乱世を生き抜いた戦国の英傑たちは、食への並々ならぬこだわりを持っていた。ここでは加藤清正、天海、伊達政宗の食事を再現写真とともに紹介しよう。
【加藤清正】虎をも退治する猛将を支えた「玄米」と「豆味噌」
秀吉に仕え、数々の武功をあげた清正は180cmを超える巨漢だった。強靭な肉体の源は1日5合を食したという玄米。日ごろからビタミン豊富な赤鰯や豆味噌なども愛好し、バランスのとれた食生活を送っていた。清正は戦場でも玄米の握り飯を豪快に頬張っていたという。炭水化物とビタミンB1を同時に摂取できる玄米が、大量のエネルギーを生み出す食品であることを体験的に知っていたのかもしれない。
【天海】長寿の秘密は「クコめし」と「納豆汁」
家康からの徳川三代を支え、数え108歳ともされる長寿を誇った僧・天海。家康から長寿の秘訣を尋ねられ「新鮮で質の良いあっさりした食事」と答えたという。クコは老化を防ぐと言われるベータカロテンが豊富で、免疫力も高める。
【伊達政宗】独眼竜の猛将が愛した「豆めし」
一度会うだけで相手の姓名や風貌を忘れない、政宗の抜群の記憶力を支えたと思われるのが「豆めし」。炭水化物とタンパク質を同時に摂取できる機能食だ。政宗は大豆にもこだわり、朝鮮出兵では政宗の仙台味噌だけが腐敗しなかったという。
●写真は食文化史研究家・永山久夫氏監修の『武将メシ』(宝島社刊)より(撮影・明石雄介)
※SAPIO2016年6月号