越山:失敗した回の放送後は、視聴者の方から「正解ルートを教えてほしい」というメールをいただきますが、明確な正解ルートというのはないんです。答えは一つではないので。ただ、「こう行けばたどりつけるはず」とスタッフが考えている想定ルートはあります。でもいつも、想定ルートから逸れてしまうんですね。現地の方から聞いた情報が古かったり、運休があったり、本人たちの勘違いがあったりする。スタッフは「そっちに行ってはいけない」と思いながらも、ひたすら間違ったほうに進んでいくこともあります。逆に、スタッフも気づかなかったコミュニティーバスを見つけて、ミラクルなショートカットをすることもあります。
――出発ぎりぎりのバスに撮影班ごと飛び乗るようなこともありますが、撮影許可はどのように?
越山:1回のロケでだいたい5~10社のバスに乗ります。バス会社の広報さんには「恐らくこの日あたりに、御社のバスに乗ります」と事前にアバウトに伝えています。いつどこから乗るか正確にはわかりませんので。ただそうなると、都市部のバス会社からは許可をもらえない傾向がありますね。
――宿探しも苦労されています。
越山:蛭子さんは特に、民宿を嫌がりますからね(笑い)。地方でも週末とか、お祭りなどがあると、宿が満室になっていることがあります。そういった場合は来た道を戻るなどしてまた探すこともあります。スタッフも同じ所に泊まれればベストですけど、ディレクターや技術班合わせて総勢12人ほどで移動しているので、スタッフは隣町の宿に泊まるということもあります。今のところ、車中泊はありません。
――今後の抱負を教えてください。
越山:今まで通り粛々と、お二人がやれるところまで頑張るつもりです。振りかぶるといいことはありませんから、気楽な感じでどこまで行けるか。路線バスの謎解き感、地域の方とのふれあいなどを大切にしていきたいと思います。
◇『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』
太川陽介、蛭子能収、そしてゲストのマドンナの3人が、路線バスのみを使って3泊4日でゴールを目指す人気旅番組。年に2~3回、テレビ東京の『土曜スペシャル』内で放送され、2016年1月2日には最新の第22弾が放送された。『ローカル路線バス乗り継ぎの旅 THE MOVIE』は初の海外ロケを敢行。マドンナに三船美佳を迎え、台北から最南端のガランピ灯台を目指す。2月13日(土)、全国ロードショー。