実感も、テレビに比べて圧倒的に高いのは言うまでもない。 これら有形、無形の「二つの財」を同時に成す働き方、生き方があり、それによって人々のライフスタイルや社会基盤、価値観の潮流が根底から変わっていく可能性があることは、改めて指摘しておきたい。※堀江貴文・著『雇用大崩壊~マンガある若手技術者の会社を変える挑戦~』より抜粋して再構成
2020.02.02 07:00
NEWSポストセブン
堀江
堀江貴文氏が考える「日本企業がGAFAと対抗できる分野」
「入院して高齢化社会について考えてみた」。臍ヘルニアの手術のために緊急入院した堀江貴文氏は先頃、自身が寝たきりになった状況に照らし、高齢者の生き方や超高齢化を迎える日本社会の先行きについて、様々な意見を語った。さらに発売即増刷となった最新刊『雇用大崩壊~マンガある若手技術者の会社を変える挑戦~』では、それが日本企業にとって世界規模のビジネスチャンスであるとも指摘している。その理由とは? * * * GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazonの米国を代表する巨大IT企業)にどう対抗するべきかといった質問をよく受けるが、私が携わっている「宇宙関連産業」に最もその可能性があることは指摘してきたが、その他、比較的、誰もが参入しやすいジャンルで言えば、テクノロジーを使った高齢化社会の最適モデルの提示かもしれない。 日本は世界でもトップクラスに、高齢者が多い国だ。そのため、高齢者の弱った身体を支える技術の研究開発が飛躍的に進んでいる。 例えば筑波大学発のベンチャー企業サイバーダインは、高齢者向けのパワードスーツを作っている。加齢で弱ってしまった膝や腰をサポートして、若い頃と同じように動き回る手助けをしてくれる。 こうした身体を拡張するような技術革新に、超高齢化社会を控える日本のメーカーは向いているのではないだろうか。 テクノロジーの力を借りられる道筋が立てば、人生100年時代だろうと、それ以上の超高齢化社会だろうと、まったく悲観するような話は出てこなくなるだろう。不慮の事故や病などが理由で、腕や足を欠損した人たちが、義手・義足のサポートにより、健常者とまったく同じか、それ以上の身体能力を発揮している例もある。 パラリンピックでは、競技によっては、健常者の記録をパラリンピックアスリートが上回っていることも少なくない。 その是非はともかく、いずれは障害者でなくともカジュアルに、身体拡張を試したいという社会になるかもしれない。 ちょっとした道具を使えば、ウサイン・ボルトと同じスピードで走ることができたり、ムバッペのような超速ドリブルでプレーできたり、コービー・ブライアントばりのダンクシュートが決められるようになる……。単純にワクワクするエンタメ的体験だ。◆スマホ所有の延長線上にAIとの同期がある 人間は様々なテクノロジーによって、その能力を“拡張”し続けて生きてきた。自動車も飛行機も、パソコンもスマホも、メガネもコンタクトレンズも、様々なツールが「身体拡張」の一環として利用されている。 移動やコミュニケーションにかかっていた時間が短縮され、新たに生み出された時間を使って、別のことをしているわけだ。 AIやロボット技術を進化させる目的も、人間の「身体拡張」思想がその根源にある。私たちは、いまの肉体の能力だけで、本当に満足なのだろうか? 外部の機械的なサポートで、できることの選択肢が増え、より豊かな人生が過ごせるのではないか? 例えば、自動車が登場して、人力車や飛脚はいなくなった。移動の手段を、私たちは自動車に“拡張”することで、1日で数百キロを移動することができるようになった。そうして過去から想像もつかないような、質の高い生活を過ごしている。 近年の自動運転やドローン産業も、いわば人間の「目」や「耳」などの感覚的な能力の拡張技術と言える。今後も人類は、様々な方法で身体の“拡張”を繰り返すだろう。 脳の“拡張”の時代も近いかもしれない。AI研究の世界的権威でもあるレイ・カーツワイルは、自分の脳に電極を刺し、機械と融合することを厭わないと語っている。仮にそれが実現すれば、人間の知能は現代の数千億倍まで“拡張”されるという。AI研究の世界的な大権威は、すでに「人とAIが同期する姿」を、見据えているのだ。 同期の仕方については、脳に電極を刺さないまでも、BMI(ブレイン・マシン・インターフェース=脳と機械をつなぐ技術)では、ヘッドギアを装着するだけの方法の研究も進んでいる。 いずれにせよ、AIと同期する者としない者の知能の格差が、驚愕のレベルになることは間違いない。いまや事実上、人間の“第2の脳”となったスマホを持っている人が、持たない人に比べて、どれだけ知的に生きられているかを想像すればわかりやすい。 人はいつの時代も「パンドラの箱」を開ける。そして開いた箱は、もう閉じられない。火力も、原子力も、AIやロボットにも同じことが言える。もはやSFの世界の話ではない。テクノロジーで適切に管理しつつ、さらなる文明の発展に生かすしかないのだ。※堀江貴文・著『雇用大崩壊~マンガある若手技術者の会社を変える挑戦~』より抜粋して再構成
2020.01.31 16:00
NEWSポストセブン
堀江
堀江貴文氏が警鐘を鳴らす「ネオラッダイト運動」とは?
 最近では手数料の高さを理由に、クレジットカードなどキャッシュレス決済を導入しようとしない飲食店主との「ツイッター上のやりとり」が話題になった堀江貴文氏(47)。発売即増刷となった最新刊『雇用大崩壊~マンガある若手技術者の会社を変える挑戦~』の中では、劇的に進化していく様々なテクノロジーと、人々がどう向き合うべきかについて論考している。堀江氏が飲食店主とのやりとりを繰り返した真意とは? * * * テクノロジーの進化を受け入れず、怯えている勢力は、いつの時代も頑固に存在する。19世紀初頭、イギリスから発祥した産業革命は、世界初のテクノロジー革命だった。工場への大型機械の導入により、製造業は大きく進展。一方で、失業の怖れを感じた手工業者や労働者たちが、機械から仕事を奪い返そうと、各地で打ち壊しの暴動を起こした。「ラッダイト運動」である。いま、キャッシュレス決済などのいわゆる「フィンテック」や、先頃から騒がれているAIやロボットの進化に対して、シンギュラリティだの、「人間をいつか凌駕するかもしれない」だのと怯える人たちは、人間に恩恵をもたらす機械たちをハンマーでブチ壊した、19世紀の荒くれ工員たちと、思考回路は大差ない。 最近では、技術革新や高度情報化社会に反対し、それらを阻止しようとする人たちの思考を「ネオラッダイト」と呼んでいるが、残念すぎる考え方だ。フィンテックもまたAIによって支えられているが、客の利便性を重視せず、キャッシュレス決済の導入を頑なに拒む人たちは、ネオラッダイト運動を起こしているようなものである。 どうしてテクノロジーを利用し、共生、共創していくことを、自分たちなりに考えてみようとしないのだろうか?  「宝」の持ち腐れもいいところだ。 IT革命とグローバリズムにより、経済格差や情報格差、教育格差など、至る分野で格差が拡大した。そして昨今、AIを使いこなす勢力と、そうでない人たちとの格差の拡大が始まっている。 使いこなす側が受けられる恩恵と、使いこなせない側の不利益は、これまでとは比べものにならない。とてつもない「AI格差」の時代が始まりつつあるのだが、それが街の小さな飲食店にまで及ぼうとしているのだ。◆「雇用大崩壊」が起きようとしている AIによってリデザインされる世界では、従来型の人間の価値観は次々と消滅していく。それに伴い、労働環境や雇用環境、サービスの概念などが劇的に変わっていくだろう。 いわゆる「昭和型」「20世紀型」の価値観はすべて駆逐されてもおかしくはない。そして、まさにいま、それらに紐付いた人々の雇用やサービスのあり方の「大崩壊」が起きようとしているのだ。「働き方」で言えば、もはや労働や雇用という概念すら消えてなくなるかもしれない。21世紀は、自ら仕事を作り出し、自ら稼ぐことが主流となる時代になるだろう。 繰り返しになるが、AIやロボット、フィンテックなどの「テクノロジー」は決して、人々を不幸にしたり、人々の仕事を奪ったりするものではない。効率化や最適化によって人間に新たな時間を生み出し、21世紀型の新しい仕事も増やし続けている。 それらをケアするための新しい学問が生まれ、システム従事者やメンテナンス技師、AIアプリ開発の仕事は、慢性的に人が足りない状態になる。例えば、レジ打ちのような多くの人間にとって「面倒くさい」仕事がAIやロボット、フィンテックの力でなくなれば、その分、人間は新たな価値を創造するために時間をより有効に使うことができるようになる。 テクノロジーの進化のおかげで、やがて人間は、あらゆる面倒な仕事や労働から解放される。楽しいことだけ、好きなことだけやっていていい時代になる。「遊び」で存分に稼げるようにもなる。 テクノロジーとの共生、共創を進めない人たちは、自ら不幸になる道を選んでいるようなものである。※堀江貴文・著『雇用大崩壊~マンガある若手技術者の会社を変える挑戦~』より抜粋して再構成
2020.01.29 07:00
NEWSポストセブン
「日本を変えたい」と市議選出馬を決意する
私が市議選出馬を決めた47歳の一流企業社員を応援する理由
 30~40代の就職氷河期世代は、多感な時期を常に同世代と争い、競って過ごしてきた。だが、どれだけ頑張っても親世代と違ってうまくいかず、競争ばかりしてきたためか努力が足りなかったと思ってしまう人が多い。その失敗は、自己責任だけではなくまだやり直せるという期待をこめて彼らを「しくじり世代」と名付けたのは、近著『ルポ 京アニを燃やした男』が話題の日野百草氏。今回は、「日本を変えたい」と市議会議員選挙出馬を決意した47歳男性についてレポートする。 * * * 関東近郊の私鉄、各駅停車駅構内で待ち合わせると、パリッと決めたスーツにネクタイとチーフ姿の男が待っていた。田中真次さん(仮名・47歳)の様相はすっかり変わっていた。私が知る田中さんはいつもラフな格好で、スーツやジャケットを好む私を揶揄する側だった。おしゃれでなかなかのイケメンでもある。細身長身がとてもうらやましい。「県議会議員のお手伝いに行ってたんだ。党員も大変だよ」 駅前の喫茶店、さっそく党員証も見せてもらった。なかなか見るものではないから興味深い。 彼の噂は聞いていた。私にとっては業界関係なしの昔なじみだが、サラリーマン生活をやめて政治家を目指し始めたことはメールで聞かされていた。直接会うのは久しぶりだ。「以前から政治には関心があったんだ。それは知っているだろ」 1990年代後半、確かに彼と食事すると政治問題の話になった。よく覚えているのは1997年の第2次橋本改造内閣発足時、ロッキード事件で有罪判決を受けた過去を持つ故・佐藤孝行衆議院議員が入閣した時にえらく怒っていたことだ。「中曽根の陰謀」と当時語っていた。 私も彼もお互い20代、まだインターネットは電飾ネオンのような個人ホームページが関の山の時代だった。このあと本格化するIT革命など知るよしもなし、才ある団塊ジュニアの若手起業家や技術者は自らの氷河期を挽回するかのように、この革命の「波」に乗った。この前年に堀江貴文(1972年生まれ)はオン・ザ・エッヂを創業、1997年になると青野慶久(1971年生まれ)はサイボウズを、佐野陽光(1973年生まれ)はクックパッドの前身となる会社を、槙野光昭(1973年生まれ)は後のカカクコムを創業した。徒手空拳の彼らに賭けた同世代のメンバー含め、1971年~74年生まれで新卒時には就職氷河期だった団塊ジュニアにとって、最初の挽回のチャンスだったと言えるだろう。転職時に「変な名前の怪しい会社」と皆から笑われた私の知り合いは、いまや執行役員である。 この波に乗り成功する少数以外は負け組と呼ばれるような格差社会になるなんて、どれだけの日本人が予想したことか。私はオタク系のフリーライター、彼は老舗企業のサラリーマンで、今から思えば目端の利かぬ「波の外」の凡人だった。そう、今から思えば、我々にもチャンスはあった。なかったことにしてはいけない。「じつはね、市議会議員になろうと思うんだ。いま地方議会はどこも定員割れでなり手がいない。無所属じゃ大変だけど、党によってはすぐ議員になれる」 なるほどそうかもしれない。会社で40代は中堅であり、残るか去るかの選別対象だが、政治の世界で40代は若手どころかひよっこだ。落選が数人、下手すると全員当選どころか、なり手に四苦八苦している地方自治体なら、若い人は当選する可能性が高いし、現にそんな40代新人議員も多い。もっとも主要政党だとそれなりに厳しい審査もあるだろうが、彼は一流大学から一流企業、昔からとても頭が良くてリーダー然としている。それでいて案外抜けているところも魅力だ。目のつけどころを褒め、話を膨らませてみると、意外な名前が返ってきた。「Mって知ってます?」 私はそのMを知っていた。ネット界隈で古くからお騒がせの人物だが、懐かしい名だ。「彼が市議会議員選挙で次点になったんです」 言われてスマホで検索すると、たしかに次点に名前がある。「Mが次点なんてびっくりだろ? ぶっちゃけ若けりゃ当選しちゃうんじゃないか、そう考えたんだ」 確かにそうかもしれない。彼の言うMの市は過疎ではなくそれなりに大きな市だ。親が議員といった二世候補でもない。しかし、聞きかじりの知識からだが、市町村議員のなり手の少なさは議員報酬が安いことにあるのは不安ではないのかと聞いた。地方議員は報酬が低いだけでなく、必要経費も持ち出しになることが多いとも言われている。規模が小さい町村議会だと政務活動費もないらしい。報酬が高い市の選挙は自ずと主要都市に限られるため激戦となる。「安いけど、独身だからなんとかなるよ」 単身なら、まったく食えないということもなさそうだ。選挙費用も貯金があるし、親も応援してくれているという。息子が市議会議員になれば鼻も高いだろう。だがやっぱりいちばん聞きたいのは、市議会議員になって何がしたいかだ。それを質問したとたん、待ってましたとばかり、田中さんは口を開いた。「日本を変えたいんだ」 私は少し違和感を覚えた。別に市議会議員が日本国を思うのは構わないが。「正直、市議会は踏み台なんだ。とにかく当選しそうな市なら構わない」 個人の手段として否定することもないだろう。でも、細かい市政の話とか、突っ込まれると困るのでは?「その辺は市政を批判するか、市政のわかりやすい部分を訴えれば問題ない。保育所や託児所の問題とか、開かれた議会とか、とくに子育てと介護は鉄板だ。要する子どもと老人、国政ともつながる話だろう?」 そんなに簡単な話なのだろうか?「意外とそんなもんだよ。他の候補者も変わりゃしない」 確かに。地方行政の問題はそのまま国の問題にもつながる話だ。しかし実際はその市町村独特の問題や改善などが中心であり、こんなぼんやりした政策では訴求力が弱そうなものだ。とはいえ、若手であるならその意気やよしと受け取る有権者もいるだろうし、細かな公共事業や福祉政策の話より、わかりやすいと言えばわかりやすいかもしれない。もとより彼にとっては具体的政策は後付けで十分なのかもしれないが。「日本を変えないと、ブサヨや特亜の連中に乗っ取られるよ。そんなことはキミも知ってるだろ?」 ちなみに「ブサヨ」とは「ブサイク」な「左翼(さよく)」を、「特亜」は「特定アジア(亜細亜)」として中華人民共和国、大韓民国、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)を指すネットスラングだ。2000年代半ばから巨大匿名掲示板2ちゃんねる(現・5ちゃんねる)で使われ、広まった。「愛知の展示物の捏造とか、知らない間に地方自治体が食い物にされてるからね。そもそも日本国の議員になるなら、国会議員だろうと地方議会議員だろうと国を愛するのは当然だし、国のために働くのは当然だろう」 私はうなずいてみせた。伝統俳句かつ社会性俳句の詠み手でもある私にとって、変なスラングや表現の自由に対する不理解はいただけないが、彼なりの理屈の中での筋は通っている。漠然とした目的と主義主張、受け売りのネットスラングの口汚さはともかく、今の日本をこのままにしてはいけないという考えには共感できる。これで国会議員を目指すとなるとまだまだ勉強不足だし、それは本人も認めているが、その発心で入党にまで至った行動力と日々の運動は凄いと思う。 話がさらに続きそうなので、ネットスラングはやめたほうがよい、特定個人を傷つけるヘイトもメリットがないと、やんわりと伝えた。「それはわかってる」 田中さんの真面目さはわかっている。ちょっと影響されただけだろう。「思ってても出さずに上手くやるのが政治家だぞ」 私の受け売りの偉そうな言葉に、田中さんは笑ってうなずいた。 思えば私たち団塊ジュニアは1990年代まで、政治はダサくてかっこ悪いものと考えていた。団塊ジュニアにとって政治に関わることは「ダサい」ことだったし、政治を語ることは「気持ち悪い」ことだった。幸い進歩的な家庭、洗練された地域に育った者は違うのかもしれないが、おおよその田舎の同世代たちの感覚はそうだ。学校で政治の話をする奴なんてクラスの変な奴だった。 そして21世紀、本来は政治とは若者も加わって動かすもののはずなのに、いまだに政治のイニシアチブは取れず、いつの間にか不利な労働、不利な制度が決まることが繰り返されている。政治参加どころか投票率すら低いまま、世代として政治に影響力を何ら掴むことのできなかった団塊ジュニアは、氷河期を発端にいまでも各個撃破され続けている。 敗戦からめざましい復興を遂げ「もはや戦後ではない」と経済白書が宣言したのが1956年。1973年まで続いた高度成長期において、戦争によって年配の世代にあたる人口が少なかった影響はあるものの、政治家とは多くは20代、遅くとも30代でなるものだった。1972年に首相となったとき田中角栄は54歳だったが、彼は二十代のときから国政選挙に出馬していた。 高度経済成長からバブル期までの繁栄は、第一次ベビーブーム(1947年~1949年生まれ)と第二次ベビーブーム(1971年~1974年生まれ)によって、子供と老人の割合が少なく15~64歳の生産年齢人口が多い人口ボーナスが発生していた影響が大きい。その繁栄のうちに来る縮小期への備えをしておけばよかったのに、何も行われなかった。人口ボーナス期が過ぎるまで受験戦争、就職戦争に興じ、多くが雇われて働く安定を目指し突き進んだが幾度もの挫折を味わったのが、現在の団塊ジュニアを中心とした「しくじり世代」のおじさんおばさんである。 同世代との競争ばかりしてきた結果、同世代が力をあわせて社会で何かを生み出すことをほとんどしてこなかった。政治への参加も消極的だった。その結果、ポスト団塊ジュニアを含めれば二番目に人口が多い世代だというのに、いまだに政治を我々の手で決められず、救済をお願いするしかない世代でもある。もう40歳を過ぎたどころか50歳にも手が届くというのに。田中さんが何らかの形で主体的に政治に関わるのは喜ばしい動きだろう。がんばってほしい。ちょっと考えが違う部分もあるけど、その時になったら応援するよと伝えた。「やめろ、応援したらこの記事で特定されちゃうだろ」 言われてみればそうだ。選挙民には知られたくない本音も明かしてくれたのだから。二人で笑った。 田中さんの「ちょっと違う」感はともかく、本来は政治とはこうして参加するものなのだ。私とて自身の趣味趣向に邁進するばかり、いつの間にか消費税は10%になり、介護保険は値上がりし、非正規ばかりの社会になっていた。残念ながら、年をとっても年金を受け取るのはうんと先延ばしになるだろうし、もらえるかもあやしいだろう。そもそも政治的圧力も持たない、自分たちの年金も決められない私に、世代になっていた。 いろいろ問題を起こす議員もいるし、極端で変な議員もいる。団塊ジュニアの政治家によるやらかしも多い。なったらなったで支持者や地域住民との付き合いも大変だし、党内の人間関係もあるだろう。それでもいままでの反省を踏まえ、政治に参加したいという同世代は、その姿勢を応援したいし、背中を押すべきだ。 氷河期世代はどうしても経済的な苦境ばかりクローズアップされるが、解決するには政治との関わり抜きでは不可能だ。もしこれから人数が多い世代の少なくない人たちが貧困層として固定され、支えあえる家族も持たずにそのまま年老いたら、安定した社会を脅かす大きな要因となり得る。危険を回避するために、政治の力は不可欠だ。困難だと分かっている問題が迫るなか、まっとうな政治行動を志す人は素晴らしいし、ともに行動したいと思わせる。いまからでも遅くはないし、遅かろうとも何もしないよりずっとよい。 田中さんには、ともかく日本をどうにかしたいという純粋な気持ちがある。党の下働きをいとわず、雑巾がけできるくらいの行動力と心意気があるのだから、このご時世、爽やかなルックスも相まって、どこかの市議会選挙なら当選するだろう。市町村合併と定数削減が遅れているおかげで、有権者数と立候補者数のバランスが悪くなっているいまがチャンスだ。「俺たちはいずれ多数派になる。その時こそチャンスだ」 いずれ私たち団塊ジュニア・ポスト団塊ジュニアは下の世代に対して圧倒的な「数の優位」を達成する、これが田中さんのいう「多数派」なのだろう。氷河期世代にとって、最後の頼みの綱とも言える。多数派の意見を中心に動く民主主義が続く限り、団塊ジュニア・ポスト団塊ジュニアが有するであろう圧倒的な武器だ。これにより、私たちの世代に有利な政策も社会保障も通りやすくなるだろう。しかしこの考え方は、数による威圧を肯定しているとも言えるので、いずれ老害と呼ばれるかもしれないが――。実際、すでに「根性論・昭和脳の団塊ジュニア」だの「俺たちは氷河期で苦労したのにお前らは…」的な上司、先輩がうざいという、そんな記事もちらほら見かけるようになった。 多数派であるチャンスを訴える田中さんは、これまで「世代による連帯」がまったくなかったことが失敗だったとして、それも伝えたいと言う。社会の変化は与えられるのではなく世代で掴み取るのだと。自分の個人的な興味の世界ばかりに生きてきた私には耳の痛い話だ。政治とは「あなたを幸せにしたい」ということだということは、同じく団塊ジュニアでもあるれいわ新選組の山本太郎氏が実践し、教えてくれている。是非はともあれ、意義ある行動だ。 田中さんのように政治を国政であれ、地方自治であれ実際に行動してくれるのは頼もしい。私は心臓疾患を抱えているので政治の激務には耐えられないだろうし、みな40代も過ぎれば徐々に傷病的、体力的な面でも脱落する。金銭的、家庭的な面で難しい人も多いだろう。ほとんどの人は現実にそうだ。しかし、実際の政治の場に代弁者のいない層はないがしろにされる、という現実を身にしみてわかっている。脱落者はなおさらだ。田中さんに限らず、政治を志し行動する人を世代として応援したいと思う。世代の連帯に失敗した私たちの反省と、この先の再構築のために。(文中一部敬称略)●ひの・ひゃくそう/本名:上崎洋一。1972年千葉県野田市生まれ。ゲーム誌やアニメ誌のライター、編集人を経てフリーランス。2018年9月、評論「『砲車』は戦争を賛美したか 長谷川素逝と戦争俳句」で日本詩歌句随筆評論協会賞奨励賞を受賞。2019年7月『ドキュメント しくじり世代』(第三書館)でノンフィクション作家としてデビュー。12月『ルポ 京アニを燃やした男』(第三書館)を上梓。
2020.01.19 07:00
NEWSポストセブン
ネット格差社会の現実 一般ユーザーは「SNS強者」に決して敵わない
ネット格差社会の現実 一般ユーザーは「SNS強者」に決して敵わない
 ネットユーザーはSNSとどう向き合うべきか。実業家の堀江貴文氏は、先日ツイッターで、「馬鹿はタダで拡散を手伝ってくれるボランティア的位置づけ」と述べ、わざと炎上させることも狙って、あえて「馬鹿」という言葉を使っていると説明した。こうした堀江氏の考えに全面的に賛同するというのは、『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』などの著書もあるネットニュース編集者の中川淳一郎氏だ。中川氏は「SNS強者にいちいち突っかかるのはバカそのもの」と考えている。その理由について解説する。 * * *「炎上マーケティング」はやらない方がいい、という説もマーケターなどから出てきますが、これはあくまでも企業の話。個人においては、炎上マーケティングは「アリ」だと思います。理由は、堀江氏も含めた個人の場合、炎上したとしても別に不買運動を起こされたりしないし、ブランドイメージが毀損されないからです。そして何があったとしても本人が責任を取ることができ、組織と比べれば他人に迷惑をかけることが圧倒的に少ないからです。 それよりも炎上をして、話題になったところで新たなるファンが増える可能性の方が高い。過激なツイートをし、それが500万のインプレッションを得たとしましょうか。この中で罵倒をしてきたり不快に思う人が仮に400万人いたとしても、ファンの98万人が「いい意見だ!」と述べるとともに、新たなる2万人のファンが誕生すれば、確実にプラスになるのです。 だからこそ過度な恨みを買うような必要はないものの、いわゆる「炎上」(個人によって定義は曖昧)をすることは著名な個人にとってはそこまで悪いことではありません。さすがに殺されたりストーカー行為をされるところまで誰かを怒らせてはまずいものの、堀江氏はそこら辺のさじ加減を分かった上でやっていると感じます。 こうした状態を見ていると、ネットという世界は元々「誰もがフラットである」といった言説があったものの、現実世界同様の「超格差社会」であることがわかるのではないでしょうか。YouTuberのトップクラスは年収10億円あると言われるし、人気のブロガーは月に数百万円稼いだりする。SNSのフォロワーが多いカリスマはオンラインサロンで億単位の年収を得ることもできるようになっています。 結局SNSはもっとも効率の良い「お布施システム」になっているわけです。SNSにおける強者に対して課金をしている方々は自分が「何者か」になれると思ってそれをやっているのかもしれませんが、そのお布施をし続けた人の中で「何者か」になった方ってどれだけいますか? 一部に成功した方はいますし、良心的なサロンがあるのも知っていますが、参加者の人数比で成功者がどれだけいるのかと問えば、運営元は「モゴモゴ……」とならざるを得ないのではないでしょうか。 ネットのユートピア思想とフラット思想というものは実に罪作りでしたね。「オレは好きでやってるんだから、余計なことを言うな!」という反論があるのは分かります。 でもだとしたら、例えば「オンラインサロンで学習している」という考えは、もう一方では、「○○さんのファンクラブに課金してるんだ、オレ!」という意識の方が正しい。オンラインサロンについては、結局その運営者のワナビーばかりが集まり、その中で「よしよし、お前はかわいいやつよのぅ」と「強者様」から名指しされることにより良い気分になるし、それを傍観している方々は「いつかはオレも名指しされたい!」と発奮し、ますます時間とカネをそのサロンに注ぎ込む。 SNSでフォロワーの多い強者に“突撃”したりする行為にしても、結局はその強者のファンが勝手に近衛兵のごとくあなたを攻撃してくるでしょうし、通知が鳴りやまない状態になったりします。だから、SNS強者は別格の存在だと認識し、いちいち突っかかる必要はないんです。あなたは彼らのようになれないんです。返り討ちを食らって心が折れるだけです。 ネットを散々ウォッチしてきた私があえて言いますが、まぁ、「SNS強者」に絡んでも大した意味はありません。むしろ利用されるだけですし、場合によっては攻撃をくらったり裁判を起こされたりします。 自分は自分。彼らは彼ら。そういった独立した人格を持てるようになるにはまずはSNS断ちをし、自分の周囲の方々を大切にしてみてはいかがでしょうか。多分その方が人生はうまくいきますよ。
2020.01.11 16:00
マネーポストWEB
相次ぐ韓国の芸能人自殺 日本と韓国との差は何か
相次ぐ韓国の芸能人自殺 日本と韓国との差は何か
 K-POPは世界中で大人気だし、グループへの選抜オーディション番組は日本でも放送日になるとネットのホットワードに浮上するほど憧れの存在だ。ところが、韓国では芸能人の自殺が相次いでいる。その多くがネットの誹謗中傷がきっかけだ。ネットニュース編集者の中川淳一郎氏が、芸能人の自殺について日本と韓国の差について考えた。 * * * 韓国のガールズグループ・KARAの元メンバーであるク・ハラさんが自殺した。彼女の死因について、識者は女性アイドルグループ・f(X)の元メンバーでハラさんの親友であるソルリさんの自殺が影響しているのでは、と意見している。ソルリさんはSNSを含めたネットでの罵詈雑言に心を病み自殺した、とも言われているが、ハラさんにも凄まじい暴言が寄せられていた。 ネットの誹謗中傷との因果関係について断定することは避けるが、5ちゃんねる(匿名掲示板、旧2ちゃんねる)では、こんな意見が書き込まれた。〈日本の芸能人ってメンタルつえーよな ボロカス書かれても堂々と生きてるもんな〉 確かに、日本ではネットの書き込みが原因で自殺したという芸能人はあまり聞いたことがない。2013年、ブログが炎上し、テレビ局からも追い回された岩手県議の小泉光男氏(享年56)がその後自殺したことはあるが、これをネットの誹謗中傷と関連させるのは違和感がある。同氏は生前、そこまでネットを頻繁に見ていたような形跡が見られないのだ。 5ちゃんねるではこうも書かれた。〈日本の芸能人の場合、叩かれて自殺って聞かないよね こんなに自殺者がでるってどんな叩かれ方してんの?〉 これについては、日本では「バカ」「アホ」「クソ」「カス」などはあるものの、罵詈雑言のラインナップが乏しく「雰囲気」で痛めつけるが、韓国語では直接的なヒドい言葉がある、という指摘もあった。これも決定的な意見かどうかは分からない。 日本でも叩かれ続ける(ないしは過去に猛烈に叩かれた)著名人を列挙する(敬称略)。辻希美、ベッキー、西野亮廣、高梨沙羅、玉川徹、堀江貴文、張本勲、前澤友作、村本大輔、misono、紗栄子、矢口真里。 彼ら以外にも多数存在するが、とりあえずは代表的な人々を挙げた。ただ、いずれの人物にしても一定数の味方がいたり、スルースキルや反論スキルがすごい。そもそもネットを積極的に使っていない人物も混じる。 この中に名前を入れた『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)でコメンテーターを務める玉川氏は、ハラさんの話題を扱った時にネットとの付き合い方に言及。同氏は自身がネットで叩かれていることは知りつつも、ネットと現実とは分けて考えていると述べた。これこそが大切なのである。5ちゃんねるでもこう書かれた。〈SNSなんかしなきゃいいんじゃね 落書きも目に入らなきゃ気にはならんだろ〉 ネットに取り上げられた場合や、自分がSNSで何かを書いた場合、著名人に対して悪口がゼロということは絶対にない。理由は「アンチ」は何をしようが叩く反射神経を持っているからだ。被災地ボランティアをしても「偽善者」扱いだ。 なぜ日本では韓国ほどネットの誹謗中傷が自殺に繋がらないのか……。「粘着」は日本でも多数存在するが、韓国と比べたら「恨(ハン)」の念が浅く、苛烈な粘着度合いが弱いのでは。長崎・広島に来たローマ教皇に対し、被爆者が「原爆を落としたアメリカを一生責め続けてください」とお願いするのではなく、平和を訴える姿を見てそう思った。●なかがわ・じゅんいちろう/1973年生まれ。ネットで発生する諍いや珍事件をウオッチしてレポートするのが仕事。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』など※週刊ポスト2019年12月13日号
2019.12.02 16:00
週刊ポスト
崎陽軒シウマイ不買運動を呼びかけ狙い通り炎上したN国・立花孝志党首
N国・立花孝志氏がホリエモンや清原和博氏に出馬要請する狙い
 炎上商法を実践しながら勢力を伸ばす政党「NHKから国民を守る党」の公約は「NHK集金人のトラブルを解決するために、集金行為が必要ないNHKのスクランブル放送化の実現」を目指すことだ。世間に漠然と存在するNHKへの反感を利用して、衆議院議員1名、参議院議員1名、市区町村議員31名へと勢力を伸ばしてきた彼らの勢いは、N国現象、一時的なブームととらえてよいものなのか。『黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い』(集英社)の著者であるフリーランスライターの畠山理仁氏が、党首の立花孝志氏が考える公約実現、堀江貴文氏や清原和博氏へ出馬要請をする狙いをさぐり、一票を託す価値について考える。 * * * NHKから国民を守る党(N国)の行動原理は「悪名は無名に勝る」の一言に尽きると言っていい。炎上による悪目立ちを繰り返しても、「反NHKの政党」というイメージが世間に広がりさえすれば、一定の得票が見込めるからだ。この世に「NHK」という巨大組織が存在する限り、N国が政界から消えることはないだろう。 N国は先の参院選で「政党要件」を満たし、年間億単位の政党交付金を受け取る立場になった。税金から支出される政党交付金や議員歳費は、N国の政治活動を支えている。 そして、あまり知られてはいないが、政党要件を満たした政党には巨大な既得権がある。政党要件を満たしている期間に国政選挙があった場合、候補者を立てて票が入れば、「当選者0」であっても得票割合に応じて政党交付金が支出されるのだ。だからこそ、「次期衆院選では289の小選挙区すべてに候補者を立てたい」(立花孝志党首)という野望も実現可能になっている。 小選挙区の供託金は300万円。これに289選挙区をかけると、8億6700万円になる。しかし、仮に小選挙区での得票割合を「6%」として計算すると、4年間の政党交付金(衆議院小選挙区での得票割合分のみ)で十分お釣りが出る。立花党首は「1票あたり約80円」と計算しているが、有権者はすでに「打ち出の小槌」をN国に与えていると言ってもいい。 そんな立花党首の座右の銘は「カネとオンナと票は、取りに行ったら逃げる」だ。だから有権者に嘘を言って無理をしたり、媚びたりすることはない。自らの言動を多くの人に理解してもらおうとも思っていない。「本音の自分を出していけばいい。嫌われてもいい」と言う。従来の常識や道徳、倫理観でN国を批判しても、まったく響かない理由がここにある。 一般的には「品がない」と映るかもしれない。実際に筆者もそう感じた。だから立花党首とイベントで同席した際、面と向かって指摘した。すると、彼は胸を張ってこう言った。「そんなことはわかっています。でも、悪役を辞めるつもりはありません。NHKのスクランブル放送化を実現するために、これからもどんどん炎上して、どんどん売名します」◆N国が目指す「選挙と政治の分離」 そんなN国の次の一手は、「選挙と政治の分離」だという。立花党首は「国政選挙における選挙区での当選は無理だ」と明言しながらも、知名度の高い候補を何人も立て、党の得票の底上げを図っていく計画だ。 候補者の知名度がなければ「イケメンや美人を立てる。若者や高学歴の人を立てる」と言ってはばからない。そして最終的には、定数の多い比例ブロックでの当選を目指している。 衆議院議員選挙には、全国で11の比例ブロックがある。立花党首の分析によれば、そのうち、定数が多い次の6つで当選の可能性があるという。以下に列挙する「当選ライン」とは、1議席獲得に必要な得票率の目安である。・東京ブロック(定数17)当選ライン5%・北関東ブロック(定数19)当選ライン4%・南関東ブロック(定数22)当選ライン4%・近畿ブロック(定数28)当選ライン3%・九州ブロック(定数20)当選ライン4%・東海ブロック(定数21)当選ライン4% これに先の参議院選での得票率をそのまま当てはめることは適当ではない。しかし、7月の参院選で、N国は全国の選挙区での得票率3.02%を記録した。候補者を立てた37選挙区のうち、福井県、岐阜県、群馬県では得票率が7%を超えたこと(7.68%、7.47%、7.43%)、もっとも低い大阪府は1.24%だったが、それ以外ではすべて2%を超えたことを踏まえて数値を重ねてみると、議席獲得の可能性は十分にあると思えてくる。 N国がさらに周到なのは、国政選挙と地方選挙を連動させて候補者の選定を進めている点だ。つまり、勝ち目のない国政選挙への立候補は、のちに行なわれる地方選挙で勝つための『顔見世興行』の意味を持っている。 国政選挙の供託金300万円を払っても、N国の候補者には敵の本丸である「NHKのスタジオ」という最高のロケ地で撮影したプロモーションビデオ(政見放送)が残る。しかも、N国は政見放送をすぐにYouTubeにアップする。ネット上で永続的に流せる政見放送は、「反NHK」をアピールする最高の素材になるのだ。 しかも、一定の得票があれば、党には政党交付金が入ってくる。有効投票数の10%をクリアすれば供託金も返還される。ポスター印刷代などの選挙費用も公費負担が受けられる。立花党首が「選挙を使って売名するほうが圧倒的に安い」と胸を張るのは、そのためだ。 立花党首は7月21日執行の参議院議員通常選挙で当選していたにも関わらず、任期途中で参議院埼玉選出議員補欠選挙(10月27日投開票)に鞍替え出馬して自動失職する道を選んだ。この理解しがたい行動は大きな話題となったが、実はその直後にも想定外の行動をとっている。埼玉補選の選挙期間中、投開票日を待たずに早々と「敗北宣言」をし、11月に行なわれる海老名市長選挙(3日告示、10日投開票)への立候補を表明したのだ。選挙中の候補者の常識からすれば、とても信じられない。その上、埼玉補選での落選翌日には、「海老名市長選に当選しない可能性が高いのは自覚している」 と話しながら、「この他にも、奈良県の桜井市長選挙、東京の府中市もしくは八王子市の市長選挙、神奈川県の藤沢市長選挙、大阪府の大東市長選挙、そして来年7月の東京都知事選挙など、首長選挙に出続ける予定です」 との計画も明かした。こうした事実だけを見ても、N国と立花党首を常識で測ろうとすることに全く意味がないことがわかるだろう。◆NHKのスクランブル放送実現まで何年待てるのか ここで有権者は大切なことを意識しなければならない。それは立花党首の言動だ。 N国の立花党首は、党の集票の広告塔となりうる人物を選挙に立候補させ、党勢の拡大を目指している。そして驚くべきことに、「選挙の得意な人は選挙だけすればいい」「当選したら、政治は別の人がすればいい」とも発言している。 たとえば、先の参議院埼玉補欠選では、立花党首の選挙ポスター掲示責任者として堀江貴文氏が名前を連ねていた。しかも、堀江氏の名前は候補者名とほぼ同じ大きさで大書されていた。ポスターに掲示責任者の名前を明記することは公職選挙法で定められているが、文字のサイズに規制はない。普通であれば、選挙の「主役」である候補者の名前を大書して、掲示責任者の名前は読めないほど小さく書く。まさかここまで掲示責任者の名前を大きく書いてアピールする候補が現れるとは、は誰も想定していなかったはずだ。 立花党首は次期総選挙において、堀江氏を埼玉5区(立憲民主党の枝野幸男代表の地盤)と北関東ブロックに重複立候補させる計画を再三にわたって話してきた。堀江氏はいまのところ態度を明確にしていないが、立花党首は「おそらく出るでしょう」と繰り返している。出馬を明確には否定せず、話題が継続する余地を残している時点で、堀江氏は十分に「N国の広告塔」としての役割を果たしている。 仮に堀江氏が埼玉5区で立候補したとしても、問題は残る。いくら有権者が「ホリエモンを政治家に」と願って投票しても、堀江氏が政治家として全く活動しない可能性があるからだ。立花党首の中では、あくまでもホリエモンは「選挙だけをする人」。政治をするのは全く別の人になる可能性がある。有権者は、N国やN国の候補者に投票する前に、そのことを十分に認識しておく必要がある。 さらに立花党首は筆者の質問に対し、「清原さん(元プロ野球選手の清原和博氏)にも出馬を打診しています」とも明かしている。出馬交渉が難航していることは認めているが、それでも実名を出すことはやめない。名前を出すだけで広告効果があることを知っているからだ。交渉中の相手の実名をバンバン出すことも、従来の常識では考えられないことだろう。 もし、有権者にとって唯一の救いがあるとすれば、N国が事実を隠そうとはしないことだ。筆者がN国の公約のキモである「NHKのスクランブル放送実現にはどれくらいの時間がかかるのか」について質問すると、立花党首はこう答えた。「簡単にはいかないでしょうね。5年から10年はかかるのかなと思っています」 しかし、5年後、10年後にスクランブル放送が実現できるかどうかは、全くの未知数だ。年間2万5千円ほどの受信料を「安心して払わない」ために、他の政策課題を犠牲にしてまで何年も待ち続ける有権者がどれほどいるだろうか。 世の中に、「N国には常識が通用しない。面倒だから関わりたくない」という感情があるのはよくわかる。しかし、そうした考えはN国の実態をより不透明にし、結果としてN国を支える力になってしまうことを忘れてはいけない。 いま必要なのは、特定の政党を熱狂的に支持することでも、感情的に怒ることでも、完全に無視することでもない。各政党の政策や実態に関する情報収集を進め、「一票を託す価値があるのか」を冷静に判断することだ。●はたけやま みちよし/フリーランスライター。1973年生まれ。早稲田大学在学中から取材、執筆を始める。泡沫候補と呼ばれる立候補者たちを追った『黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い』(集英社)で第15回開高健ノンフィクション賞受賞。他の著書に『記者会見ゲリラ戦記』(扶桑社新書)、『領土問題、私はこう考える!』(集英社)など。黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い
2019.11.05 07:00
NEWSポストセブン
小学生が真似するほど広まった右腕を振りかぶるポーズをとるN国党・立花孝志党首
N国の選挙戦略はNHKにとって「悪魔のビジネスモデル」
 右腕を振りかぶりながらキャッチフレーズを叫ぶ政党「NHKから国民を守る党」の政見放送は、有権者の多くが冷ややかに見た一方で、小学生が芸人の一発芸のようにマネする流行も生み出した。誰もまともに相手をしないだろうという世間の予想を裏切り、今では衆議院議員1名、参議院議員1名、市区町村議員31名を擁する勢力になっている。略称「N国党」は、なぜ勢力を伸ばしているのか。『黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い』(集英社)の著者であるフリーランスライターの畠山理仁氏が、彼らの選挙戦略とそのビジネスモデルについて解説する。 * * *「NHKを、ぶっ壊す!(ニッコリ)」 そんなフレーズや奇抜な政見放送ばかりが注目される「NHKから国民を守る党(N国)」。なんとなく、「反NHKの団体」というイメージを抱いている人は多いかもしれないが、胸を張って「N国の実態を知っている」と言える人は少ないはずだ。 実は、こうした世間の無知、無関心も、N国躍進の理由の一つになっている。 N国は2013年6月の結党以来、公職選挙法を最大限に活用し、炎上上等の選挙戦略で勢力を拡大してきた。現在の現職地方議員の数は31名。7月の参議院議員選挙では立花孝志党首が比例代表で初当選を果たし、念願の政党要件も獲得した。 しかし、それからわずか3か月足らずの10月8日。立花党首は10月10日公示の参議院埼玉県選出議員補欠選挙(27日執行)に立候補することを表明し、参議院議員を自動失職する道を選択した。 この不可解な行動で、多くの人の頭の中には疑問符が浮かんだことだろう。立花氏は補欠選であえなく落選したが、落選翌日の記者会見では報道陣に笑顔でこう語っていた。「今回の補欠選でかかった選挙費用は1万1千円。16万8289票(得票率13.6%)で供託金300万円も返ってくるラインを超えたから、勝ったようなもんですよ」 立花党首が余裕の表情を浮かべられるのは、参議院での1議席がN国の浜田聡氏の繰り上げ当選で維持されているからだ。党の議席を減らさず、世間を騒がせて知名度を上げる。これは極めてN国らしいやり方だった。 このように、選挙に出続けて売名行為を続けるN国の戦略を、ホリエモン(堀江貴文氏)のようにプラスと評価する人もいる。その一方で、従来の常識や倫理観からは予想できない言動に呆れ果て、強いマイナス感情を抱く人たちも数多く生み出している。 もっとも重要なことは、世の中にはN国の存在や実態を知らない人たちがまだまだ数多くいるという現実だ。だからN国は悪目立ちしてでも売名行為に勤しむ。それが新興勢力であるN国の生命線だとよく知っているのだ。 所属議員の問題発言や問題行動などの実態を知っている人からの批判が多いN国だが、それでも選挙に候補者を立て続ける限り、当選する可能性は「ゼロ」ではない。むしろ知名度が高まるにつれ、当選可能性は高まっている。真面目な人がいくら正論を述べてN国を批判しても、候補者を立てない勢力が選挙で勝つ可能性はゼロだからだ。 すべての有権者は、年齢、性別、学歴、年収に関わらず、誰もが同じ重さの一票を持つことを再認識したほうがいい。政党や候補者の実態を熟知して投じる一票も、単なるイメージで投じる一票も同じ一票だ。だからこそ、数年に1度しかない選挙では、十分に情報収集をして後悔しない投票行動をするべきだ。 これはN国に限った話ではない。日本は増税を推進する党を選挙で与党にしておきながら、選挙直後の世論調査で7割近い国民が増税反対と答えるような国である。こんな奇妙で滑稽な光景があるだろうか。◆NHKがある限り、N国は不滅である N国とは「NHKのスクランブル放送化の実現」を最大の公約に掲げる政党である。かつての所属議員や支持者の中には「NHKの放送内容を糾す団体」と勘違いしていた者も見受けられるが、それは大きな間違いだ。N国はNHKの放送内容には全く関知しない。N国が問題にしているのは、NHKの受信料制度や受信契約をめぐっておきる、NHKやNHK集金人とのトラブルだけである。「NHKをぶっ壊す!」はたしかにキャッチーなフレーズで子どもにも大人気だが、N国の実態を正確に表してはいない。N国の活動がNHKの改革に寄与する可能性はあるが、「すぐにNHKがぶっ壊れる」と信じている人は、考えを改めたほうがいいだろう。 そんなN国の躍進を支えてきたのは、世間に根強くある「NHKへの反感」だ。これはN国が訴える受信料制度への不満だけではなく、ぼんやりとした反感も含む。N国はその存在を知っているからこそ、政見放送でしきりにNHKに対する憎悪の念を煽ってきた。 その結果、7月の参院選でN国が候補者を立てた37選挙区のうち、福井県、岐阜県、群馬県では得票率が7%を超えた(7.68%、7.47%、7.43%)。もっとも低い大阪府は1.24%だったが、それ以外ではすべて2%を超え、選挙区での得票率は3.02%になった。つまり、全国の「反NHK票」を掘り起こし、受け皿となっているのだ。しかし、N国に投票した人たちが、本当にN国の主張や実態を知った上で投票したのかどうかは知る由もない。 N国の立花孝志党首は、これまでに何度も「NHK問題以外はやらない」と公言してきている。最近になって「インターネットを使った直接民主制の導入」も謳い始めたが、まだ実際の運用レベルには至っていない。NHKの集金人が来なくなると主張する「NHK撃退シール」を配布する活動や、集金人の対応に困った人からの相談を受ける電話相談は結党当初から続いており、参院選後には党独自のコールセンターも開設された。しかし、それ以外の政治的実力はまったくの未知数である。 有権者が解決を求める政治課題は、NHKの受信料問題だけではない。そのため、今後もN国が巨大な勢力になることは考えにくい。しかし、世の中に一定数存在する「反NHK票」の受け皿が新たに現れない限り、N国が議席を取り続ける可能性はなくならない。 とくにN国が力を注いでいるのは、大選挙区制で行なわれる選挙である。これは1つの選挙区で複数の当選者を選ぶもので、市区町村レベルの地方議会議員を決める選挙である。もう一つ力を入れているのが、国政選挙における比例代表制だ。 これらの選挙結果を分析すると、あることに気づく。有効投票数の約2.5%を取れば、「1議席」の当選ラインに届くのだ。 立花党首はこれまでに何度も、「40人のうちの39人に嫌われても、1人が入れてくれれば当選できる(得票率2.5%)」と言ってきた。その言葉の通り、議会で多数派を占めることはできなくても、確実に1議席は取れるラインがある。N国はここに目をつけて各地の選挙に候補者を立て、1議席を取りに行っている。議席を獲得すれば、税金から歳費が支払われる仕組みが手に入るからだ。 議会制民主主義の中で、1議席でできることは限られる。しかし、NHKの受信料制度に文句を言う勢力は、いつまで経っても消えない。地方議員の発言力は、ただのボランティアとは違ってNHKに対するプレッシャーにもなる。しかも、国政選挙や知事選挙の際には、「政見放送」というプロモーションビデオの撮影を行う義務がNHKには課されている。こうしたN国の選挙戦略は、NHKにとって「悪夢のビジネスモデル」と言えるだろう。●はたけやま みちよし/フリーランスライター。1973年生まれ。早稲田大学在学中から取材、執筆を始める。泡沫候補と呼ばれる立候補者たちを追った『黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い』(集英社)で第15回開高健ノンフィクション賞受賞。他の著書に『記者会見ゲリラ戦記』(扶桑社新書)、『領土問題、私はこう考える!』(集英社)など。黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い
2019.11.04 07:00
NEWSポストセブン
今後は何を目指す・
前澤友作氏が本音を語った「なるべく嫌われたくはない」
 9月12日、インターネット衣料通販大手ZOZOが、ソフトバンク傘下のヤフーに買収されることが電撃発表され、それに伴い創業者の前澤友作氏が社長を退任した。かねて前澤氏に批判的だった週刊誌の反応は厳しく、『週刊文春』9月19日発売号では「ZOZO前澤『人間失格』経営」、『週刊新潮』同日号では「ZOZO『前澤社長』涙と美談に隠された『火の車』」といった記事が相次いだ。 それに対し、前澤氏はツイッターで、〈僕の借金は約600億円です。株を担保に入れたローンを組んでいます。どうしても欲しかった現代アートや宇宙渡航のチケットにお金を使いました。一部報道で、借金は2000億円、と出ていますが事実ではありません〉(9月22日)と反論。最近はツイッターでの発言を控えてきた前澤氏の反論は大きな反響を呼んでいる。果たしてその真意とは? 渦中の前澤氏が、プロインタビュアーの吉田豪氏の取材に答えた。 * * *──『文春』&『新潮』制覇おめでとうございます!前澤:制覇! 制覇しちゃいましたか(笑)。──どうですか、これだけ騒がれる気分って。前澤:いやいや、今回が特別なわけでもなく前からだいぶイジられていたので。だけど総力取材なさったようで、僕の友人知人、はたまた大先輩の経営者に至るまで、いろんなところに取材を、なんで携帯知ってるんですかっていう人にまで直電で。──それを読んで腹が立ったりはするんですか?前澤:いやいや。彼らもそれなりには取材をされているんで8割方はホントなんですが、2割ぐらいはとてつもないフェイクで。そんなに調べたのに2割もフェイクを書いちゃうんだなって。一般の新聞の報道だったら考えられないじゃないですか……。あまりにも悪質なフェイクニュースに関しては僕も何度も考えたことはありますよ、訴えてみようとか、名誉棄損だとか損害賠償とか。でも実際1回もやったことはないですし、今後も面倒くさいから、やるつもりはないですけどね。──ツイッターで反論するぐらいでいいんですね。前澤:そうそう。いままでは上場企業でしたから、たとえば数字の話とか事業に関わることっていうのは反論したくても反論できないことがいっぱいあったんですが、今後は見つけちゃったら、泣き寝入りしないで、その都度反論してもいいかなと。その方が見てるほうも面白くないですか?──意外と客観的なんですね。前澤:そうですね。そりゃやっぱり嫌われたくないんですよ。なるべくはね。だって生きづらくなるじゃないですか。嫌われたら。──そんなに嫌われるようなことはやってないはずの人なのに、なんでこうなってるんだろうなって思いながら見てます。前澤:そうなんですよ! ぜんぜん嫌われるようなことはやってないつもりなんですけどね。──ホリエモン(堀江貴文氏)とかならわかるじゃないですか。嫌われてもいいやっていう腹のくくり方でやってる人で。前澤:そうですよね、僕はあんな大胆に言ったりやったりできないですよ、これでも嫌われたくないですから。──ダハハハハ! かなり気遣いが見え隠れするので。前澤:ホントに! 会うと「意外と謙虚なんですね」とか、言われるんですよ。「メディアが作り上げたイメージと実態はぜんぜん違うんですね、思ったより小柄ですし」みたいな、「それは関係なくないですか?」っていう(笑)。──どうしても日本は「お金がある人間はある程度叩いてもいい」みたいな空気があるじゃないですか。前澤:そう、無条件で。──で、そういう人がちょっと失敗っぽいことをした瞬間に。前澤:「ざまあみろ!」と。ホント、お金を持てば持つほど、世の中の人は、いいなと思ってるんでしょうけど、持てば持つほど嫌なことだって増えますよ。だから神さまは見てるんだなと。ただただお金を持たせてはくれないんだな、と(笑)。持ったら持ったで、それなりに大変なんだなっていう。どこかで見てますよね。ただ、楽しいか楽しくないかでいったらもちろん楽しくやってますよ。──もうちょっとうまく稼いで、そんなに矢面に立たずにうまくやってる人もいると思うんですよ。たぶんメディアに露出すればするだけ風当たりも強くなる部分があると思って。前澤:それもそうかもしれませんが、だんだん世の中から注目されはじめて、昔は何か買ってもいちいち人に言うこともありませんでしたが、そのうち買うものが買うものなのでバレはじめて……。──金額がデカすぎるから(笑)。前澤:それがまたフェイクの記事につながったりして。何を買ったらしい、いやいや、そんなのは買ってないし。何億したらしい、いやそんなにしてないし。いやその10倍高いし、みたいな。そういうのが続いているうちに、もう面倒くさいから目立つものを買ったときは全部憶測で書かれるより言っちゃおう、と。 それを欲しい人から見たら、いいなってなるし、夢あるなってなるし、その人にとってのやる気とかにつながるだろうしって思ったんですよ。だからジェットも買いました、アートも買いましたって、どんどん言うことにしたんですよ。そしたらフェイク記事じゃなくなったけど、逆に前澤ふざけんなみたいな。* * * 前澤氏への取材は70分に及んだ。ここには収録されていない前澤氏の人物像を“深掘り”したインタビュー記事は、10月7日発売の『週刊ポスト』(10月25日・11月2日号)に掲載される。
2019.10.03 17:00
NEWSポストセブン
萩本欽一が考える運・不運とは?
萩本欽一のツイッターが切り開いたTVと視聴者の新たな関係
 8月3日、4日、11日、18日にNHK-BSプレミアムで放送された『欽ちゃんのアドリブで笑』(2017年から不定期放送)は、テレビの原点を思い出させてくれた。 まず、過去の欽ちゃん番組と“真逆の現象”が起こっていることに着目したい。日本のバラエティ界を牽引してきた萩本欽一はツッコミ役として、ボケ役に“無茶振り”を繰り返してきた。昭和40年代後半、コント55号では坂上二郎を困らせて最大限におかしさを引き出した。 昭和50年代、『欽ちゃんのどこまでやるの!』(テレビ朝日系)などでは何時間もリハーサルを繰り返し、出演者の頭に台本を叩き込ませた上で、本番になるとアドリブを飛ばしていた。すると、見栄晴や斉藤清六は慌てふためきながら、必死に対応する。そこに萩本が突っ込みを入れ、笑いに変わっていった。 現在の『欽ちゃんのアドリブで笑』でも、劇団ひとりや澤部佑(ハライチ)、岡田結実などに1000本ノックのように無茶振りを続けている。8月11日の放送では、劇団ひとりが斧で薪を割るコントの際に「萩本、この野郎! テメエ、好き勝手いいやがって!」と狂ったように叩きまくってネタにしたほどだ。 だが、この番組で最も“無茶振り”を喰らっているのは、萩本自身である。スマートフォンをほぼ使っていなかった70代に対して、番組は昨年5月、「ツイッターを始めて下さい」と命じた。 総務省の『平成29年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査』によれば、日本のツイッターの利用者は31.1%。10代では67.6%、20代では70.4%が使用しているが、30代31.7%、40代24.3%、50代16.3%と世代毎に減少していき、60代はわずか5.9%になっている。 そもそも、13歳から69歳までを対象としており、萩本の年齢層は調査すらされていない。 喜寿を迎えた男に、ツイッターで55万リアクション(リツイート、いいね、返信の合計数)と100万リアクションという目標が与えられた。萩本が“視聴率100%男”と呼ばれた時代を知る若い世代は少なく、完全なアウェイでの戦いだった。しかし、欽ちゃんは2つの難関を見事にクリア。すると、『アドリブで笑』は地上波で総集編がオンエアされたり、2019年夏のBSでの放送が決定したりした。 そして今回、5月31日のツイッター再開から8月18日の放送終了までに550万リアクションを獲得するという途方もない目標値が設定された。番組では「レディー・ガガが1か月で達成できるかどうかの数字」と伝えられた。7915万人のフォロワーを持つ世界的な有名アーティストに肩を並べろという“無茶振り”だった。 期限1週間前の8月11日23時時点で194万7381リアクション。その後7日間で360万近い数字を集めなければならず、実現は困難を極めていた。 その数日前、萩本欽一は香取慎吾の番組招聘を決めていた。ジャニーズ事務所退所以降、香取をテレビで見る機会は激減していたが、欽ちゃんのツイッターなどに出演待望論が寄せられていた。そして11日の放送終了直前、萩本が香取のゲスト出演を発表すると、流れが変わった。 ツイッターで香取が〈#欽ちゃん 550万リアクションに挑戦中!みんな~!いってみよう!! 欽ちゃんのツイッターに!!!〉(8月13日0時35分)と呼び掛けると、ファンが反応。リアクションは加速度を上げ、最終的には550万を大幅に超える795万9831を記録した。これによって、『アドリブで笑』の放送は今後も続いていくようだ。 番組の最後、欽ちゃんが香取にお礼を述べると、香取はカメラに向かって「僕じゃないです。皆さんのおかげです! ありがとう!」と叫んだ。 これこそ、“テレビとネットの融合”ではないか。ライブドア社長だった堀江貴文氏がフジテレビ買収を試みた2005年前後から叫ばれ続けている長年の課題を、78歳のコメディアンがやってのけたのだ。 思い返せば、萩本欽一は素人を起用して人気者に育て上げ、『欽ドン!』では視聴者からの投稿で番組を作り上げてきた。昭和の頃から視聴者を巻き込んで一大ムーブメントを起こしてきた天才が、令和にまた動き始めた。 視聴者はテレビを見て終わりではなく、ツイッターに参加することで日々番組を楽しめる。SNSの誕生によって、一般人の関わる度合いは昭和の頃より格段に増している。  テレビは視聴者とともに作るものであり、視聴者ファーストであるべきだ──。番組を通して、“ミスター・テレビジョン”萩本欽一はそうメッセージを送りたかったのかもしれない。応援する人たちがいる限り、欽ちゃんへの“無茶振り”で始まった物語はこれからも続いていく。●文/岡野誠:ライター・芸能研究家。著書『田原俊彦論 芸能界アイドル戦記1979-2018』(青弓社)が話題。同書では田原が事務所を独立し、SMAPが大ブレイクした〈1994年のジャニーズ事務所〉という章を設けるなど、芸能史やアイドル史も紐解いている。9月28日、東京・下北沢本屋B&Bで元CHA-CHAの木野正人とトークイベントを開催。
2019.08.27 07:00
NEWSポストセブン
デモ行進で「年金払え」などと訴える人たち(時事通信フォト)
年金返せデモ騒動 集団行動OK派と嫌悪派による考えの差も
 堀江貴文氏が、「年金返せデモ」への否定的な感情をツイッターで表明し、その後デモに対する嫌悪感について出演したテレビ番組でも言及した。一連のつぶやきへの反発は大きく、ちょっとした炎上騒動に発展した。ネットニュース編集者の中川淳一郎氏が、なぜこの対立が騒動へと発展したのかについて考えた。 * * * 堀江貴文氏が「年金返せデモ」についてツイッターでディスった(批判した)ところ、デモ参加者やリベラル派から批判が多数寄せられた。デモ隊は「老後は2000万円必要」問題について、「年金返せ」と政権批判をしたが、堀江氏は、デモ参加者を「暇人」「税金泥棒」扱い。堀江氏としては、年金政策について今の政権に文句を言っても仕方がないし、個々人がガッツリ稼ぐことが国の安定に繋がる、と言いたかったのだろう。共感も多かったが、人でなし扱いもされた。 その後、「デモ原理主義者まじうぜー。政治家でも利権屋でもない一個人の俺が年金デモ気持ち悪いって言ってるだけなのに、そんな気になるんかいな」ともツイート。さらに『サンデージャポン』(TBS系)では「僕はデモを大体ディスるんですよ」「こいつらバカだ、みたいなことを言い続けてきて」「(デモの)映像見て、気持ち悪い。メッセージとか参加している人達の太鼓叩いているやつとか、超イヤだ」とも発言した。 私も概ね同じ考えである。ただし、香港の200万人とも呼ばれる参加者のデモには同意する。理由は、香港の自由な生活を脅かす恐れがある「逃亡犯条例」を適用されるのは自分が香港人だったとしたらイヤだし、結果的に数の力で「棚上げ」に追い込むことに成功した。だからあのデモは意味のあるデモだと思う。一方、「年金返せデモ」は「2000万円必要」は以前から分かっていたことだし、「今が政権叩きのチャンス!」だから発生したように見える。ここ何年も「アベ政治を許さない」派のデモを見てきたが、今回も同じ人間が参加しているのも確認できた。 堀江氏の「気持ち悪い」「超イヤだ」の大本には、勝手な想像ながら「集団行動が嫌い」ということがあるのではないか。堀江氏言うところの「デモ原理主義者」の主張の根底には、「デモは権力者と官僚機構に対する無辜(むこ)の民による崇高なる抗議手段であり、これぞ民主主義を体現する」との考えがある。そしてデモを批判する人間は権力者に阿(おもね)るクソ、ということになる。 ただ、「デモすりゃエライの?」とも思う。デモに参加せずとも、高額所得者は税金や医療保険という形で社会に貢献しているし、堀江氏もそんな人物だ。 そして、堀江氏の「デモ騒動」は、「集団行動OK派」と「集団行動嫌悪派」の対立という面もあるとも感じた。 子供の頃、全員が校庭にズラリと背の順に並び、「前へ、ならえ!」とやる朝礼が大嫌いだった。合唱コンクールも体育祭も嫌いだった。集団行動に嫌悪感があるのだ。だからこそ、自由に振る舞える大人になったというのに、隊列を組んで一斉にシュプレヒコールを挙げるデモ参加者に「全体主義」を感じ、この統制されぶりが見ていられないのだ。こう書くと「お前はリベラル派のデモだから叩いているのだろう」などと思うかもしれないが、私は在特会のデモはボロクソに叩きまくっている。 集団行動が嫌いな人は「大人のサークル」には入らないし、パック旅行にも行かないし、デモにも参加しない。集団行動の別形態である「行列」も嫌いだからタピオカ屋にも並ばない。今回の騒動はそんな嗜好の差が明確に表われた面もあるのでは。●なかがわ・じゅんいちろう/1973年生まれ。ネットで発生する諍いや珍事件をウオッチしてレポートするのが仕事。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』など。※週刊ポスト2019年7月12日号
2019.07.01 16:00
週刊ポスト

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