丘陵地帯に広がるぶどう畑。眼下には遠く大阪の街が広がる。日本でワインの産地といえば、多くの人が山梨や長野を思い浮かべるだろう。また近年では、北海道に注目の新しいワイナリーが次々に誕生しているが、大阪は古くからワイン造りが盛んだった。
明治時代に大阪府によってぶどうの苗が移植されたのをきっかけに、大阪南部の河内地域はぶどう作りが盛んになった。そしてそのぶどうが寿屋(現・サントリーホールディングス)の大阪港にある醸造所に運ばれ、1907(明治40)年に発売された『赤玉ポートワイン』の原料となった。
ぶどう産地である河内地域にも中小の醸造所がいくつも設立され、1914年からワイン醸造を始めており、現存する中では西日本最古のカタシモワイナリーもこの頃に誕生している。こうして大阪は、昭和初期にぶどうの栽培面積で山梨を抜いて、全国一を誇っていた。
現在の日本ワインブームを担っているのは、国産ぶどう100%にこだわり、醸造だけでなくぶどうの栽培も手がける造り手たちだ。大阪のワイナリーは、歴史があるだけでなく、自家栽培や地元のぶどうを使っているところが多いのが特徴だ。しかし、残念ながらワイン産地としての認知度が低い。
このため、2012年に大阪の6つのワイナリーが大阪ワイナリー協会を設立し、積極的に「大阪ワイン」のブランドを全国に発信する取り組みを始めている。今月24日にも大阪・柏原市の大和川河川敷で、大阪のワインを飲むことができる『おおさかワインフェス2016』が開かれる。
撮影■太田真三
※週刊ポスト2016年4月29日号