中でも注目は「自動運転車」。2050年には日本に車を運転する人間がいなくなり、全乗用車がスマートカーになり、車に乗って行き先を告げるだけで最も早いルートで自動的に走行するようになるという。 特筆すべきはその安全性だ。同氏はこう予言する。
〈これらのイノベーションのおかげで、交通事故や交通事故による怪我や死亡はほぼ姿を消す〉
「グーグルやアップルが目立つ自動運転車ですが、実は日本のメーカーと国が長年取り組んでいる分野。日本の技術は高齢化社会を見据えた高度な安全性を持つシステムとして構想され、技術的には実用化レベルにある」(川口氏)
実際、トヨタは2020年には高速道路をほぼ自動で走行する車を販売する計画だ。
ただし「自動運転車の普及で死者数が10分の1に減ったとしても、自動運転車がたった1件でも事故を起こせば、大騒ぎになる可能性もある」(川口氏)。ホンダの人型ロボット・ASIMOに見られる制御技術など、日本のロボットや自動化に関する技術力は世界でも定評がある。さらに、2050年までに技術面だけにとどまらず「人の意識」をどう変えていくかも課題であろう。
※SAPIO2016年5月号