モテ車を解説する「週刊ポスト」連載の「死ぬまで カーマニア宣言!」。オヤジだけでなく女性にも人気が高いポルシェ。中古ならお買い得なのではないかと探しても、びっくりするような価格で手を出せないのだという。これまでにクルマを40台買ってきたフリーライター・清水草一氏(53)が、中古ポルシェの人気について解説する。
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ご同輩諸君。我々中高年男性にとって、ポルシェは永遠の憧れ。男の勲章だ。中年期は子育てや家のローン等で一旦諦めたものの、子離れ後に熱が復活し、60過ぎて夢をゲット、というパターンは少なくない。
その夢を壊すようで申し訳ないが、ポルシェの中古車はいま、大変なことになっている。暴騰してしまったのである。
暴騰が著しいのは、1998年製以前の空冷式ポルシェ・911だ。空冷とは文字通り空気でエンジンを冷やすタイプのことで、常にファンが回っているため「バババババ」とやかましいが、その空冷911の中古車が、猛烈に値上がりしている。
きっかけは本国ドイツでの人気炸裂だ。近年になって人気が上昇し始め、それが海外にも波及。日本には良質な中古車が大量にあるということで海外のバイヤーが押しかけ、あれよあれよという間に価格が2倍以上になってしまった。
たとえば964型と呼ばれる、1989~1993年に作られた空冷911は、つい2~3年前までなら300万円ほどで買えたが、現在の相場はAT車で600万円、MT車だと800万円ほどもする。20年以上経った時代遅れ(?)のスポーツカーの値段が、である。
これが限定モデルとなると、5年前に1000万円なら今は5000万円というところ。もはや空冷バブルである。