ちょうど中国で金が最も売れる春節(2016年は2月8日~)に向けた手当て買いの時期にも重なり、とりわけ中国の現物買いの引き合いが強かった。さらに中国国内では、の経済減速とそれに伴う人民元切り下げ観測が広がっており、ヘッジで金を買う動きも強まっていることがある。
また、中国人民銀行は昨年7月以降、金の購入量を公開しているが、毎月15トン~20トンベースで金を買い入れている。昨年12月にも19トン買っていたことが判明している。
結果的に彼らの旺盛な買いが、金市場でのファンドの売り崩し的な動きに歯止めをかけた格好だ。金相場にとっては、ここが一つの転機になったと思う。もしこの時、12月3日の安値を割れていたら、そのまま1000ドル方向に下落していく可能性が高かっただろう。ファンドはこれ以降、売り崩しに動くというよりは、ショート(売り建て)の買い戻しに転じたと見受けられる。
ちなみに、世界最大の金ETF「SPDRゴールド・シェア」は昨年11月以来、FOMC翌日の12月17日まで、米利上げ観測のもとで一貫して売られていた。この期間で同銘柄の残高は62トンも減少していたが、12月18日には残高が前日比で18.75トンもの大幅増に転じた。そこを転機に、2016年に入っても残高が増加に転じることはなかった。
※マネーポスト2016年春号