といっても、裁判で当時のことについて聞かれるたびに、「記憶にありません」「記憶障害なので」を繰り返す野々村元県議だが、「診断を受けた日は?」と問われるとその日付を即答するなど、その病に疑いを持ってしまう人もいることだろう。

「診断された日だけ覚えているというのは、少し不自然ですね。医師による精神鑑定を待たなければなりません。ましてや右耳に集中させるなんていう仕草は、記憶障害とは関係ありません。

 記憶障害克服の努力をしている人はたくさんいますし、記憶障害で行動が変わってしまう人もいます。でも、彼の場合は一貫してキャラクターも変わっていないような気がします」(遠藤さん)

 記憶障害は重篤になれば健忘症や認知症にもつながる重大な病なだけに、高齢の両親を持つ主婦(46才・都内在住)からは、「記憶障害のイメージを悪くしている。うちの親がもしそう診断されても周囲に言えない」という声もあがっている。

「専門の医師の鑑定が必要ですが、野々村さんは強烈なストレスで長期記憶障害、もしくはエピソード記憶の障害の可能性があります。たとえば、脳がイヤな記憶や思い出したくないことを思い出さないように押さえつけることもあるんです。たとえば津波の記憶や事故の記憶がPTSD(心的外傷後ストレス障害)を起こさないよう、脳がうまく記憶をコントロールする。これは障害ではなく、自分を守る見事な適応です」(遠藤さん)

 病を疑うのは、決してよいことではないが、この病を正しく理解すればするほど、“う~ん?”とモヤモヤ…。野々村元県議の病が治る日は来るのだろうか。

※女性セブン2016年3月17日号

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