「匿名だ」と切り捨てられた“名もなきママ”と同じ思いを持つ女性たちの怒りは集結し、大きなうねりとなり、一向に現実的な解決策を講じない政府に悲痛な叫び声を上げ始めた。ある全国紙記者が言う。

「今回の国会前スタンディングは、お互いに知らない者がたくさん集まりました。極めてソーシャルメディア的な流れだと思います。最初のブログを書いた人、ハッシュタグで署名を集め始めた人、プラカードのデザインをした人、そしてスタンディングを呼びかけた人、すべてが別の人で、それぞれの思いのまま行ったこと。それがたった2週間で国会で議論されることになったのは、多くの人が強く願っていることが等しく同じだったということ」

 昨年11月、安倍首相は待機児童の増加をめぐり、「女性の就業者が増えたから無理もない。うれしい悲鳴だ」と発言した。匿名ブログを読み上げたのと同じ予算委員会で山尾議員が発言の撤回を求めるも、安倍首相は「就業者が増えたことを“うれしい”と述べただけだ」と声を荒らげた。

 山尾議員が続ける。

「自分にとって不可解なことが生じると安倍首相は怒りますが、そもそも増えている就業者は65才以上の主婦がほとんどで、現役・子育て世代は横ばいか減少であり、前提が間違っている。安倍首相は『妻がパートで25万円(稼ぐ)』と国会で発言するほど現実を知らず、仮に不認可保育園で月9万円かかっても、“それぐらいなら頑張れば出せる”と思っているフシがある。共働きで月収30万円の3分の1を保育園で取られたら、生活がままならず、2人目、3人目を産めません。これでは少子化がますます進行します」

 山尾議員は署名活動で集まった2万5000人の声を、国会審議などを通じて安倍政権に伝えていきたいという。

「自分の悔しさを伝えたい」――ひとりのママの告発から大きく膨らんだ国民の怒りに対し、首相は真摯に耳を傾ける責任がある。

※女性セブン2016年3月24日号

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