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セブン&アイ井阪体制 「反トップダウン」での船出に不安も

株主総会後の記者会見に笑顔で入って来る井阪氏

 コンビニ社長の更迭案を巡る“内乱”から、絶対的カリスマ会長の引退という予期せぬ事態に見舞われたセブン&アイ・ホールディングス。5月26日に開かれた株主総会と取締役会を経て、ようやく新体制がスタートした。

 新たにホールディングスのトップに就いたのは、井阪隆一氏(58)。4月7日に突如行われた鈴木敏文元会長の記者会見で、「(セブンイレブンの)COOとしての役割を果たしていない。新しい改革案が出てこない」と、名指しで社長失格の烙印を押された人物だ。結果として社内クーデターに勝った井阪氏が鈴木氏を追い出す形となった。

「鈴木会長は名誉顧問に就任し、今までと同じように私どもの相談に乗っていただけることになりました。鈴木名誉顧問は、変化に対応するアグレッシブな行動力と、お客様の利便性や価値を愚直なまでに追求する姿勢を、常に私たちに教えてくれました。

 グループの成長に大きく関わってきたこれらのファンダメンタルズをこれからも大切に引き継いでいきたいと考えています」

 株主総会後の会見でこう冷静に語った井阪氏。総会では株主に退任の挨拶をした鈴木氏と握手を交わすなど、混乱の収束をアピールする場面も見られたが、完全にわだかまりが解けたわけではない──と指摘する向きもある。

「当初、鈴木氏の新しい肩書きとして“最高顧問”のイスを用意する案が出て、本人も満足していたというが、社外取締役の中から、『顧問の最高位というポストでは院政が敷かれて影響力が残る』と危惧する声が挙がった。鈴木氏はその反対意見に怒り、しばらくゴタゴタが続いた」(業界関係者)

 順風満帆な船出とは言い難いセブン&アイの新体制。果たして井阪氏は、いまも社内外に残る“鈴木信奉者”の意見を聞き入れながらも、強力なリーダーシップを発揮することができるのか。

 会見では「経営陣が一枚岩になること」「風通しの良い自由な企業風土にしたい」と協調性を掲げた井阪氏だが、その一方で「これまで本音で語れる風土ではなかったから…」と、暗にこれまでのトップダウン経営をチクリと批判する場面も。

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