住宅ローン金利が史上空前の低水準となっている。これは日銀の「マイナス金利政策」を受けて長期金利が下降線を辿っているため、それに連動する各金融機関の住宅ローン金利も下がり続けているという背景がある。
すでに、三菱東京UFJ銀行や三井住友銀行、りそな銀行などの10年固定型金利は、2月に1.10%から1.05%に引き下げられ、メガバンクとしては過去最低水準になっている。
また、民間の金融機関と連携する住宅金融支援機構の長期固定住宅ローン「フラット35」の金利(35年返済)も、1月の1.54%から1.48%に。この状態が続けば、過去最低だった2015年2月の1.37%を更新する最低金利になる可能性も出てきた。
ここまで金利が下がってきたことで、「マイホーム購入も夢ではなくなる」と、年明けから物件選びを始めている人も多いだろう。住宅ジャーナリストの山下和之氏は、「いまの金利水準はローン負担を大幅に軽減してくれる」と話し、こうソロバンを弾く。
「借入額3000万円、35年元利均等・ボーナス返済なしのローンを組んだ場合、毎月返済額は金利3%なら11万5455円ですが、2%だと9万9378円、1%なら8万4685円までダウンします。現状の金利水準ならマイホームも格段に買いやすいですし、年収の低い若者にとってはチャンスが広がっているといえます」
だが、超低金利がこのまま続く保証はどこにもない。いまの水準ばかりに目を奪われ、高嶺の花だった新築マンションに飛びつけば失敗する恐れもある。
「住宅ローン金利が適用されるのは物件の販売開始時ではなく引き渡し時なので、そのときに金利が上がっていれば返済計画も見直さなければなりません。
特に大規模な新築マンションともなると、販売開始から入居まで2、3年かかることはざらにあります。例えば、今年4月から販売がスタートする総戸数361戸の『ブリリアタワー上野池之端』も、引き渡しは2019年6月と3年以上も先になります。
その時の金利がどうなっているかは分かりませんが、現在の超低金利が最低水準であるということは、今後は一段の低下は期待しにくく、むしろ上がる可能性が高い。逆にいえば、超低金利時に契約するということは、その後の金利上昇によるリスクが極めて大きくなることを意味します」(前出・山下氏)