ここまで差が開いたのは、2011年以降続く資源価格下落が理由だ。三菱商事や三井物産は原油やLNG(液化天然ガス)など資源に力を入れてきた。三井物産は利益の7割近くを資源で稼いでおり、両社は「資源商社」とも称される。
事実上、資源の輸入は限られた企業にしかできないため、なかば寡占状態。したがって、価格が上がっているときは大きな利ざやを稼ぐが、一度下落すると巨額の損失を出すリスクをはらんだ投資となる。
一方で岡藤社長は、自分が育った“非資源”分野こそが伊藤忠の戦場だと信じて疑わず、“非資源ナンバーワン商社”をスローガンに掲げた。
「象徴的なのは、社長応接室に額装して飾られている『か・け・ふ』の3文字です。これは、『稼ぐ』『削る』『防ぐ』の頭文字。商いの原理原則を日々、実践するという宣言なのでしょう」(前出・専門紙記者)
今年1月、「純利益で商社トップに立ったら全社員に臨時ボーナスを支給する」と宣言したことも話題になったが、これも有言実行される。6月の株主総会で承認後に支給の予定だ。
「ン十万円、あるいは百万円超えもあるのではと噂になっています」(30代社員)
※週刊ポスト2016年4月15日号