ビジネス

テスラEVの経営体質に危うさ 「マスク信仰」いつまで続くか

天才起業家の呼び声も高いイーロン・マスク(左)だが……

 稀代の天才起業家か、はたまた大言壮語のホラ吹きか――。電気自動車(EV)や太陽光発電を全世界に普及させることで地球環境を守り、最終的には「人類を火星に移住させる」という途方もない野望に向かって宇宙ロケット事業まで参入している米国の経営者、イーロン・マスク氏。

 そのマスク氏がCEOを務めるEVメーカー、テスラ・モーターズが日本での知名度を上げつつある。

 もともと同社は2010年に日本市場参入を果たし、ノートPCなどに広く使われるリチウムイオン電池を約7000個も搭載したEVスポーツカー『ロードスター』やセダンタイプの『モデルS』を販売してきたが、認知度はいまひとつだった。

 自動車ジャーナリストの井元康一郎氏がいう。

「テスラ車は名だたるスーパーカーをも凌ぐほどの加速性能や、路面状態に合わせディスプレイ操作で車高を自由に変えられるなどの革新的なクルマづくりで、欧米では高い評価を受けています。『ロールスロイス』や『ベントレー』に代表されるプレステージカーから乗り換える人までいるくらいですからね。

 ただ、いかんせん1000万円を軽く超える車体価格に加え、EV自体が次世代車の主役になっているわけではないので、ごく一部の富裕層にウケているのが実情です。日本ではさらに、スピードを実感しにくい道路環境や、充電設備が整っていないことも認知度がなかなか上がらない理由です」

 テスラ社は販売台数を公表していないが、調査機関のレポートによれば急速充電スタンドを張り巡らせる全米でも、モデルSの売れ行きは年間3万台に届いていない模様なので、日本は推して知るべしだ。

 しかし、マスク氏はテスラ車のプレゼンスを高めようと、次なる布石も打っている。モデルSユーザーに提供される新たなソフトウェアをインターネット上で更新するだけで、高速道路での車線変更や追従走行、一般道の縦列駐車など「自動運転機能」を追加することができるというものだ。日本でも国内メーカーに先んじて国交省の承認を得たことで、驚きの声が広がっている。

 さらに、今年から家庭用・法人用の蓄電池市場に参入したり、車体価格が400万円前後と噂される普及タイプの次期EV「モデル3」の予約も開始する。

関連キーワード

関連記事

トピックス

中居正広氏の騒動はどこに帰着するのか
《中居正広氏のトラブル事案はなぜ刑事事件にならないのか》示談内容に「刑事告訴しない」条項が盛り込まれている可能性も 示談破棄なら状況変化も
週刊ポスト
離婚を発表した加藤ローサと松井大輔(右/Instagramより)
「ママがやってよ」が嫌いな言葉…加藤ローサ(40)、夫・松井大輔氏(44)に尽くし続けた背景に母が伝えていた“人生失敗の3大要素”
NEWSポストセブン
ヒグマの親子のイメージ(時事通信)
【観光客が熊に餌を…】羅臼岳クマ事故でべテランハンターが指摘する“過酷すぎる駆除活動”「日当8000円、労災もなし、人のためでも限界」
NEWSポストセブン
2013年に音楽ユニット「girl next door」の千紗と結婚した結婚した北島康介
《金メダリスト・北島康介に不倫報道》「店内でも暗黙のウワサに…」 “小芝風花似”ホステスと逢瀬を重ねた“銀座の高級老舗クラブ”の正体「超一流が集まるお堅い店」
NEWSポストセブン
二階堂ふみとメイプル超合金・カズレーザーが結婚
二階堂ふみ&カズレーザーは“推し婚”ではなく“押し婚”、山田美保子さんが分析 沖縄県出身女性芸能人との共通点も
女性セブン
山下美夢有(左)の弟・勝将は昨年の男子プロテストを通過
《山下美夢有が全英女子オープンで初優勝》弟・勝将は男子ゴルフ界のホープで “姉以上”の期待度 「身長162cmと小柄だが海外勢にもパワー負けしていない」の評価
週刊ポスト
京都成章打線を相手にノーヒットノーランを達成した横浜・松坂大輔
【1998年夏の甲子園決勝】横浜・松坂大輔と投げ合った京都成章・古岡基紀 全試合完投の偉業でも「松坂は同じ星に生まれた投手とは思えなかった」
週刊ポスト
夏レジャーを普通に楽しんでほしいのが地域住民の願い(イメージ)
《各地の海辺が”行為”のための出会いの場に》近隣住民「男性同士で雑木林を分け行って…」 「本当に困ってんの、こっちは」ドローンで盗撮しようとする悪趣味な人たちも出現
NEWSポストセブン
2013年に結婚した北島康介と音楽ユニット「girl next door」の千紗
《北島康介に不倫報道》元ガルネク・千紗、直近は「マスク姿で元気がなさそう…」スイミングスクールの保護者が目撃
NEWSポストセブン
娘たちとの関係に悩まれる紀子さま(2025年6月、東京・港区。撮影/JMPA)
《眞子さんは出席拒否の見込み》紀子さま、悠仁さま成年式を控えて深まる憂慮 寄り添い合う雅子さまと愛子さまの姿に“焦り”が募る状況、“30度”への違和感指摘する声も
女性セブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者が逮捕された
「ローションに溶かして…」レーサム元会長が法廷で語った“薬物漬けパーティー”のきっかけ「ホテルに呼んだ女性に勧められた」【懲役2年、執行猶予4年】
NEWSポストセブン
ヒグマの親子のイメージ(時事通信)
「なぜ熊を殺した」「行くのが間違い」役場に抗議100件…地元猟友会は「人を襲うのは稀」も対策を求める《羅臼岳ヒグマ死亡事故》
NEWSポストセブン