メルケル首相も驚いたホンダのASIMO picture alliance/AFLO
アメリカで発売され、話題となっているクライド・プレストウィッツ氏の書『JAPAN RESTORED(日本復興)』では、「2050年には、自動運転やコンコルドの倍の速度を誇る超音速旅客機の開発が実現する」と予測されている。同氏はかつて日本叩きの急先鋒として知られた人物である。同書にはこんな記述がある。
〈米ワシントンDCから羽田空港まで2時間半で飛行するのは、「三菱808スーパーソニックジェットライナー」。三菱航空機が開発した、仏・コンコルドの倍の速度を誇る超音速旅客機だ。
空港ではロボットが荷物を運び、ロボットの運転する高速列車で市街地へ。街は電子機器、電子通信機器、ソフトウェアなど、世界をリードする科学技術を持つ企業であふれる〉
これがプレストウィッツ氏が『日本復興』の中で描いた34年後の東京である。サイエンスライターの川口友万氏は、日本の技術力でこの夢のような社会を「実現できる」と言う。
「日本の研究開発は世界をリードしています。2014年の特許出願件数は年間6万件の米国に次ぐ約4万2000件で世界2位。すでに宇宙航空研究開発機構(JAXA)は低騒音の超音速旅客機のプロジェクトを進め、ロボットによる運搬補助や工場の無人化も年々高度化しています」
しかし大学など研究機関や企業では、資金不足や人材不足に悩まされている。世界を圧倒する技術を手にするには、成果が出るまでに時間がかかる研究分野であっても大胆に投資することが必要だろう。
日本発展のカギとなるのが、2013年に米マッキンゼー社が「世界を大きく変える技術」として提唱した「破壊的技術(disruptive technology)」だ。12種類の破壊的技術のうち、日本企業は「進化したロボット技術」「自動運転車」「次世代ゲノム」「エネルギー貯蔵」「3Dプリンティング」「ナノテクノロジーを含む新素材」「石油・ガスの探求・回復技術」「再生エネルギー」で世界を席巻するとプレストウィッツ氏は予測する。