カールスジュニア再上陸1号店は東京・秋葉原
こうしてみると、カールスジュニアの戦略はファストフードの領域を超え、本格料理をじっくりと味わってもらいたいという意図が透けている。目指すのは、巷間で称される“グルメバーガー”の地位なのかもしれない。
そもそも、ファストフードバーガーとグルメバーガーの境界線はどこにあるのか。バーガー研究家の肩書きを持つフードコンサルタントの白根智彦氏が、独自の見解を述べる。
「値段が安いからファストフードバーガー、逆に高いからグルメバーガーでは決してありません。要は作り手の“丁寧な仕事”がどれだけ詰まっているかが重要です。
香ばしいバンズ(パン)の中に、肉感たっぷりのパティ(ハンバーグ)、とろけ出すチーズ、鮮度たっぷりの野菜と、一つひとつのパーツが見事なハーモニーを生み出すハンバーガーこそがグルメバーガーの名に相応しいのです。
そういう意味では、『コーラが合うか、ビールが合うか』で違いを見極めることができるかもしれません。マックのハンバーガーはコーラがベストマッチなのでファストフードの域を出ませんが、個人店でもこだわりの食材で絶妙なバランスが取れているハンバーガーにはクラフトビールがよく合います」(白根氏)
では、カールスジュニアのハンバーガーはどちらに分類されるのか――。ちなみに同店ではビールも提供している。
「それぞれの素材にこだわって作り込んでいるので、ファストフードバーガーの最高峰といえるかもしれませんが、日本人が好む味付けや全体のハーモニーという点では改善の余地もあると思います。いまのところビールよりもややコーラのほうが合う印象です」(前出・白根氏)
今後、カールスジュニアは日本独自のメニューを開発したり、アメリカ仕込みのオペレーションを変えたりしながら、10年間に150店舗の出店を目指すという。ウェンディーズやバーガーキング、最近ではシェイクシャックなどの“黒船チェーン”も入り乱れる中、どこまで日本のバーガー業界の“空白地帯”を埋めることができるか。