ローン借り入れ後の金利上昇による返済リスクは、固定型より変動型のほうが深刻だが、フラットでもマイホーム購入までのわずか数年で資金計画の見直しを迫られるほど上昇した過去はある。
「首都圏でミニバブルと呼ばれた2005年、フラット35の金利は2.15%でしたが、2007年7月に2.961%、2008年6月には3.05%まで上がりました。金利が1%近く上がったことで、予定していた金額の借り入れができなくなり、減額を迫られたり購入を見送らざるを得なくなったりした人もいました」(山下氏)
では今後、2005年と同じ状況が起こったらどうなるのか。山下氏に必要年収も加えた返済シミュレーションをしてもらった。
●金利1.48%の場合/毎月返済額12万2082円/総返済額5127万4440円/必要年収419万円
●金利2.48%の場合/毎月返済額14万2569円/総返済額5987万8980円/必要年収489万円
●金利3.48の場合/毎月返済額16万4853円/総返済額6923万8260円/必要年収566万円
【設定条件:借入額4000万円、35年元利均等・ボーナス返済なし】
金利が1%上昇すると、毎月の返済額こそ約2万円アップで頑張れば支払えそうな額だが、総返済額でみると、なんと860万円以上の負担増になる。一気に2%上がろうものなら、総返済額は1800万円、年収も150万円程度多く稼がないと支払いが厳しくなる。
山下氏は「超低金利だからこそ、そうしたリスクを想定しながら、できるだけ余裕のある資金計画を考えておく必要がある」とアドバイスする。
予想外の金利上昇に自分の懐がどこまで耐えられるのか――。マイホームの購入動機や将来の生活設計も描きながら、“買い時”は慎重に検討したい。