ライフ

「撮り鉄」のマナーが悪化する鉄道写真界特有の原因とは

鉄道撮影はマナーを守って(とんとん / PIXTA)

 真岡鉄道が怒った!栃木県を走るローカル鉄道「真岡鉄道」が、フェイスブックに鉄道写真を撮るアマチュアカメラマン、いわゆる「撮り鉄」たちに踏み荒らされた菜の花の写真とそのマナーの悪さを戒める投稿をアップして話題を呼んでいる。ネットでもしばしば一部の撮り鉄のマナーの悪さは指摘される。なぜ彼らはそんなに行儀が悪いのか。カメラ誌に記事も書いているフリー・ライターの神田憲行氏が取材した。

 * * *
 くだんの投稿は11日朝に行われた。踏み荒らされた菜の花の写真3枚とともに、

《どう感じますか?/踏みつけられた菜の花。/何を撮影したいのですか?/たかが菜の花?/綺麗に咲いている菜の花を踏みにじって何も感じないのでしょうか?/地元の方たちが手をかけて咲かせていることをわからないのでしょうか?》

 と疑問を投げかけ、最後に

《この投稿を見て、もしも該当するような事をされてしまった方がいらっしゃいましたら今後はそのような事を絶対にしないでください。関係無い、今迄通り好き勝手やる、そう思った方はもう来ないで下さい。》

 と厳しく諫めている。

 私はこの投稿を読んで、「よくぞ言ってくれた」と膝を打った。実は今まで一部の撮り鉄のマナーの悪さについて鉄道会社に取材を申し込んでも、まず受けてもらった経験がないからだ。問題意識がないわけではなく、ただ多くの人に利用して貰う鉄道会社として言いにくい、という事情があるからだ。真岡鉄道としては、自分たちの鉄道を撮るために付近の住民に嫌な思いをさせたくない一心で、厳しい論調になったのだろう。真岡鉄道の勇気に拍手を送りたい。

 それにしてもなぜ撮り鉄のマナーの悪さが目立つのだろうか。90年の歴史を誇る写真とカメラの雑誌「アサヒカメラ」(朝日新聞出版)の佐々木広人編集長は、これまで定期的に撮影マナーについての特集を組んでいる。どれも好評だという。

「というのは、一部のマナーの悪いアマチュアカメラマンの態度にプロ写真家も大多数の良質なアマチュア写真家も怒っているからです。彼らと一緒にされてはたまりません」

 佐々木氏自身、小湊鉄道に撮影のため訪れたとき、近所の庭の生け垣に直径10センチほどの穴が開けられているのを見つけた。その家の人に聞くと、庭に無断で侵入し、生け垣に穴を開けてその穴越しに前を走る列車を撮ろうとしていた人がいるらしい。その穴の近くにレンズキャップまで落ちていた。

 なぜ「撮り鉄」にそんな異常な人が現れてしまうのか。実は鉄道写真界特有の原因がある。全国の有名鉄道には、有名写真家が傑作をものした撮影スポットが存在する。

「そういう撮影スポットを通称『お立ち台』と呼びます。お立ち台から撮ればその写真家の傑作に近い構図が得られるので、アマチュア写真家が集中する。1箇所に押し合いへし合い人が集まれば、なかには柵を乗り越えたり花を踏み荒らす人が出てきます」(佐々木編集長)

関連記事

トピックス

【初回放送から38年】『あぶない刑事』が劇場版で復活 主要スタッフ次々他界で“幕引き”寸前、再出発を実現させた若手スタッフの熱意
【初回放送から38年】『あぶない刑事』が劇場版で復活 主要スタッフ次々他界で“幕引き”寸前、再出発を実現させた若手スタッフの熱意
女性セブン
元工藤會幹部の伊藤明雄・受刑者の手記
【元工藤會幹部の獄中手記】「センター試験で9割」「東京外語大入学」の秀才はなぜ凶悪組織の“広報”になったのか
週刊ポスト
映画『アンダンテ~稲の旋律~』の完成披露試写会に出席した秋本(写真は2009年。Aflo)
秋本奈緒美、15才年下夫と別居も「すごく仲よくやっています」 夫は「もうわざわざ一緒に住むことはないかも」
女性セブン
日本初となる薬局で買える大正製薬の内臓脂肪減少薬「アライ」
日本上陸の内臓脂肪減少薬「アライ」 脂肪分解酵素の働きを抑制、摂取した脂肪の約25%が体内に吸収されず、代わりに体内の脂肪を消費
週刊ポスト
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
専修大サッカー部を辞任していた源平監督(アフロスポーツ)
《「障害者かと思った」と暴言か》専修大サッカー部監督がパワハラ・経理不正疑惑で辞任していた 大学は「警察に相談している」と回答
NEWSポストセブン
日本人パートナーがフランスの有名雑誌『Le Point』で悲痛な告白(写真/アフロ)
【300億円の財産はどうなるのか】アラン・ドロンのお家騒動「子供たちが日本人パートナーを告発」「子供たちは“仲間割れ”」のカオス状態 仏国民は高い関心
女性セブン
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
女性セブン
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
NEWSポストセブン
日本製鉄によるUSスチールの買収計画
【日本製鉄のUSスチール買収問題】バイデンもトランプも否定的だが「選挙中の発言に一喜一憂すべきではない」元経産官僚が読み解く
NEWSポストセブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン