ライフ

最高1日615杯 標高1273mの山頂で食す絶品鍋焼きうどん

「鍋割山」山頂の鍋焼きうどん

 山の頂でしか食べられない幻の「鍋焼きうどん」がある──。そんな噂を耳にした取材班は現地へ向かった。山道にくじけそうになりながら辿り着いた先には、至福の瞬間が待っていた。

 鍋の蓋を開けると、グツグツと音を立て、白い湯気が立ち上る。ふわっと香る甘い匂いがなんとも食欲をそそる──。年の瀬の12月27日、取材班は絶品「鍋焼きうどん」に出会った。しかし、そこまでの道のりは決して容易なものではなかった。

 都心から、車で約1時間。神奈川県・秦野の「鍋割山」の標高は1273m。同行した山岳ガイドの根本秀嗣さんによると、「入門編のまろやかな山」だというが、根本氏はヒマラヤ登頂の経験もあるプロ。しかし、初心者にはきつい。よろよろと山道を登る姿に、すれ違う登山客が、

「さっきは30分待ちだったけど、遅い時間帯は行列もなくなっているからきっとすぐに食べられるよ。あと少し、がんばって!」

 と、代わる代わる声をかけて励ましてくれる。この先に、ご褒美が待っている──。その一念で、約3時間半かけてようやく山頂に到着した。

◆つゆの甘さが染み渡る

 疲労と寒さで足はガクガクだが、一目散にお目当ての「鍋割山荘」へ。

「いらっしゃい! 鍋焼きうどん、4つね!」

 と、調理場から店主の草野延孝さんが明るく迎えてくれた。はやる気持ちを抑えながら席で待つと、

「はい、できましたよ~」

 いよいよご対面だ。ワクワクしながら蓋をとるとふわっと湯気がたち、つゆの甘い香りが立ち上る。煮込まれたつゆはグツグツと音をたて、麺を覆い尽くすほどたっぷりと具材が乗っている。真ん中にはぷっくりと膨らんだ半熟の卵、その横にはホクホクのカボチャの天ぷら。きのこにお揚げにほうれん草に……と、具材をかきわけながら宝探しのような気持ちになる。

 早速、熱々のつゆをひと口。冬山で冷え切った身体にその甘さがじわっと染み渡り、疲れがほぐれた。あぁ、旨い。

◆「具材は背負って運ぶ」

 居合わせた男性客がいう。

「やっぱり何度食べてもいいなぁ。熱々のうどんは、山小屋ではなによりのごちそうだよね」

 その男性客が店主の草野さんにこう聞いた。

「ご主人、まだ『ボッカ』しているの?」

「そりゃあそうだよ。そうじゃなきゃ、鍋焼きうどんは作れないよ(笑い)」

関連キーワード

関連記事

トピックス

無期限の活動休止を発表した国分太一(50)。地元でもショックの声が──
《地元にも波紋》「デビュー前はそこの公園で不良仲間とよくだべってたよ」国分太一の知られざる “ヤンチャなTOKIO前夜” 同級生も落胆「アイツだけは不祥事起こさないと…」 【無期限活動停止を発表】
NEWSポストセブン
広島県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年6月、広島県。撮影/JMPA)
皇后雅子さま、広島ご訪問で見せたグレーのセットアップ 31年前の装いと共通する「祈りの品格」 
NEWSポストセブン
草野刑事を演じた倉田保昭と響刑事役の藤田三保子が当時を振り返る(撮影/横田紋子)
放送50年『Gメン\\\\\\\'75』 「草野刑事」倉田保昭×「響刑事」藤田三保子が特別対談 「俺が来たからもう大丈夫だ」丹波哲郎が演じたビッグな男・黒木警視の安心感
週刊ポスト
月9ドラマ『続・続・最後から二番目の恋』主演の中井貴一と小泉今日子
今春最大の話題作『最後から二番目の恋』最終話で見届けたい3つの着地点 “続・続・続編”の可能性は? 
NEWSポストセブン
TOKIOの国分太一(右/時事通信フォトより)
《あだ名はジャニーズの風紀委員》無期限活動休止・国分太一の“イジリ系素顔”「しっかりしている分、怒ると“ネチネチ系”で…」 “セクハラに該当”との情報も
NEWSポストセブン
『ザ!鉄腕!DASH!!』降板が決まったTOKIOの国分太一
《どうなる“新宿DASH”》「春先から見かけない」「撮影の頻度が激減して…」国分太一の名物コーナーのロケ現場に起きていた“異変”【鉄腕DASHを降板】
NEWSポストセブン
日本のエースとして君臨した“マエケン”こと前田健太投手(本人のインスタグラムより)
《途絶えたSNS更新》前田健太投手、元女子アナ妻が緊急渡米の目的「カラオケやラーメン…日本での生活を満喫」から一転 32枚の大量写真に込められた意味
NEWSポストセブン
出廷した水原被告(右は妻とともに住んでいたニューポートビーチの自宅)
《水原一平がついに収監》最愛の妻・Aさんが姿を消した…「両親を亡くし、家族は一平さんだけ」刑務所行きの夫を待ち受ける「囚人同士の性的嫌がらせ」
NEWSポストセブン
中世史研究者の本郷恵子氏(本人提供)
【「愛子天皇」の誕生を願う有識者が提言】中世史研究者・本郷恵子氏「旧皇族男子の養子案は女性皇族の“使い捨て”につながる」
週刊ポスト
夫・井上康生の不倫報道から2年(左・HPより)
《柔道・井上康生の黒帯バスローブ不倫報道から2年》妻・東原亜希の選択した沈黙の「返し技」、夫は国際柔道連盟の新理事に就任の大出世
NEWSポストセブン
新潟で農業を学ことを宣言したローラ
《現地徹底取材》本名「佐藤えり」公開のローラが始めたニッポンの農業への“本気度”「黒のショートパンツをはいて、すごくスタイルが良くて」目撃した女性が証言
NEWSポストセブン
1985年春、ハワイにて。ファースト写真集撮影時
《突然の訃報に「我慢してください」》“芸能界の父”が明かした中山美穂さんの最期、「警察から帰された美穂との対面」と検死の結果
NEWSポストセブン