コラム

政府が目論む「訪日外国人4000万人」計画 円高で簡単に崩壊

政府・日銀は円を守れるか

 現在のドル/円相場は、ジリジリ上がってストンと落ちるという貿易黒字下での相場の動きに近くなっている。30年の経験を持つ為替のスペシャリストで、バーニャマーケットフォーカスト代表の水上紀行氏が、ドル安円高進行に対する政府や日銀の対応の甘さについて指摘する。

 * * *
 ドル/円相場が潜在的なドル安円高で進行するなか、政府・日銀の対応は、2月末の上海G20で通貨安競争回避が確認されたものの、「円高にはしかるべき措置をとる」といった円高阻止のトークアップ発言(要人発言で相場を持ち上げようとすること)で対応していました。

 しかしルー米財務長官から「為替の動きは秩序立っている。日本も通貨安競争回避は確認している」と指摘を受け、また米財務省の作成する通貨安を誘導している国や地域の監視リストに日本も入ったことから、トークアップ発言の効力も限定的になってしまったようです。

 なお、最後の政府・日銀が介入した水準は、2011年秋の1ドル=77円近辺ですので、それに比べれば現状のレートははるかに円安であることと、「黒田ライン」の1ドル=125円(黒田東彦日銀総裁が「これ以上は行き過ぎ」といった水準)から、たかだか20円前後の円高ということを考えると、政府・日銀がドル買い介入に踏み切るというのはいくらなんでも無理があると思います。

 それより、日本の政府も産業界もあまりに円安頼みになっていることが気になります。話は少し変わりますが、最近外国人旅行者が急増し、2020年の目標を4000万人に上方修正されました。

 確かに観光客誘致は地元の自助努力があると思いますが、財布の口の堅い外国人が今の日本に魅力を感じている大きな理由のひとつは、「為替が円安だから」ということです。ここにも円高方向に為替水準が動くことによって、安易な目論見が狂う可能性を秘めていることに注意が必要です

※マネーポスト2016年夏号

関連記事

トピックス

詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
【伊東市・田久保市長が学歴詐称疑惑に “抗戦のかまえ” 】〈お遊びで卒業証書を作ってやった〉新たな告発を受け「除籍に関する事項を正式に調べる」
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者が逮捕された
《不動産投資会社レーサム元会長・注目の裁判始まる》違法薬物使用は「大きなストレスで…」と反省も女性に対する不同意性交致傷容疑は「やっていない」
NEWSポストセブン
女優・福田沙紀さんにデビューから現在のワークスタイルについてインタビュー
《いじめっ子役演じてブログに“私”を責める書き込み》女優・福田沙紀が明かしたトラウマ、誹謗中傷に強がった過去も「16歳の私は受け止められなかった」
NEWSポストセブン
告示日前、安野貴博氏(左)と峰島侑也氏(右)が新宿駅前で実施した街頭演説(2025年6月写真撮影:小川裕夫)
《たった一言で会場の空気を一変》「チームみらい」の躍進を支えた安野貴博氏の妻 演説会では会場後方から急にマイクを握り「チームみらいの欠点は…」
NEWSポストセブン
中国の人気芸能人、張芸洋被告の死刑が執行された(weibo/baidu)
《中国の人気芸能人(34)の死刑が執行されていた》16歳の恋人を殺害…7か月後に死刑が判明するも出演映画が公開されていた 「ダブルスタンダードでは?」の声も
NEWSポストセブン
13日目に会場を訪れた大村さん
名古屋場所の溜席に93歳、大村崑さんが再び 大の里の苦戦に「気の毒なのは懸賞金の数」と目の前の光景を語る 土俵下まで突き飛ばされた新横綱がすぐ側に迫る一幕も
NEWSポストセブン
学歴を偽った疑いがあると指摘されていた静岡県伊東市の田久保真紀市長(右・時事通信フォト)
「言いふらしている方は1人、見当がついています」田久保真紀氏が語った証書問題「チラ見せとは思わない」 再選挙にも意欲《伊東市長・学歴詐称疑惑》
NEWSポストセブン
参院選の東京選挙区で初当選した新人のさや氏、夫の音楽家・塩入俊哉氏(時事通信フォト、YouTubeより)
「結婚前から領収書に同じマンション名が…」「今でいう匂わせ」参政党・さや氏と年上音楽家夫の“蜜月”と “熱烈プロデュース”《地元ライブハウス関係者が証言》
NEWSポストセブン
学歴を偽った疑いがあると指摘されていた静岡県伊東市の田久保真紀市長(共同通信/HPより)
《伊東市・田久保市長が独占告白1時間》「金庫で厳重保管。記録も写メもない」「ただのゴシップネタ」本人が語る“卒業証書”提出拒否の理由
NEWSポストセブン
7月6~13日にモンゴルを訪問された天皇皇后両陛下(時事通信フォト)
《国会議員がそこに立っちゃダメだろ》天皇皇后両陛下「モンゴルご訪問」渦中に河野太郎氏があり得ない行動を連発 雅子さまに向けてフラッシュライトも
NEWSポストセブン
参院選の東京選挙区で初当選した新人のさや氏、経世論研究所の三橋貴明所長(時事通信フォト)
参政党・さや氏が“メガネ”でアピールする経済評論家への“信頼”「さやさんは見目麗しいけど、頭の中が『三橋貴明』だからね!」《三橋氏は抗議デモ女性に体当たりも》
NEWSポストセブン
かりゆしウェアをお召しになる愛子さま(2025年7月、栃木県・那須郡。撮影/JMPA) 
《那須ご静養で再び》愛子さま、ブルーのかりゆしワンピースで見せた透明感 沖縄でお召しになった時との共通点 
NEWSポストセブン